弁護士の採用情報の探し方と理想の就職・転職を実現するため知識

弁護士が転職を考えたとき、どのように採用情報を探せばよいのか、困った経験はありませんでしょうか?まずはインターネットで法律事務所の採用を情報を検索してみても、事務所ごとの違いがあまり見えなかったり、どのくらいの年収を想定しているのかの記載がなかったりして、理想の就職・転職先を見つけられないこともあるでしょう。

このような悩みを解決するために、この記事では、長年に渡り弁護士に対するキャリア支援の豊富な経験をもつ弁護士専門のキャリアコンサルタントが、弁護士の採用情報の探し方と、弁護士が理想の就職・転職を実現するために知っておくべき5つの知識について説明します。

この記事が、あなたが、あなたに合った採用情報を見つけ出し、理想の就職・転職を実現するための手助けとなれば幸いです。

弁護士の採用情報の探し方

弁護士が採用情報を探す場合に、主に次の5つの方法が考えられます。

  1. ひまわり求人求職ナビ等の採用情報サイト
  2. 弁護士に特化した転職エージェント
  3. インターネットなどでの検索
  4. 人脈
  5. 弁護士会主催の就職説明会

以下では、それぞれの特徴や、メリットとデメリットについて詳しく説明します。

ひまわり求人求職ナビ等の採用情報サイト

弁護士の採用情報を扱ったサイトには主に次の3つがあります。

  1. 日弁連「 ひまわり求人求職ナビ
  2. 弁護士・パラリーガルに特化した就職・転職サイト
  3. 一般の就職・転職サイト

それぞれについて、以下、説明します。

ひまわり求人求職ナビ

冒頭でも言及しましたが、弁護士が採用情報を探す際に真っ先に思い浮かぶのが「ひまわり求人求職ナビ」でしょう。

ひまわり求人求職ナビは、日弁連が行っているため弁護士にとって非常に知名度が高く、また、無料で採用情報を掲載できるとあって、400件以上の採用情報が掲載されており、弁護士の採用情報サイトの中で最も掲載数の多いサイトです(2017年9月現在)。

企業にとっては、元々知名度は高くありませんでしたが、弁護士を採用しようと思って、Google等の検索エンジンで「弁護士 採用」や「弁護士 求人」等と検索すると、容易にひまわり求人求職ナビに行き着くことができるため、弁護士の採用を考える企業にとっての認知度は高まってきていており、実際に、ひまわり求人求職ナビのインハウスの検索数は増加傾向にあります。

しかし、インハウスに関しては、ひまわり求人求職ナビよりも後述の総合転職サイトの方が掲載数が多いようです。 以上のとおり、採用情報の掲載数が多いことがひまわり求人の特徴であり、メリットでもありますが、デメリットもあります。

冒頭でも触れましたが、求人票の情報だけでは事務所ごとの違いが分かりにくいということや、想定している年収の記載欄がないという点です。

ひまわり求人求職ナビを利用する際は、気になる事務所の想定年収を問い合わせたり、その事務所のことをよく知っている知り合いの弁護士を探して情報収集したり、とりあえず応募して面接時に事務所の雰囲気や知りたいことを質問したりといった積極的な行動が求められます。

ひまわり求人求職ナビについて詳しくは「ひまわり求人を活用して弁護士が理想の転職を実現するための7の知識」をご参照ください。

パラリーガル・法務部員に特化した転職サイト

ひまわり求人求職ナビ以外にも弁護士の採用情報を扱った転職サイトも存在します。
しかし、パラリーガルや企業の法務部員の採用情報がメインで、法律事務所からの採用情報は数件程度で、弁護士が就職活動や転職活動に実用的に利用できるというレベルには至っていないケースもあるようです。

総合転職サイト

一般の会社員が転職活動の際に利用する転職サイトにも弁護士向けの採用情報が掲載されています。 事務所の採用情報はほぼなく、インハウス志望のみ選択肢になります。

弁護士に特化した転職エージェント

転職エージェントとは、およそ職業安定法に定める「有料職業紹介事業者」(第32条の3第1項柱書)のことを指し、厚生労働大臣の許可を受け、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっ旋する事業を行う者のことをいいます。人材紹介サービスや人材紹介会社などとも呼ばれます。

一般の転職エージェントでは、弁護士を対象とした求人はインハウスのみで、事務所の求人は取り扱いませんが、弁護士に特化した転職エージェントでは両方の求人を取り扱います。

転職エージェントは、求人者(事務所・企業)から手数料又は報酬を受けることで成り立っており、求職者は無料で利用することができます。

転職エージェントに登録すると、求人の紹介を受けられるだけでなく、次のようなサポートを受けることができます。

  • 弁護士市場の動向等の情報の提供
  • キャリアやスキルの棚卸し、キャリアプランの策定や市場価値の算定のコンサルティング
  • 応募管理、面接の日程調整等の事務処理
  • 非公開求人を含めた求人の紹介
  • 社風や代表者の人柄等の求人情報からは分からない情報の提供
  • 面接先が重視するポイントを踏まえた書類作成や面接対策の支援
  • 応募先への求職者の強みのプッシュ
  • 条件交渉の仲介

なお、弁護士に特化した就職・転職エージェントが、求人元の名称を伏せたかたちで、採用情報を掲載している場合があります。

サイトを閲覧してみて、気になる採用情報があれば、問い合わせてみるとよいでしょう。

弁護士に特化した転職エージェントについて、詳しくは、「弁護士が転職エージェントを活用して理想の転職を実現する方法」をご参照ください。

インターネット検索

Google等の検索エンジンで検索して、採用情報を探す方法もあります。

例えば、「◯◯(地名) 弁護士 求人」というようなキーワードで検索すると、その地域の事務所のサイトの求人ページがヒットすることがあります。

ひまわり求人に登録されていない採用情報が見つかる可能性もあるので、検索ワードを変更しながら試してみるとよいでしょう。

人脈

採用情報を公開して募集をかけているわけではなくても、良い人がいれば採用したいと考えている事務所は多くあります。 そのような情報を収集するために、人脈は重要です。

例えば、次のような人脈から採用情報を入手できるケースがあります。

  • 修習時の人脈
  • 法科大学院時代の人脈
  • 委員会
  • 異業種交流会

弁護士会主催の就職説明会

新規登録弁護士の採用情報は、各弁護士会の主催の就職説明会で入手することが可能です。 弁護士会によって開催時期が異なりますので、各弁護士会のWebサイト等で開催を確認するようにしましょう。 大都市部ほど、早期に開催される傾向があります。

近年の事例を紹介すると、東京は三会合同で修習開始前の10月に行われます。 大阪も同様に10月に行われ、神奈川は翌年2月、愛知も翌年の4月に開催されます。

なお、神奈川や愛知では説明会とは別に、修習の修了が近くなっても就職が決まっていない修習生に向けて応援会や応援パーティが開催されることもあります(愛知は7月、神奈川は10月)。

早期に就職が決まるに越したことはありませんが、夏になっても就職が決まっていない場合は、この種の応援会にも積極的に参加し、情報収集、自己アピール、人脈づくりに励んだほうがよいでしょう。

また、弁護士会によっては保育所入所活動に関する助言等が受けられることところがあるので、受け入れてくれる保育所が見つからず、就職に問題が生じている場合は相談するとよいでしょう。

求人票の見方、チェックポイント

採用情報は求人票というかたちで目にすることが多いでしょう。

求人票を見ても事務所ごとの違いが分かりにくいという話も耳にしますので、求人票の見方やチェックポイントについて説明します。

主なチェックポイントは次の通りです。

  1. 勤務地
  2. 想定年収
  3. 募集ポジション(パートナー・アソシエイト等)
  4. 事務所規模
  5. 取扱分野
  6. 募集対象(経験年数等)
  7. 求めるキャリア・スキル・人物像
  8. 代表者

以下、それぞれについて説明します。

勤務地

弁護士法人では支店をもつ事務所が多くあります。

そのような事務所では、支店に赴任することを予定している可能性もありますので、確認するとよいでしょう。

想定年収

数度の面接を経て、ようやく内定まで漕ぎ着けたが、お互い想定していた年収がまったく違ったということも実際に起っています。

話を詰めるのは内定後で構いませんが、ある程度の想定年収レンジについては、遅くとも初回の面接で確認するとよいでしょう。

募集ポジション(パートナー・アソシエイト等)

どのポジションでの募集なのか、当然ながら確認しましょう。
パートナーとアソシエイトでは、求められるスキルやキャリアが異なります。

事務所規模

自分に合っているのはどの規模の事務所なのか検討したうえで、事務所規模を確認しましょう。同じ弁護士数でも減っているのか、増えているのか、また、事務員と弁護士の比率はどうか等、確認するポイントはあります。減っている場合は、その理由も確認すべきでしょう。

また、事務員の比率が高い事務所は、一概には言えませんが、より業務効率化された組織である可能性が高いでしょう。

取扱分野

求人票ではほとんど取扱いのないような分野でも取扱分野として記載されていることが多いです。 比率も含めて取扱い分野を確認すると良いでしょう。

募集対象(経験年数等)

そもそも自分が対象でなければ応募しても採用されることは難しいので、募集対象は必ず確認しましょう。

求めるキャリア・スキル・人物像

何が求められるのかを知ることで、選考の対策にもなりますし、事務所やボスの価値観を知ることにもつながります。

代表者

事務所やオーナー企業では、代表者の価値観が色濃く、事務所運営や会社経営の方針に反映されます。代表者と価値観が合うかどうかも重要なポイントです。

また、代表者の年齢も確認しましょう。高齢の場合、近く引退することもありえます。
自分がその事務所にどのくらいお世話になるつもりなのか、代表者の都合でキャリア設計とズレが生じる可能性があります。

なお、引退の予定など、直接聞きにくいかもしれませんが、事務所の展望など、表現を工夫して確認するようにしましょう。

自分に合った就職・転職先の選び方

弁護士が自分に合った就職・転職先を選ぶにはどのようにすればよいでしょうか。
自分に合った勤め先を選ぶためには、まず、何が自分に合っているか、自分にとって大切なものは何かを明確にしなければなりません。

具体的には、「自分が人生を賭けて成し遂げたいこと」という最終形から逆算して、「現時点で就職すべき事務所・企業の条件を定める」というアプローチが考えられます。

「自分が人生を賭けて成し遂げたいこと」のイメージが湧かない場合は、自分のこれまでの人生における行動を振り返り、自分の価値観を確認する帰納法的なアプローチも有効です。

また、ロングスパンの目的・目標がイメージしにくい場合は、10年後、5年後、3年後とイメージする未来を近づけていくことによって、目的・目標が定まることがあります。

弁護士のキャリアアップ方法

キャリアプランの決め方

キャリアアップするためには、まずキャリアプランを策定しなければなりません。

キャリアプランを策定するためには、前述の通り、成し遂げたいことを成し遂げるためには、いつまでにどのようなキャリア・スキルを身に付けなければならないかを定めて、そのキャリア・スキルを身につけるためには、どのような事務所・企業に勤務して、どのような仕事をして、その他、どのような行動をしなければならないのかについて考えます。

キャリアプランの立て方の参考例

例えば、全国紙の1面を飾るようなビッグディールに携わり、世の中に影響力のある弁護士になりたいと考えたとします。

なぜ世の中に影響力のある弁護士になりたいのか、根源的な欲求は何なのか、その欲求を満たすためには、世の中に影響力のある弁護士になることが唯一の方法なのか、他によりよい方法はないのかということに立ち返って考える必要があります。

さらに、世の中に影響力をもつ方法としては、ビッグディールに携わる以外にも様々な方法がありうるが、その中でもなぜそれに携わりたいのかということも深く考える必要があります。

そういったことを深く考えることによって、決してぶれない自分の価値観の軸を発見します。
また、そのディールにどのような立場で携わりたいのかについても、考える必要があるでしょう。

事業会社の法務部員として、事業会社の顧問弁護士として、渉外事務所やブティック型事務所の弁護士として等、様々な関わり方が考えられます。

そして、いつまでにその目標に成し遂げたいのか、そのためには、どのようなキャリア・スキルが必要なのかを考えます。

収入増を望むには?

弁護士が収入増を実現する方法は、ポジションによって異なります。
パートナーという立場であれば、仕事を獲得する能力によって、収入は変わってきます。

個人向けの一般民事系事務所であればマーケティング活動の成否によって受任数が変わってくるので、マーケティングを取り仕切る能力は必要でしょうし、企業法務系事務所であれば、クライアントや案件を開拓するオリジネーション能力が必要と言えるでしょう。

オリジネーションのためには、ビジネスに精通していることが重要ですので、日頃から日経新聞や経済誌、ビジネス書に目を通すことは勿論のこと、知見を磨いたり箔付けのためにMBA取得することも有効かもしれません。

そして、企業経営者等に多く人脈を築くことが重要でしょう。
次に、アソシエイトが収入を増やすために必要な能力は、仕事の総処理量を増やすことと、パートナーがいなくても複雑な案件を適切に進められるレベルのスキルになることです。処理量の多いアソシエイトは、事務所としてもその分年俸を増やしても、十分利益を出すことができます。

また、パートナーをなるべく案件創出に専念させたほうが受任数が増えるので、そうさせてくれるスキルレベルの高いアソシエイトは重宝されます。

最後に、インハウスとして、収入を増やすための方法についてですが、企業では、基本的に給与テーブルや前例に従って給与が決まります。 プロフィット部門ではインセンティブ制を取り入れている企業もありますが、法務のようなバックオフィスでは、基本的には給与テーブルです。ですので、給与を上げるためには、出世することが一番の近道です。

管理部門のトップに上り詰めるためには、財務や総務など、様々な部門のマネジメントを任される存在にならなければなりません。そのためには、法務の知識・スキルだけでなく、管理部門に関する知見を広く磨いていかなければなりません。

自分の適正年収の調べ方

自分の適正年収は、自分が同等のスキル・キャリアで同じ地域の求人が想定している年収で計ることができます。

ひまわり求人では想定年収の記載がないので、エージェントに登録して診断してもらった方が、手っ取り早く正確な金額を算出することができるでしょう。

すぐに転職する予定がなくても、適正年収の相談だけ依頼することも可能です。
また、「弁護士の年収や報酬・給与の現実や平均分布」も併せてご参照ください。

弁護士の人材市場動向

弁護士の人材市場は、ここ数年、売り手市場といえます。
以下では、事務所の規模や分野ごとに分けて説明します。

渉外事務所

渉外事務所の採用もここ数年活性化しています。
5大渉外事務所は、前年から合計で100人近く弁護士を増やしています。

重宝されるのは、オリジネーション能力の高いパートナー候補や、アジア進出を推進のために現地に駐在可能な弁護士等です。

採用方法としては、前者はヘッドハンターによる一本釣りが多く、後者は事務所の採用ページ等で広く募集されている傾向があります。

外資系事務所

クロスボーダー案件が増加しており、それに伴い外資系事務所でも採用が活性化しています。 60期台後半の若手アソシエイトに対するニーズが特に強まっています。

外資系事務所では、留学することが前提ですので、英語力は必須です。

ブティック型事務所

日本でも専門特化したブティック型事務所のニーズが高まっています。
大手渉外事務所に比べてブティック型事務所の方が報酬が安い傾向にあり、また、仕事の質についても専門特化しているため、その分野については、大手渉外に引けを取らないという一定の評価を獲得しているといえるでしょう。

このような背景を受けてブティック型でも採用を強化しています。
専門分野を既に持っていて、これから益々専門性を磨きたいという意志をもった人が好まれます。

新興系事務所

2000年代に入って設立された事務所で、個人向け一般民事事件を軸に受任数を拠点数を伸ばし、近年、取扱い分野を企業法務などにも拡大している事務所を新興系と形容されることがあります。

このような新興系事務所が、最も伸びている分野で、全事務所中、2016年から2017年の1年間で最も弁護士数を増やした事務所は、ベリーベスト法律事務所で36人増でした。

準大手・中堅事務所

準大手・中堅事務所は、老舗の事務所がほとんどですが、最近の動向としては、大きく2つのグループに分かれます。

一つは、世の中のニーズを汲み取り、対応し、新興系同様に採用を増やしている事務所で、もうひとつは、徐々に規模を縮小しつつあるグループです。

小規模事務所

いわゆる昔ながらの町弁、新興系事務所の手法を参考にした若手が独立して誕生した事務所がこれに含まれます。

前者は、弁護士が辞めて人員に空きが出た場合に採用が行われる傾向にあり、後者は積極的に若手の採用を行っている傾向にあります。

インハウス

インハウスはニーズが最も高まっている分野でしょう。
事務所よりも収入は減る可能性が高いですが、会社員という安定した立場を得ることができます。

企業法務の経験が豊富であれば、法務部長職等、上のポジションで迎え入れてもらえる可能性もありますが、法務部員という立場の若手であれば、企業法務の経験がなくても積極的に採用されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
以上では、次の項目に分けて、弁護士の採用情報の探し方と理想の就職・転職を実現するための知識について、説明しました。

  • 弁護士の採用情報の探し方
  • 求人票の見方、チェックポイント
  • 自分に合った就職・転職先の選び方
  • 弁護士のキャリアアップ方法
  • 弁護士の人材市場動向

この記事が、あなたが、あなたに合った採用情報を見つけ出し、理想の就職・転職を実現するための手助けとなれば幸いです。