法務の転職や求人 仕事や資格など採用の傾向

企業の法務部で仕事を行う転職を考える上で、どういった資格や英語力などが法務の仕事内容として必要とされるのか事前に理解しておくことが大切です。未経験の場合に重視されるポイントや経験者採用時に確認されるスキル、法務業務をメインに据えたキャリア形成など、法務に就職するときに求人情報を見る際、心得ておくべき内容をまとめました。コンプライアンス関連の経験や海外における国際法務も視野に入れた場合の法務職の中途採用を狙う場合も情報収集が欠かせません。専門エージェントの利用などもふまえ、法務担当者が転職するのに必要なスキルや年齢、求人情報の特徴や傾向、履歴書や面接などの準備のポイントをご確認ください。

法務の仕事内容って?未経験・無資格でもできる?

法務担当者や法務スタッフとして募集される「法務」は、企業が事業を行う際に生じる法律業務を全般的に担います。企業における法務の業務としては、発生したトラブルを解決するための臨床法務・トラブルを未然に防ぐための予防法務・企業の経営戦略に法的な視点から意思決定に参加する戦略法務の3つに分かれています。

具体的には、以下のような業務が挙げられます。

  • 株主総会/取締役会の召集/運営
  • M&A
  • 株式の公開/発行
  • 子会社の設立/解散/独立
  • 契約書の作成/審査/手続/管理
  • 訴訟への対応
  • 労使交渉
  • 債権回収
  • 社員への法教育
  • 社内/グループ内の法律相談
  • 内部統制
  • 個人情報など情報の管理
  • 特許権や意匠権などの知的財産権の手続/管理
  • 不動産関連業務
  • 官公庁への対応
  • 法律リスクの分析

企業によって、実際の業務や重視される業務は当然異なります。一般的には、法務といえば契約に関する法務が中心となることが多いようですが、近年では、知的財産権に関する業務やコンプライアンスの策定などの業務に関する求人が増えているようです。

大手企業では業務が多岐に渡り担当者数が複数名いることもあって、実務経験のある分野を中心にひとつまたは少数の分野に関わり、中小企業では発生する法務に全体的に関わる、という傾向があるといえます。また、経験によっては、実務のみならず法務部全体のマネージメントなども業務として含まれる場合も当然あるでしょう。

中途採用の法務担当者は基本的に即戦力として期待されています。そのため企業の法務担当者としての経験や、法務としては未経験でも、弁護士事務所で契約書作成を経験してきた、企業法務を担当してきたなどの実務経験を求められることは多いようです。

法務になること自体に資格は必要ありません。しかしながら大手企業では募集要項に弁護士などの資格が書かれているケースがしばしば見受けられます。弁護士以外では、司法書士・行政書士・社労士なども人気があるようです。

もちろん企業法務の実務経験者、コンサルティングファームの出身者、法学部の卒業生や法科大学院の修了生、司法試験の受験実績など、資格や実務経験がなくともポテンシャルとして採用されるケースもあります。

また海外部門の拡大のために即戦力として採用を行うケースなどでは、現地の法律に精通している、海外での法務資格を所持している、ビジネスレベルの語学力を持つ、英語での契約書作成ができる、といった点も大きなアドバンテージになります。

法務に関係する資格としては、弁護士・司法書士・行政書士・社労士・個人情報保護士・ビジネス実務法務検定・ビジネスコンプライアンス検定などがあげられます。企業が弁護士を法務として募集するにあたって「ビジネス的な視点を持つ人」という人材像を共通して挙げることが多い傾向があります。弁護士資格を持っているが、今まで企業法務には一切関わってこなかったという方は、ビジネス実務法務検定やビジネスコンプライアンス検定を取得すると、「ビジネス的な視点を持つ人」という企業にとって理想の人材像に近くことができるかもしれません。

法務担当者に転職するのに必要なスキルや年齢は?

即戦力としての募集か、ポテンシャルとしての募集か、企業の規模によって対象となる年齢や求められるスキルは異なります。共通して求められるスキル・能力としては以下のものがあげられます。

  • 社会人としてのマナーや文書作成力、経営的な視点・柔軟な思考力
  • 変化のスピードが速いビジネスの現場に対応していくための向上心・自己啓発力
  • 社内や取引先、顧客、株主、官公庁など利害関係者との協調性・コミュニケーション能力
  • 現在生じている問題、将来生じうる問題を把握し、解決のために必要な対策や代替案を提案する先見性と結束力

その他にも英語力や自社の製品やサービス、業界に関する理解、より深い法律知識などが求められるケースも多いようです。

ポテンシャルとしての募集のみならず、即戦力としての募集においても、人格は大変重視されています。企業は法務に対して、顧問弁護士としての第三者的な視点よりも、いち社員として企業の立場で考え、行動することを求めています。企業の内部に入ることで何ができるかを考えておくと、面接時にも役に立つでしょう。

大手企業における法務の募集では、ポテンシャルとしては20代〜30代、即戦力としては30代〜40代が主な対象となります。中小企業では応募要項に年齢の制限はあまりなく、ベンチャー企業では経験の豊富さや信用力の面から40代以降の人材が重宝されることもあります。

大手企業でも法務部門ができたばかりの企業や事業展開を進める企業では、特定分野の人材不足や知識不足を補う形でのニーズは一定数存在するので、募集の目的によって求められる年代は様々です。

法務として企業が募集する主な年齢としては20〜30代になりますが、資格や経験、スキルによって幅広い年代にチャンスがあるといえます。法務への転職は35歳が1つの区切りとされており、やはり年齢が上がるにつれて募集数は減少していくので、法務に転職を考えている方は早めに動き出すことをお勧めします。

法務の求人情報の特徴や傾向

法務の転職市場全体としては、コンプライアンス強化の必要性、日系企業の海外進出や海外企業との取引増加に伴って国際法務の必要性が高まったといった理由から、求人数は増加傾向といえます。

しかしながら、いち企業あたりの法務の求人数は1人、多くて2人程度なので、経験・人格・資格・能力など、企業の求める人物像に合致した人物でないとなかなか採用にはたどり着きません。

法律の知識があるだけの人物ではなく、マネージャーとしての経験がある、法務としての立場のみならず、部門を超えて物事を考えられる、英語に堪能である、海外進出する場合は現地の法律に精通しているなど、同じ法務といえども企業が目指す方向や企業の特徴次第で求められるスキルや能力は異なります。

例えば、株式法務の経験があるならば上場企業から重宝されるでしょうし、技術の知識があり、知的財産権に通じていれば製造業にとって理想的でしょう。

業界を横断することが多い法務は、応募する企業の業界自体未経験のこともあるかと思われますが、法務の求人は経験や資格、業界への関心があれば、未経験でも構わないとするものも多くあります。キャリアパスを描くにあたって法律知識に加えて専門性を身につけたいという方には、未経験でも始められる法務はおすすめの職業といえます。

法務の転職が成功する履歴書や面接などの準備のポイント

職務履歴書はつい記載事項が多くなりがちですが、類似する業務はまとめて2〜3枚程度に抑えましょう。募集要項での業務内容が一通り網羅されていると理想的です。

職務経歴書の様式には、期間・配属・業務内容と分けて記述する編年体式、プロジェクトを軸にしたプロジェクト式、分野を軸としたキャリア式があります。法務への転職の場合は経歴が長くなりがちですので、どのようなスキルを得たのかがわかりやすいキャリア式か、書き慣れている場合は一般的な編年式をおすすめします。

法務の転職において能力の判断基準となるのは、何がどの程度できるかという経験・スキルに加え、どのくらいの数や量をこなせるかという点です。例えば契約業務を例にあげますと、「契約作成」だけではどんな分野なのか、どのくらいこなせるのか、どのくらいの期間携わっていきたのかがわかりません。契約業務では、審査を月間・年間でどのくらいこなせるかが判断基準となりますので忘れずに記載しましょう。審査数の多寡は30件が基準と言われています。

また、業界を超えての応募の場合、業界特有の専門用語は通じない場合が考えられるので、ある程度抽象的な記述が求められます。

法務への転職は、経験や資格も重要ですが人格が重視されます。自己PR欄は応募書類において人格をアピールできる貴重な項目ですので、自分の強みが表せるエピソードを客観性を持って記述するとよいでしょう。

面接においては職務経歴、前職の退職理由、企業や業界への志望理由、キャリアプラン、実績については間違いなく聞かれます。未経験業界の場合は、なぜ経験のある業界を選ばないか、どうしてこの業界なのかについても回答を用意しておく必要があるでしょう。この場合は業界との接点や、業界への関心を盛り込んだ回答が理想的です。

面接官にもよりますが、経験者の場合は法律の知識や業務を行うにあたっての心がけについても問われる場合があります。知識に加え、表現力が見られていますので、簡潔でわかりやすい回答を心がけましょう。

また、法律の知識に偏らず、企業の一員として貢献していく姿勢を見せると良いでしょう。