「インハウスロイヤー」とは?増加の背景やその仕事内容・年収・待遇のまとめ

「インハウスロイヤー」とは?増加の背景やその仕事内容・年収・待遇のまとめ

近年では、企業に務め「インハウスロイヤー」として活動する弁護士が年々増加傾向にあります。企業のグローバル化や経済・雇用情勢などの激変、コンプライアンス意識の高まりなどを背景に、弁護士を採用する企業が増え続けているためです。この傾向は今後もしばらく続くことが予想されるため、インハウスロイヤーとして弁護士を採用したい企業からの高い需要が見込まれています。

このページでは、インハウスロイヤーが行う企業法務の仕事内容や、就職・転職するときに求められるキャリア、募集される求人の傾向や年収などをご紹介します。

インハウスロイヤーとは

インハウスロイヤーとは、企業の従業員や役員として業務を行う弁護士のことです。

企業の業種や配属先などにもよって業務内容は異なりますが、一般的には、法務部に配属され、企業法務・コンプライアンス・知財関連の業務を行います。

インハウスロイヤーの仕事内容

M&Aや契約法務、顧客への法対応、社内法務、知的財産、事業継承、国際法務など多岐にわたります。募集する企業によって、どの分野の業務が多いのか異なりますので、就職または転職する際には、求人情報にかかれている業務内容や面接時での質問などを通じて事前にしっかりと確認しましょう。

問題が顕在化した場合に、その問題の解決(臨床法務)を行う顧問弁護士とは異なり、
インハウスは、予防法務や戦略法務などを中心として、様々なレベルでの法律業務を行うことになります。

インハウスロイヤーが増加している背景

近年、インハウスは増加傾向にあります。どのようなことを背景に増加しているのでしょうか。以下のグラフは、日本組織内弁護士協会による「企業内弁護士数を推移」を元に作成したものです。ここしばらく年々増え続け、2016年6月時点ではインハウスロイヤーは1707人で、全体の4.5%までに増えています。

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増加した理由を、”企業サイド”と”弁護士サイド”にわけて、詳しく見ていきましょう。

企業サイドの理由

まず、企業によるインハウスロイヤーの雇用需要が高まっていることが大きな要因と言えます。企業による海外進出の増加や、世間によるコンプライアンスへの関心の高まりなどを背景として、企業における法務の業務量の増加や重要性が高まっています。

これによって、従来は大手の法律事務所などの企業法務を扱う法律事務所にアウトソーシングしていたものを、自社で弁護士を雇用し対応することで、コスト削減やスピードアップを図りたいというのが企業側の意図です。

コスト削減

企業はできるだけコストを抑えたいと考えるのが通常です。法律事務所に委託するよりも、直接雇用する方がコストが抑えられます。

レスポンスのスピード

社外の弁護士(顧問弁護士)には相談しづらいことがあっても、社員として雇用しているインハウスには安心して相談できることや、普段から自社の業務や背景を把握している弁護士であれば、いざというときに素早く対応・解決できます。

リーガルニーズの増加

会社法や証券取引法などの法改正や、規制緩和による司法制度改革などにより、臨床法務だけでなく、法的リスクに対処する予防法務や戦略法務の必要性が顕在化しました。

また、グローバル化が進んでいることにより、組織内法務の整備・M&A・コンプライアンス構築・行政対策など様々なことが、従来の法務業務にプラスして求められるようになり、限られた人材でこれらを行うことが厳しい状況になりました。

弁護士サイドの理由

弁護士サイドの理由はわかりやすく、”安定”を求めてインハウスを選択する人が増えているのだと考えられます。インハウスロイヤーを採用する企業は大企業が多い傾向にあり、法律事務所と比べれば福利厚生が整備されていて、給与や待遇面、ワークライフバランスの安定が見込めます。

経験の幅を広げるため

また、臨床法務ではなく、予防法務や渉外法務、M&Aや戦略法務など様々な分野を扱いたい。これらの仕事を現場に近いところでしたい。という理由も挙げられます。

転職理由では「経験の幅を広げたい」「待遇改善」「ライフワークバランス」などがよく挙げられるので、これらの点が解決できるインハウスという選択をする人が増加するのは必然といえるでしょう。

このように「需要」と「供給」がそれぞれ高まったことによって、インハウスロイヤーが増加していると考えられています。

インハウスロイヤーの求人情報の傾向と特徴

基本的には、社内の業務を行うことになりますが、業界・関連法に関する知識や企業法務全般をこなすことができる「経験弁護士」が即戦力として募集されるケースが多くなっています。

日本組織内弁護士協会が2016年2月に実施したアンケート結果では、募集されるポジションとしては、一般従業員が63.4%、管理職が31.6%、役員が5.1%となっています。一般従業員として雇用された後に管理職へと出世するケースも多いようです。

また、一方で、ポテンシャルがある若手の弁護士が好まれる傾向もあり、実務経験のない弁護士や、司法修習生から採用する傾向も年々強くなっているようです。

インハウスロイヤーの年収や待遇

インハウスロイヤーの年収の分布は以下のようになっています。日本組織内弁護士協会が実施したアンケート結果をグラフにしたものです。

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2016年の企業内弁護士の平均年収は1143万円で、このグラフの通り、一番多いのは、30.5%の500~750万円となっています。

また、同アンケート結果から、勤務時間については、9〜10時間が38%でもっとも多く、次が8〜9時間の31.8%で、合わせると約70%を占めます。このように、法律事務所と比較すれば、ワークライフバランスが実現しやすいといえるでしょう。なお、84.2%の割合で企業が弁護士会費を負担しています。さらに、有給休暇制度・年金制度・社宅制度などの福利厚生が充実している職場が多くを占めます。

インハウスロイヤーに求められる能力

企業がインハウスロイヤーに求める能力としては、まず、弁護士としての「状況/リスク判断能力」「法的思考力」「法律知識」「信頼感」が求めらます。また、他の社員や部署との調整などが多いため、「協調性」「コミュニケーション力」も必要とされます。これらは、即戦力採用・ポテンシャル採用に関わらず、弁護士として当然に求められます。

就職・転職時にアピールすべきポイント

インハウスロイヤーとして就職または転職する場合、上記の弁護士としての能力に加え、組織の一員として積極的に企業に貢献していくことも求められるため、業界や業種への理解や意欲なども含めて、”ビジネスマンとしての一般的なスキル”が、法律事務所と比べると重視されます。

さらに、管理職のポジションでの募集であれば「マネージメント能力」なども求められます。

また、グローバル化が進んでいる影響により、日本国内だけでなく国際的な業務に携わることが求められるケースも多くなってきています。

英文など外国語の契約書の作成やチェックなど、業務において語学力が必要となることも多く、募集要項にビジネスレベルの英語力が必須と記載されているものも多く存在しています。

そのため、TOEICやTOEFLなどの点数があるなら漏らさずアピールしましょう。応募書類や面接のときには、ここに挙げた内容を踏まえてアピールしていくとよいでしょう。

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