弁護士351名に聞いた転職活動の「勘所」5つ 弁護士の転職活動の実態◆Vol.5

弁護士ドットコムでは、転職経験者を対象に転職までの期間や、実際の活動について聞くアンケートを実施した(アンケート実施2021年10月30日から11月4日まで)。351人から回答を得た。結果について随時紹介する。  
 
5回目は転職先探しや実際の転職活動のやり方について聞いた内容を、5つのポイントに整理したものを中心に紹介する。

*複数回の転職経験がある場合は、最も近い時期の転職経験について聞いた。  

Point1 動き出しは早めに

「思い立ったら即行動」「早めに情報収集だけは進めておくべき」という意見が数多く寄せられました。また、「辞めたくなったら辞めた方が良い」「「この事務所ヤバい」と思ったら、すぐに転職活動した方がよい」というストレートな意見も少なくありませんでした。

求人についても、「求人は一期一会だし、何だかんだで早く応募した方が逃げ切れることが多いと思うので、迷ったら出すべきだと思う」など、まずは応募してみる勇気の必要性を説く意見も。「いいエージェントに出会えるとスムーズに進むので、周りにいい人を知らないか聞いてみるのがよいと思う」という意見もありました。

とはいえ、「転職先を早く決める」という点については、否定的な意見が目立ちました。「急いで決めて失敗した経験んから、ある程度時間をかけてしっかりと情報収集して検討することが大切だと思う」との指摘もありました。

Point2 人脈、人間関係を大事に

エージェントの活用や転職希望先への直接応募が一般的になりつつありますが、弁護士ドットコムの調査では、紹介による入所は以前、半数を占めます。「一般の会社員の転職と違い、人脈がモノを言うと思う」「普段から事務所内に閉じこもらず、事務所の外の人たちとつながりを作っておくことが重要」というのが代表的な意見です。

「転職活動をしていることを知り合いに広めると、採用活動している事務所の情報が得られた」など、人脈や人間関係は、思わぬ求人や出会いの発掘につながりますまた、「知り合いに思い切って聞くのが一番。意外と人を探している事務所は多い。探してなくても、いい人ならば実はいつでも歓迎というところがほとんどだと思う。ただ、いい人かどうかの判断は難しいので、知人が一番」という声も。信頼関係のある人脈を活かせば、大きな失敗は回避できると言えそうです。

弁護士会の会務での縁もあるようです。「委員会活動をしていたので、委員会の先輩から紹介してもらえた」とのケースもあり、弁護士会の人脈を普段から意識しておくことで、いざという時に役立つかもしれません。また、司法修習の教官への相談を推す声もありました。

「断られても先方や紹介者に失礼が無いように」というアドバイスもありました。

Point3 情報収集を入念に

最も多くの意見が集中したのは、情報収集の重要性です。「募集要綱やウェブサイトからは、本当のところは分からない」ということが、前提にありそうです。

情報収集の対象としては、以下のような意見がありました。

  • 入所先に所属する複数の事務所の弁護士(複数)
  • 入所け検討先の事務所をやめた弁護士
  • 入所先を知る、在籍経験のあるできるだけ同期や期の近い弁護士
  • トップをよく知る弁護士
  • (単位会の変更を伴う場合)単位会に所属する弁護士

リサーチ対象としてあがったのは、以下のような項目です。

  • 人間関係が問題ないか
  • 早期に辞めた弁護士がいないか。転職先の過去の退職者数
  • 上の期から下の期までバランスよく弁護士がいるか、男女比
  • 事務所内の力関係
  • 業務分野や勤務時間
  • ボスの人柄や事務局との関係
  • 裁判例のデータベースや官報などを活用した、転職先事務所やトップの取扱案件
  • パワハラなどのハラスメントなど表に出てこない噂
  • 実際に訪問した事務所の雰囲気
  • 直属の上司となる予定の弁護士との面談があれば、人となりをよく観察するべき。

また、情報収集の注意点をあげる意見も。「(求人サイドは)面接では事務所のいいところしか言わない」「外からの同業者の評価は当てにならないこともある」との意見も。

「色々な事務所(勤務先)を見てみること」の重要性を指摘する意見も複数寄せられました。具体的にやりたいことや、行きたい事務所が明確でない場合は、多くの事務所を見聞きすることで、良い転職先と出会える可能性はあります。

また、「普段から自己が所属する弁護士会内の情報収集はしておくべきである。転職を決意するとき,まずは自己が所属する弁護士会内での転職が可能であるのかを検討する必要があるから」という転職を考える前からの、情報収集を重要性を指摘する意見も。

情報収集にはエージェントを活用する方法もあります。「エージェントしか知らない事務所の内情もあるので、エージェントは積極的に利用したほうが良い」というものがありました。ただ、「複数のエージェントを使うこと。エージェントの意見を鵜呑みにせずにいろいろなチャンネルから情報を集め、自分で判断すること」という指摘もありました。

Point4 やりたいことを明確にして、妥協しない

転職を決意すると、多くの人が早く決めたいと考えると思いますが、「妥協しない」「自分の見る目を信じて安易な選択をしない」という意見も相当数寄せられました。

どんな理由であっても「早くやめたい」などというネガティブな態度は、採用側に敬遠されがちなのは、法曹界に限らず一般的です。「自分が何をやりたいか、どのようなキャリアデザインを描くかを明確にすることが重要と感じる」「なりたい自分に近づけるかどうかをしっかり考える必要がある。そのためには会社、事務所のビジョンやカルチャーのマッチが大事である」という指摘に代表される、自身の希望を明確にする作業が必要だという指摘がありました。

その上で、「入ってみると想定とは違うところがあるのは避けられないので、譲れない部分とそうでない部分を整理した上で、前者だけはミスマッチのないよう気を付けるべき」「周りの意見に流されず、自分の考えを信じるべき」とのアドバイスがありました。

また、フィーリングの重要性を説く意見も複数寄せられました。「少しでも違和感があるところには行かないほうが良いと思う。面接などで、あれ?と思うことがあっても、まあ大丈夫だろうと思ってスルーしてしまうことがあるが、こちらの常識が先方の常識ではないことがあるということを心に留めるべき」「入ってみないとわからないことは多々あるが,面接・会食等で対応した転職先の弁護士の雰囲気と合うかなど,感覚的なところも重視した方が良いと思う」との意見がありました。

Point5 立つ鳥、後を濁さず

転職は、当然、前事務所の退所を伴います。「元の事務所とのトラブルを防止するべき」という意見も少なくありませんでした。「狭い業界なので、同業者の人間関係を大事にする事を勧める」「入るときより辞めるときの方が大変。辞めてからの関係が悪化しないよう最低限筋は通すべき」という意見もありました。弁護士人口が増えたとはいえ、約4万人程度ですので、できる限り円満な退所が望ましいと言えるでしょう。

具体的には、「転職の場合は、もともとの所属事務所とトラブルになりやすい。案件の引継ぎや転職の理由をどう説明するかなど入念に準備した方が良い。転職先もそういった事情を十分に理解し入所時期を調整してくれるような事務所が良い(逆に経験弁護士相手に「すぐに来て欲しい」などという事務所は注意すべき)」との意見がありました。また、「転職を決意した後も、現勤務先での仕事のパフォーマンスを維持しておくと、円満に退職がしやすい」との指摘も。

転職活動を所属事務所に伏せるかどうかについては、意見が割れました。転職活動を伏せておくべきという意見もある一方、「所属事務所に退所表明をしてから転職活動を始めた方が良いと考える。退所表明から退所までの期間は、6か月以上はあった方が良い」という意見もありました。ただ、転職先から内定が出たあとは、よほどの事情がなければ、早めに伝えるべきというのは、一般的なようです。

また、「辞めた後で、以前の事務所の良かったところに気が付くこともあるので、辞める決断をする前に、なぜ辞めたいのかを十分考えた方がよい」という意見もありました。

 
最後に、上記以外で寄せられたアドバイスを紹介します。

  • 友人のつてを辿る方法だと、事前にある程度の条件や労働環境を把握した上で転職でき、何より楽で確実性が高いです。ただ、キャリアアップに主眼を置く場合は、もっと良い方法があると思う。

  • 転職は、今までの経験にしばられることなく、新たなチャレンジをするチャンスととらえること

  • 自分が不満かどうかではなく、今在籍している事務所でご自分が必要とされているかどうかを考えるべき。在籍している事務所で必要とされていないのであれば、今までの待遇に感謝しながら速やかに離れたほうがよい。
  • 個人の弁護士事務所からの転籍だったため移籍先について、弁護士事務所しか思い至らなかったが、企業や自治体の組織内弁護士も探せばよかった
  • めんどくさがらずに、情報収集もエントリーも積極的にしたほうがいい。転職先に現時点で特に不満はないが、嫌なことがあったときにふと「あの時他の事務所も見ていたら違う人生だったのかな…」とモヤモヤしてしまう。
  • 採用活動に関わる側になって改めて思ったが,採用を考えている事務所は,やはり日弁連の「ひまわり求職求人」を一番見ている。そのため,このサイト内の求職情報を充実させると,このサイト経由のオファーメールを一定程度期待することができると思う。実際,私は,このサイトに求職情報を載せ,オファーメールをもらって,転職した。それが今の事務所であり,相性が良くてもう5年以上働いている。
  • 弁護士事務所への転職は、ボス弁との相性が重要だが、企業法務への転職の場合、人事部の担当者が好むような回答を用意することが重要だと思う。
  • 給料よりも事務所の方針、雰囲気や取扱事件が大事、お金の問題は個人事件で何とかなる。
  • 自分の希望する条件は遠慮せずに、明確に伝えた方が良い。また、採用条件は書面に残る形で契約書をきちんとまいておいた方が良い。
  • 履歴書の書き方は一般企業の新卒採用サイトなどを参考に見栄えの良いものを作るようにする。顔写真は撮影スタジオなどで多少お金がかかっても良いものを撮ってもらう。
  • 法律以外の仕事もやる覚悟があれば、また事務所でなく民間企業でよければ、いくらでも転職先は見つかると思います。
  • 直ぐに内定を出す事務所には絶対に行かないこと
  • 将来的に独立する予定があるのかどうかははっきりと方針を決めておくとよい
  • 転職先の弁護士の考えとこちらの意向とのマッチングとしてどれだけ深く話し合えるかによるかと思います。
  • エージェントを介することで、思うところを遠慮なく伝えることができたのはよかったと思う。
  • エージェント等に相談して、客観的に自己を評価してもらうことで、効率的に動ける。
  • 資格があるのでどこでも働けるため、気軽に考えて良い
  • 自分にとって理想の職場が見つかるまで何回でも転職しても良い。

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以上で、5回にわたる「弁護士の転職活動の実態」アンケート結果は修了です。
前回までの結果をご覧になっていないかたは、ぜひこちらからご覧ください。

弁護士の転職活動の実態アンケート結果(過去分)

活動期間3ヶ月未満が半数超 弁護士の転職活動の実態◆Vol.1
転職先の紹介経路、最多は「エージェント紹介」 弁護士の転職活動の実態◆Vol.2
弁護士同士の人間関係を重視する傾向 弁護士の転職活動の実態◆Vol.3
応募数増えると満足度が下がる傾向 弁護士の転職活動の実態◆Vol.4

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