弁護士ドットコムキャリア

今後弁護士ニーズが増す領域は?これからのキャリアをどう作る?

エース・コンサルタントが語る弁護士の転職最前線 – Part2
弁護士人口の増加や社会の変化の影響で、弁護士の転職実態も年々変化している。今回、年間100人以上の弁護士の転職やキャリア相談を受ける、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタント2人に、転職事情などを聞いた結果を随時紹介する(インタビュー:2021年12月)。3回目は、今後弁護士ニーズが増加しそうな領域と、そこに向けたキャリアの作り方について。

 

ーー今後採用が活発になりそうな分野などはありますか。

A氏: 今後活発的になりそうなところは、サイバー犯罪とかあるいは、VRやARなどの最新のIT技術を生かした分野なのかと思います。米中はいうに及ばず、韓国も含めて、最先端のIT分野を産業として抱えている国は、ケーススタディが進んでいるという話を聞きます。そのスタディが積み重なって、今後弁護士の活躍する領域が広がっていくと考えます。ただ、日本の場合は、海外事例でケーススタディをせざるをえない状況にあります。

ーーVRやAR領域において、実務家はどういう出番があるんでしょうか。

A氏: まず実務層として、法律制定とかに関わってくるんじゃないでしょうか。実際に関連した案件が多くみられる状況ではありませんが、サイバー犯罪や個人情報に関連した案件を主な取り扱い領域として、最先端を走っている事務所はでてきていますね。日経新聞などのメディアでもたびたび取り上げられています。

ーー最先端の領域は、未経験でも意欲があれば採用されるのでしょうか。

A氏: 未経験であることは仕方ないにしても、ある程度親和性のある案件を経験していないと難しい面があると思います。個人情報関連や5Gに関連した案件や、IT技術を用いた医療事件などが想定されます。いわゆる「ヘルステック」(医療×IT)、「フィンテック」(金融×IT)などの経験はあったほうがいいでしょうね。

ーーなかなか特殊な領域ですよね。今、関連した案件は扱っていないけど、そういう案件を扱うところを目指したい若手の先生とかは、どういうアクションをしていけばよいのでしょうか。

A氏:  今までの経験を考えずに目指す事務所に直接移ろうとする人が多い印象を持ちます。自身でも難しいと認識しているケースでも無理矢理に自分を奮い立たせて目指してしまう方もいらっしゃいます。現実的には未経験の最先端分野への採用のハードルは高く、結局決まったところに移籍することになってします。一方で、そのまま漫然と経験を数年つんでも希望の事務所に行くことができるわけではありません。

ですので、私はみなさんと、「行きたい事務所の取り扱い領域」と「自分がいままで扱ってきた案件や経験」を把握して、親和性のある部分や接点をご一緒に考えています。その上で、希望する事務所のこともリサーチする。難しそうだと思ったら、また自分の別の案件や経験を振り返って同じことをします。そうすると、理想の事務所に行く前に、経験がつめそうな事務所が見つかったり、現在の環境で自分の取り組むべき案件などが明確になっていって、最終的なゴールへたどり着くイメージができてきます。ゴールから逆算していく発想ですね。

ーーそういう戦略的なキャリアの積み方は、弁護士では一般的にはなっていないイメージです。

B氏: 「弁護士なので企業法務ができるようになっておこう」「ファイナンスも理解しておこう」という人は多いです。ただ、世間のニーズから考えている人はあまり多くありません。今後の自身のキャリアや周りとの競争を考えたときに、世間や市場のニーズに対する感度はあげておいて損はしないと思っています。

A氏: 市場のニーズや、自身の立ち位置を理解していないと、転職活動は失敗しやすいです。自分の立ち位置と、理想への距離の話は多くの人にとって聞きたい話ではありません。実際に嫌な気持ちになってご連絡がつかなくなってしまう方もいらっしゃるのですが、最初に転職相談をしてくださる時点で課題感をすでにお持ちなわけですから、重要な一歩をすでに踏んでいるわけです。不通になった方でも、また後日ご相談いただくケースは非常に多く、喜んでご支援を再開させていただいています。

ーー市場ニーズやキャリアを考えないというのは、弁護士という資格がとても強くて、「資格さえを持っていれば、仕事がきて、やっていける」という一昔前の時代の名残なのではないでしょうか。

A氏: 残念ですが、弁護士資格の力は、バブル時代以前と比較すると相対的に弱まっている現状があります。バブル期著名だった電気メーカーは外国資本が入るなどしているように、日本の産業は衰退しつつある現実を踏まえてキャリアを考える必要があります。日本の企業法務弁護士は、自分なりに留学してアメリカの弁護士資格取って現地で弁護士やってみるなど、視野を広くしてキャリアプランを考えるべき時代に入っているのだと思います。

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