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企業法務人材が地方転職を成功させる方法 – コンサルタント船木が明かす、大都市部以外での求人の実態とは


東京や大阪以外ではポジションが少ないイメージのある企業法務。実際に、地方での転職活動は、首都圏や大都市での転職活動とどう違うのでしょうか。また、そのような地域での転職活動をスムーズに進めるためには、どのような点を意識すべきなのでしょうか。企業法務人材における地方転職の実態について、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントの船木に聞きました。

地方転職の一番のメリットは「その土地で生活できる」ということ

——地元の方やUターンを希望する方以外で、どのような方が地方での転職を考えているのでしょうか。

ひとつは、配偶者の地元で働くために検討するケースがあります。また、登山が好きで山の近くに住みたいなど自分なりのライフスタイルを追求するために地方移住したいという方もいらっしゃいますね。その土地にまったく縁がない場合は、移住地としての魅力を感じられているのだと思います。

——地方へ転職することのメリットについて伺えますか。

一番大きいのは、地元で働けることだと思います。たとえば、もともとキャリアアップを志向して東京の企業への転職を検討していたものの、家庭の事情でそのまま地元に残り転職先を探すことになったケースがあります。その方の場合は、東京の企業よりも成長できそうな良い地元企業と縁があり、年収アップも実現できました。

デメリットとしては、年収レンジが低いことです。やはり東京・大阪のほうが地方よりも年収レンジは高くなります。実家に住んでいる方などであれば、地方のほうが生活コストを押さえられるので単純に額面だけでは比較できないと思いますが、同じようなポジション・職務内容でも東京であればさらなる年収アップが期待できるというのが実際のところです。

法務専門キャリアコンサルタントの船木さん

地方での法務はコンパクトな組織で幅広い業務が求められる

——地方と都市部の求人の違いはありますか。

会社の規模感でしょうか。東京は大手企業が多く、大きいところであれば法務が数十名体制という会社もあるなど、法務が組織化されています。一方、地方の場合は、よほど大きな会社ではない場合、比較的コンパクトな組織になります。そのため、株主総会や取締役会対応などを含め幅広い業務が求められるようになります。

——地方の場合はいわゆる一人法務の求人のほうが多いということでしょうか。

それは会社によりますね。一人法務の会社もあれば、複数人のチーム体制で法務を担っている会社もあるというのは、都市部と同じかもしれません。

——ちなみに、求職者にとってはどちらのほうが魅力なのでしょうか。

裁量権を持って法務部門を立ち上げ、部下となる人材を採用してマネジメント経験を積んでいくことを見据えた人にとっては、一人法務は魅力的だと思います。一方で、他に相談やチェックできる人がいないために、サービス品質に自信が持てなかったり、孤独になってしまったりする点は一人法務のデメリットです。このメリット・デメリットをどう捉えるかは、人によって異なりますよね。

——いずれにしても、地方ではコンパクトな組織のなかで力をつけていけそうなイメージを持ちました。

30-50人も法務がいるような会社に比べ、3-4人で法務を回している会社の方が確実にライバルは少ないので、そうした面はあると思います。ただ、地方の一番の魅力は、その土地で生活ができるという点にあります。自己成長という観点でいくと、東京のほうがやはり選択肢は多いですし、さまざまな人に会える機会も引き抜きのチャンスもあります。キャリアアップのために東京から地方へ移るという選択は、現実的ではありません。仕事に求める要素の優先順位は、自分のなかでよく整理しておいたほうがよいでしょう。

求人数の多さは東京が圧倒的。地方転職では機会損失のないよう早めに動く

——地方で転職活動を行う際に気をつけることはありますか。

大前提として、地方は求人数が圧倒的に少ないということは頭に入れておいていただきたいです。私の肌感覚として、企業法務の求人数のうち8割5分程度は東京に集中しており、残りの1割が関西、さらに残りの0.5割が愛知・福岡という状況です。それ以外の都市になると、たまにご相談をいただく程度でほとんど求人はありません。たとえば、東京であれば30-40社ほど提案できる方でも、福岡だと5社くらいにまで減るイメージです。地方は求人数が少ないので、具体的に活動を検討されている人であれば早めに動かれることをおすすめします。

——数が少ないぶん、マッチングが難しそうです……。

ただ、地方は候補者も少ないので、企業側も採用に困っています。求職者側としては、機会損失を減らすという観点で、食わず嫌いをしないほうが良いと思います。どうしても避けたいとか嫌だと思う企業でなければ、まずは話を進めてみましょう。求人票だけでは企業の本当の部分は見えにくく、実際に話を聞いてみたら「すてきだな」「こういう人たちと働きたい」などと気持ちの変化が起きる場合もあります。

——地方だと、企業側も候補者の条件を広くみているのですか?

それは企業によるので一概には言えません。時間を掛けてでも良い人材を採用したい企業もあれば、急ぎなので幅広く見る企業もあります。だからこそ、まずは私たちコンサルタントに相談していただきたいです。求人票を見て、必須要件や歓迎要件が自分に当てはまっていないと感じても、話を進めてもらえるケースは意外とあります。経験がない、勤務年数が足りないなどといった理由から自己判断でスキップすることは避けたほうが良いでしょう。

“食わず嫌い”をしないで探せば、ビックチャンスをつかめる機会も

——地方企業の法務として求められている理想の人材はどういう人なのでしょうか。

20-30代で、将来的にマネージャーや役員のポジションを見据えている案件が多いですね。一部、法務部門の責任者を求めているようなケースもあるので、40-50代くらいの方でもチャンスはあります。

——基本的には即戦力が求められているということでしょうか。

法務に限らず中途採用は即戦力が求められますし、それは都市部でも同じです。ただ、予備試験に合格しているとか、司法書士の資格を持っているとか、ロースクールを卒業しているなど、法的素養がある方であれば、ポテンシャルで採用してもらえる可能性もあります。こうした傾向も、都市部と同様だと思います。

——法務としての経験自体は、都市部と地方で差はありませんか。

法務の仕事は働くエリアよりも、業界によるところが大きいです。ただ、金融やITメガベンチャーなどの領域で経験を積みたい場合は、東京がベストだと思います。

——地方ではどのような業種の求人が多いのでしょうか。

地域ごとに特性があります。愛知の場合は、トヨタグループをはじめメーカーが多いですね。福岡だと、不動産や建築、金融、介護・医療、ITなど多様です。

——地方転職を考える方が共通して苦戦しているところがあれば教えてください。

地元の知り合いがいるので転職しにくい、気まずいという話は聞いたことがあります。過去にそうしたケースがあったときに、地元に加え、フルリモート案件も視野に入れていただいたことがあります。ただ、フルリモート案件に関していえば地方の求人よりもさらに少なくなるので、やはり”食わず嫌い”をするほどの選択肢はないというのが実態です。ただ、地方は候補者が少ないぶん、ビッグチャンスをつかめる機会もあります。非上場企業から地方の上場会社への転職に成功し、運良く年収アップを実現できたケースもあります。

——最後に、地方で転職を考えられている方たちへのメッセージをお願いします。

転職に際してわからないことや困ることはたくさん出てきます。私たちコンサルタントは、転職に関する情報を熟知しているので、遠慮なく何でも相談していただきたいです。

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