弁護士ドットコムキャリア

ライフステージの変化を機に企業法務未経験から民間企業へ – 法律事務所の弁護士キャリアの活かし方


結婚・子育てとライフステージの変化が訪れやすい30歳前後は、自身のキャリアや働き方について改めて見直す方も多い時期です。法律事務所から企業法務へのキャリアチェンジを決めた30代男性弁護士は、子どもが生まれワークライフバランスを重視したいと考えるようになったことが転職活動をはじめたきっかけだったといいます。今回は、企業法務未経験の弁護士が民間企業に転職する際に気をつけるべきポイントについてお話を伺いました。

保険関連の案件を扱うなかで人に寄り添うことを学んだ法律事務所時代

——これまでのキャリアについて教えてください。

大学は法学部でした。大学入学時には弁護士になることも見据えてはいましたが、企業への就職にも興味があったので、その時点ではっきり決めていたわけではありません。その後、法科大学院を経て司法試験合格後、法律事務所へ入所しました。当時はまだ就職活動が大変な時期で、正直に言うとなかなかこちらから選べるような状況にはありませんでした。そんななか私が入所した事務所は、パートナーが数名の小規模な組織でした。面接のときに優しく対応してくださったこともあり、この方々と一緒に仕事をしてみたいという思いを持っていたところ、内定をいただくことができました。

——法律事務所では主にどのような案件を扱われていましたか。

保険会社の顧問業務として、交通事故や労災事故対応など保険が関係する損害賠償の案件を中心に担当していました。ただ、企業法務として保険会社内の法律相談を受ける機会はありませんでしたね。

——交通事故の保険は、被害者、加害者、保険会社と立場によってそれぞれ対応が異なるように思います。

そうですね、どのケースにも対応していました。依頼者のために全力を尽くすという基本的な考え方はどの場合でも同じですが、それぞれ方向性が異なります。被害者側の立場だと、賠償を増額する交渉をしていくことになりますが、加害者側であれば過剰な請求に対して減額を交渉する方針となります。いずれにしても、適正な賠償にしていくという発想が重要になります。

——そうした業務のなかで学ばれたこと、またやりがいを感じられていたことはありますか。

人に寄り添うということを学びました。場合によってはお客さまにとって耳が痛くなるような話をしなければならないこともありますが、お客様が最初にご相談にいらしたタイミングで、今後どうなっていくか必ず見立てを伝え、できる範囲内で解決に向かうよう進めていきました。弁護士として適正な解決方法を提案することで、お客さまに喜んでもらえたときにはやりがいを感じますね。

ワークライフバランスの確保と予防法務への興味から、民間企業への転職を検討

——転職を考えられはじめたきっかけはいつだったのでしょうか。

事務所に入ってからはとにかく忙しく目の前の仕事をこなしていくのに精一杯で、正直なところキャリアについてあまり深く考えたことはありませんでした。転職を考えはじめたきっかけは、子どもが生まれたタイミングでした。子どもと一緒にいられる時間を増やすために改めてワークライフバランスを見直し、テレワークや育休制度が整っている民間企業への転職を視野に入れはじめました。事務所の業務自体はおもしろかったですし、不満があったというわけではありません。

——企業法務への興味はもともとお持ちだったのでしょうか。

事務所での業務は基本的にすでに起こった事件に関して対処していく形になるため、「もっと前のタイミングで対策を打てていればこんなことにならなかったのに」と感じることが多々ありました。あらかじめトラブルを予防する動きができるという点で、企業法務に挑戦してみたいという気持ちはずっと持っていました。

——企業法務未経験からインハウスロイヤーへの転職ということで、企業を選ぶうえでどのような点を意識されていましたか。

業種や事業の内容については特にこだわりはありませんでしたが、企業法務未経験ということで、法務体制が整っている企業を志望していました。理想は、先輩弁護士が在籍していて、なおかつ他部署との兼任ではなくきちんと法務部が独立しているような組織でした。そうした会社では、法務の重要性が理解されており、法務としての専門的な意見が求められる体制があると考えたためです。

コンサルタントとの綿密な準備の甲斐あって、1社目の企業に内定

——今回の転職活動では、弁護士ドットコムキャリア以外の転職エージェントは利用されましたか。

複数社に登録しましたが、弁護士ドットコムキャリアで紹介していただいた1社目の企業に決まったので、他社はコンサルタントとの面談をした程度です。

——転職先はかなりスムーズに決まったのですね。

社内弁護士の退職によって人員補充を検討されていたタイミングで応募できたというタイミングの要素が大きかったかもしれません。かなり運がよかったと感じています。また、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方が先方に対して「企業法務未経験の弁護士でも優秀な人材であれば検討したほうがよい」とアドバイスされたこともポイントだったように思います。

——コンサルタントと面談をしてみて、弁護士ドットコムキャリアと他社のエージェントとの違いは何か感じられましたか。

他社は画一的な形で行われているような印象でしたが、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方は、私が求めている条件を的確に把握してさまざまな案を提案してくだいました。だからこそ、すぐに内定をいただけたのだと思っています。

——面接ではどのような点に気をつけられていましたか。

自己PRや志望動機など一般的に聞かれやすい項目については、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方と相談しながらあらかじめ答えを準備していました。

——法律事務所から民間企業へのキャリアチェンジの理由についてはどのように説明されたのでしょうか。

事務所の業務を通して予防法務の重要性を理解したという点に重きを置いて伝えるようにしました。転職先の法務部長が弁護士の方で、ワークライフバランスの問題も含めこちらの事情をよく理解してくださり、私の説明もすんなり受け入れていただきました。

——企業法務未経験という状況での転職活動において重要だったと思うことがあれば教えてください。

これまでの仕事の経験をどう活かせるか、面接時に説明できるようきちんと言語化しておくことが大切だったと思います。私に関していえば、保険会社の顧問業務としての事故対応は一見すると企業法務とはまったく別の業務に思えますが、保険会社の担当者から直接相談を受けていた経験は、社内の法律相談などに活かしていけると考えました。
また、転職活動をしている人や、過去に経験している人に相談することもやはり重要だと思っています。私は企業の法務担当者として働いている妻や修習同期からアドバイスをもらうようにしていました。

未経験からの転職を考えるのであれば、なるべく早めに動きはじめる

——これから実際に転職されて新しい業務に取り組まれることになりますが、意気込みを伺えますか。

はじめはとにかく目の前にある仕事にできる限り取り組み、事業部の方々が気軽に相談しやすいような法務体制をつくっていければと考えています。

——最後に、30歳前後で転職を検討されている弁護士の方にメッセージをお願いします。

企業の場合、未経験でもこの年齢であれば将来性を考慮して採用してもらえるケースは多いと思いますので、転職活動をするのであればなるべく早めに動きはじめたほうがよいでしょう。実際に転職活動をしてみて、「今の職場のままがいいな」と感じることも、それはそれで収穫です。今は売り手市場ということもあり、転職を考えるタイミングとしてはよい時期です。まずは動いて企業の話を聞いてみるのがよいと思います。

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