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知財部門の転職活動 「ベンチャー」「知財部門立ち上げ」「フルリモート」3つの条件を定め、希望通りの転職を叶えた方法

工学部出身のSさんは大学在学中に知的財産権の授業を受けた際、「知財は技術と法律を両方扱う仕事」と知って興味をもち、卒業後は特許事務所に就職します。約20年前の特許事務所は企業から特許の出願依頼を受け、必要な申請書類を作成するのが主な仕事でしたが、Sさんが入所した事務所は企業への知財コンサルティングを手掛けており、Sさんも知財コンサルタントとして活躍してきました。

その過程で知財の魅力を知ったSさんは、2度目の転職で医療系IT企業へ入社します。転職市場における知財担当者の募集は決して多くありません。その中でSさんはどのように転職を成功させたのでしょうか。詳しくお話を伺いました。

新卒で入所した特許事務所で「知財コンサル」を手掛ける

知財に興味を抱いたのは大学の授業を受けてからです。講義で「知財は技術と法律を両方扱う仕事だ」と言われ、面白そうだと感じたのを覚えています。就職活動でも特許事務所が最初に内定をいただき、縁を感じて入所しました。

2005年に私が入所した特許事務所は、当時としてはかなり珍しく企業への知財コンサルティングを行っていました。私も特許出願に関するアドバイス、新商品が他社製品の特許を侵害していないか調査する侵害予防のみならず、競合他社の分析、クライアントの強みのアドバイスといった業務を手掛け、仕事の6割は知財コンサルでした。

企業の依頼を受けて特許の出願書類を用意するだけではなく、直接企業に入り込んで知財をどう活かすか考えるコンサル業務はとても面白く、入所した特許事務所が先進的な取り組みをしてくれていたおかげで「知財分野をもっと極めたい」と思うようになり、キャリアの方向性も定まりました。

知財を通した事業貢献を目指し、自動車関連メーカーへ転職

知財コンサルを10年経験し、次第に「知財を通してもっと事業に貢献したい」という想いが強くなっていきました。そこで企業への転職を考え、2016年に自動車用の各種スイッチやシートベルトなどの車載製品をつくる自動車関連メーカーに入社します。役割や環境の違いもあり、特許事務所から企業への転職は歓迎されない風潮がありましたが、特許事務所では自動車部品や事務機器のメーカーを担当していたため車載製品の知見を得ていたことが幸いしました。

この転職では、メーカー勤務になったことで技術者と対話する機会が格段に増えました。知財担当者として技術者と向き合い、技術と法律の観点から考えを整理してあげる。すると、対話の中で技術者に開発のヒントを与えることができるのだと気付きました。「こんなモノを作ったら新しい特許が取れる」と言うのではなく、話しを聞きながらその考えを整理すると技術者が新たな閃きを得る、というわけです。このやり取りは技術者にとても喜んでもらえ、私自身もメーカーにおける知財の仕事に大きなやりがいを実感できました。

入社から数年後にはグループマネージャーとして部下5~6名をマネジメントするポジションになり、他部門から異動してきた知財未経験者を指導する役割も担いました。イチから教えるのはなかなか骨が折れる仕事ではあったものの、人材育成の楽しさも経験できました。

しかし、知財以外の部署へ異動する話が持ち上がり、異動先では知財に関わる機会がないこともわかり、再度転職を決意します。

希望条件を明確にし、志望動機も重視して成功した、40代・2度目の転職

前回の転職活動で苦労した経験から、今回はスカウトサイトに登録して声を掛けてくれる企業があるか確かめてみました。そこで返信をいただいたのが、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントの船木さんです。

私は希望条件として、①知財業務を担当できること、②ある程度の裁量をもって働けることの2点を軸にしたい旨を伝え、この条件に合致するのはベンチャー企業で新しく知財部門を立ち上げるために経験者を募集する会社だろうと想定していました。ただ、そのようなベンチャー企業は本社を東京に構えていることが多いという船木さんのアドバイスを受け、転居せずに働けるよう③フルリモート勤務も条件に加え、転職先を探してもらいました。

タイミング良く複数の会社の求人募集があり面接を受けましたが、最初に面接した企業からは採用見送りの通知が来てしまいます。新卒の就職活動と違い、40代の転職では志望動機よりも「入社して何ができるか」というスキルのアピールが重要だと勝手に思い込んでいました。しかし、船木さんから「何歳の転職でも志望動機は変わらず重要です。経験やスキルのアピールだけではなく、なぜこの会社に入社したいのか、という志望動機をもう少し具体的に考えてみましょう」と言われ、そういうものだろうかと半信半疑ながら「この会社だからできること、やってみたいこと」を考えて面接に臨むようにしました。するとすぐに成果が出て、IT関係の会社から内定をもらえたのです。

いま振り返ると、40代の転職では確かに経験やスキルが重視されるのでしょうが、それだけをアピールしても企業側は「本当にこの人に任せて良いのか」という確信が持てないのかもしれません。特に、知財は会社の資産を扱う部署です。「こんなことに取り組みたい」と熱心に語る就活生を見て、上司や先輩が「この学生なら一緒に働けそうだ」と思うのと同じように、40代であってもしっかり志望動機を語ることで「この人なら知財を任せられる」と信じてもらえる。2度目の転職が成功したのは、船木さんのアドバイスがあったからです。本当に感謝しています。

フルリモート勤務で知財の立ち上げに着手。希望が叶い、毎日が充実

2023年3月に現在の会社に入社し、3カ月が過ぎました。現在の会社は独自のITプロダクトを開発・提供しており、私も新しい知財の仕組みづくりを着々と進めています。ずっとチャレンジしたかった知財の立ち上げに携わり、しかもフルリモート勤務の希望も叶い、いまは毎日が充実しています。今後は前職のように技術部門の役に立ち、知財も事業に貢献できることを示していきたいです。

私と同じように知財に関わっている方は転職したくてもなかなか公募がなく、転職を考えながらもいまの会社にズルズルと居続けている、というケースも多いかもしれません。でも、いまの会社で悩むくらいならチャレンジするべきでしょう。そして、チャレンジするために「自分の売りになるモノ」を会社に頼らず自分で作っておくべきだと思います。

強みをもっていれば、その強みを欲しいと思う企業が現れます。常日頃からキャリアの棚卸を行い、自分の強みや特徴を正確に理解しておけばキャリアプランを考えるベースになりますし、希望の企業と出会えるチャンスも増えるのではないでしょうか。

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