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弁護士の初任給はどれほどのものなのでしょうか?
かつては、弁護士といえば社会的地位が高いと同時に収入も高いと考えられていましたし、現在でもそのようなイメージは残っていると思われます。
しかし、司法改革後の状況を見ると、弁護士の収入が高いとは必ずしも言えないような状況があるようですし、そのような報道に接することも多くなっています。
これから弁護士になろうとする人にとっては、弁護士になるとどの程度の収入があるのかは大変気になることだと思います。もちろん、弁護士になる目的は収入のみではなく、社会正義を追及するため、人の役に立つために弁護士になるという人も多いでしょうから、収入は二の次だとも考えるかもしれませんが、そもそも生活が成り立たないのでは弁護士としての活動もできませんから、やはりあらかじめ弁護士の収入を把握しておくことは重要です。
そこで、ここでは弁護士の初任給について調べてみることにします。
平成28年の法務省の調査によると、1年目の弁護士の収入の平均値は、平成27年(67期)が568万円となっています。中央値は、543万円となっています。他方、1年目の弁護士の所得の平均値は、平成27年(67期)が327万円です。中央値は、317万円となっています。
なお、ここでいう収入とは必要経費を差し引く前の売り上げ、所得とは収入から必要経費を差し引いたものをいいます。
1年目の弁護士の収入の平均値の最近の推移は下表のようになっています。
平成25年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 |
---|---|---|---|
新65期 | 現行65期 | 66期 | 67期 |
621 | 607 | 577 | 568 |
収入の中央値の推移は下表のとおりです。
平成25年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 |
---|---|---|---|
新65期 | 現行65期 | 66期 | 67期 |
583 | 575 | 530 | 543 |
1年目の弁護士の所得の平均値の推移は下表のとおりです。
平成25年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 |
---|---|---|---|
新65期 | 現行65期 | 66期 | 67期 |
354 | 288 | 330 | 327 |
所得の中央値の推移は下表のようになっています。
平成25年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 |
---|---|---|---|
新65期 | 現行65期 | 66期 | 67期 |
328 | 303 | 301 | 317 |
これを見ると、収入・所得とも平均値では減少傾向にありますが、中央値ではそうはなっていません。中央値が減少していないのに平均値が減少しているということは、収入・所得の少ない者の収入・所得額がより少なくなっていることが想像されますが、データ上は定かではありません。
なお、平成23年の法務省による同様の調査では、当時1年目の新62期の収入の平均値は777万円、中央値は700万円、所得の平均値は546万円、中央値は480万円、現行62期の収入の平均値は780万円、中央値は736万円、所得の平均値は570万円、中央値は524万円となっています。いずれの金額も5年前と比較すると減少していることが分かり、長期的に見ると弁護士の初任給は減少傾向にあるといえるでしょう。
事務所の規模別に弁護士の初任給を見ると、次のようなデータがあります。
いずれも厚生労働省賃金構造基本統計調査の職種・性、年齢階級、経験年数階級別によるもので、従業員数が10人以上の企業に関するデータです。
10~99人 | 100~999人 | 1000人以上 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
平成28年 | 313.9万円(男性) | データなし | 780.6万円(男性) | 318.9万円(男性) |
平成27年 | 501.4万円(男性) 150.0万円(女性) |
データなし | データなし | 501.4万円(男性) 150.0万円(女性) |
平成26年 | 391.5万円(男性) 310.0万円(女性) |
1107.8万円(男性) | データなし | 473.5万円(男性) 310.0万円(女性) |
平成25年 | 295.4万円(男性) 300.0万円(女性) |
データなし | データなし | 295.4万円(男性) 300.0万円(女性) |
平成24年 | 474.3万円(男性) 400.0万円(女性) |
データなし | データなし | 474.3万円(男性) 250.9万円(女性) |
データを見るかぎり、この調査は回答数が大変少ないものであることが分かりますので、さほど参考になるものではありません。
また、平成24年から平成28年を通じてデータがある男性の金額を比較しても、増加減少などの一定の傾向は見られません。あくまで規模別の弁護士初任給の一例を示すデータとして参考にすべきものでしょう。なお、残念ながら、この他に事務所の規模別に弁護士の初任給を調査したデータはないようです。
前項に挙げたデータは、男女別に初任給がまとめられています。
これを見ると、平成25年を除いては男性の初任給の方が女性の初任給を上回っていることがわかりますが、平成28年は女性に関するデータがなく(おそらく女性からの回答がなかったものと思われます)、この男女差がそのまま現実を反映しているのかは定かではありません。
1年目の弁護士の給与所得と給与外所得の割合はどうなっているのでしょうか?
平成28年の法務所の調査によると次のようになっています(総回答数800。67期)。
給与所得のみ 171(21%)
給与所得以外の所得もあり 432(54%)
給与所得以外の所得のみ 151(19%)
無回答 46(6%)
これを見ると、過半数が給与所得以外の所得もあると回答しており、事務所からの給与以外にも収入を得ていることが分かります。他方、給与所得のみ、あるいは給与所得以外の所得のみと回答している者はそれぞれ21%と19%となっています。
少なくとも1年目の弁護士の場合には、個人事件の受任を禁止されている場合や、そうでなくても個人事件を受任する機会がまだない場合もあると思われますので、収入が給与所得のみの者が21%存在するということは当然の数値でしょう。
また、事務所からの給与以外に個人事件から収入を得ている者が相当割合で存在しているようですが、事務所の給与以外の収入の内容やその扱いをどうするかは事務所によってさまざまですので、事務所からの給与以外の収入が個人事件なのか、事務所の事件の一定の歩合なのか、国選などの収入のみなのかなどの詳細は分かりません。
さらに、事務所からの給与以外の所得のみの者の割合も19%となっていますが、1年目から個人事件のみで収入を上げるということは簡単ではないでしょうから、この中には事務所の事件から一定の割合で歩合をもらっているようなケースもあるものと思われます。
参考のために、大学・大学院卒男女の平成27年の平均初任給を挙げておくと、328万円となっています(厚生労働省平成27年賃金構造基本統計調査より)。
この金額は、給与所得控除前の金額のようですので、平成27年の1年目の弁護士(67期)の収入の平均値(568万円)と比較すると、弁護士の初任給の方が240万円上回っています。
この点では、少なくとも就職した時点で比較すると弁護士の収入はいまだ低くはないということができるでしょう。
弁護士の経験年数別の収入の平均値は下表のとおりです。
経験年数 | 期 | 収入(平均値)単位:万円 |
---|---|---|
1年目 | 67期 | 568 |
2年目 | 66期 | 762 |
3年目 | 新65期 現行65期 |
904 923 |
4年目 | 新64期 現行64期 |
1,139 1,027 |
5年目 | 新63期 現行63期 |
1,360 1,465 |
6年目 | 新62期 現行62期 |
1,533 1,322 |
7年目 | 新61期 現行61期 |
1,605 1,759 |
8年目 | 新60期 現行60期 |
1,801 1,786 |
9年目 | 59期 | 1,903 |
10年目 | 58期 | 2,251 |
11年目 | 57期 | 2,530 |
12年目 | 56期 | 762 |
13年目 | 55期 | 2,472 |
14年目 | 54期 | 2,796 |
15年目 | 53期 | 3,085 |
全体 | 53~67期 | 1,491 |
収入の中央値は下表のようになっています。
経験年数 | 期 | 収入(平均値)単位:万円 |
---|---|---|
1年目 | 67期 | 543 |
2年目 | 66期 | 654 |
3年目 | 新65期 現行65期 |
785 876 |
4年目 | 新64期 現行64期 |
934 958 |
5年目 | 新63期 現行63期 |
1,081 1,135 |
6年目 | 新62期 現行62期 |
1,252 1,200 |
7年目 | 新61期 現行61期 |
1,336 1,269 |
8年目 | 新60期 現行60期 |
1,479 1,465 |
9年目 | 59期 | 1,605 |
10年目 | 58期 | 1,796 |
11年目 | 57期 | 1,926 |
12年目 | 56期 | 2,076 |
13年目 | 55期 | 1,984 |
14年目 | 54期 | 2,296 |
15年目 | 53期 | 2,363 |
全体 | 53~67期 | 1,068 |
弁護士の経験年数別の所得の平均値は下表のとおりです。
経験年数 | 期 | 収入(平均値)単位:万円 |
---|---|---|
1年目 | 67期 | 327 |
2年目 | 66期 | 423 |
3年目 | 新65期 現行65期 |
476 391 |
4年目 | 新64期 現行64期 |
606 543 |
5年目 | 新63期 現行63期 |
686 697 |
6年目 | 新62期 現行62期 |
765 627 |
7年目 | 新61期 現行61期 |
804 734 |
8年目 | 新60期 現行60期 |
863 825 |
9年目 | 59期 | 847 |
10年目 | 58期 | 1,024 |
11年目 | 57期 | 1,051 |
12年目 | 56期 | 1,131 |
13年目 | 55期 | 1,051 |
14年目 | 54期 | 1,191 |
15年目 | 53期 | 1,285 |
全体 | 53~67期 | 716 |
所得の中央値は下表のとおりです。
経験年数 | 期 | 収入(平均値)単位:万円 |
---|---|---|
1年目 | 67期 | 317 |
2年目 | 66期 | 391 |
3年目 | 新65期 現行65期 |
426 462 |
4年目 | 新64期 現行64期 |
514 430 |
5年目 | 新63期 現行63期 |
572 592 |
6年目 | 新62期 現行62期 |
648 579 |
7年目 | 新61期 現行61期 |
671 576 |
8年目 | 新60期 現行60期 |
770 672 |
9年目 | 59期 | 732 |
10年目 | 58期 | 739 |
11年目 | 57期 | 816 |
12年目 | 56期 | 884 |
13年目 | 55期 | 832 |
14年目 | 54期 | 900 |
15年目 | 53期 | 983 |
全体 | 53~67期 | 537 |
弁護士4年目に収入の平均値は1,000万円を超え、10年目に2,000万円を超えています。
中央値で見ても、5年目に1,000万円、12年目に2,000万円を超えています。参考までに、平成23年の調査では、2年目には平均値で1,000万円、5年目で2,000万円を超え、中央値では2年目に1,000万円、8年目に2,000万円を超えています。
ただ、所得で見ると、1,000万円を超えるのは平均値で10年目で、中央値では弁護士経験15年までの間には達していません。
なお、平成23年の調査では5年目で平均値で1,000万円を超え、中央値では7年目で1,000万円を超えています。 経験年数を重ねるごとに収入・所得が伸びていることは間違いありませんが、5年前の調査と比較すると収入・所得が上昇する割合が鈍くなるとともに金額も減少しており、やはり弁護士の収入は減少傾向にあるようです。
以上のとおり、弁護士の初任給はかつてと比べると減少していることは間違いないようです。
ただ、弁護士以外の数値と比較すると決して低いわけではありません。
弁護士の収入はその弁護士の能力・才覚などによって大きく変わってきます。初任給が低くても、年を追うにしたがって収入を上げていく弁護士は幾らでもいます。特に、現在の弁護士業界は以前よりも競争が激しくなっていますし、依頼者側の目も鋭くなっています。初任給が減ったといっても、きちんとした仕事を積み重ねていくことによって収入を伸ばしていくことは十分可能です。
法律事務所の就職活動を行う際にも、上記の数値を参考にすることは重要ですが、その事務所に就職した後に収入を伸ばす手立てがあるかについても十分考える必要がありそうです。
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