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弁護士の転職時期の決め方とスムーズに転職するためのスケジュールの立て方

「転職したい」と考えたとき、やるべきことの一つに「転職時期を決める」ということがあります。

そもそも転職には、

  1. 転職に関する情報の収集
  2. 応募から内定
  3. 引継ぎと退職

――という3つの段取りがあります。

転職時期を決めるにあたっては、これらの段取りとの兼ね合いでスケジュールを立てることが必要です。

今回は、転職時期の決め方を紹介します。

なお、弁護士は「しがらみ」が多い仕事ですので、この段取りを1歩1歩確実に踏み外さないように進むことをおすすめします。新天地でスムーズな再スタートが切れるように、しっかり転職スケジュールを組みましょう。

この記事がスムーズな転職のためのご参考になれば幸いです。



弁護士の転職期間は?

転職活動の開始から次の勤務先の入所日まで、大体4カ月とみておきましょう。
そのスケジュールは、おおよそ次の通りです。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目
情報収集  ◯  ◯
キャリアプランの策定  ◯  ◯
応募書類の作成、応募  ◯  ◯
面接  ◯  ◯
内定  ◯
条件交渉  ◯
引継ぎ、退職手続き  ◯  ◯
入所準備  ◯

(1)転職先情報を集める

弁護士の転職を成功させる「鉄則」は、とにかく選択肢を増やすことです。転職情報は、多方面から大量に集めてください。

ここで再び上記のスケジュール表を見ていただきたいのですが、転職情報の収集は1カ月以上かけています。

転職が成功するか失敗するかは、「タイミング」が大きく関与します。
もし活動開始直後に多くの転職情報を集めることができても、1カ月くらいは断続的に情報収集を行ってください。

(2)キャリアプラン策定から応募書類の作成・送付

また履歴書と職務経歴書の応募書類の作成は、転職情報の収集活動を初めてから半月ほど経過してから開始してください。

応募書類は「転職先のターゲット像」と「転職のイメージ」がしっかり固まるまで作成しないほうがいいのです。先走って職務経歴書を書いてしまっても、結局書き直しになってしまいます。

詳しくは、「弁護士が転職時に容易に書類審査を通過するための魅力的な書類の書き方」をご参照ください。

弁護士が転職時に容易に書類審査を通過するための魅力的な書類の書き方、そして弁護士の転職活動における情報収集では、転職エージェントの支援を受けることもおすすめします。
その理由は後段で詳しく解説します。

(3)応募書類の送付から面接、内定

応募書類を郵送やメールで送って書類選考に通過したら、およそ1週間から1ヶ月間に採用面接が行われます。採用面接は、よほど小規模でない限り、少なくとも2回は行われることが多いでしょう。

法律事務所は新たに弁護士を採用するときに、慎重に事を進めます。その法律事務所と応募してきた弁護士の専門分野が同じであることは重要な要素ですが、応募者の人格や人柄もじっくり見られます。

詳しくは、「弁護士が転職の面接で失敗しないための想定問答集」をご参照ください。

弁護士が転職の面接で失敗しないための想定問答集、長ければ、内定が出るのは最終面接から1週間以上かかるかもしれません。

(4)引き継ぎ、退職

退職や転職には様々な事情が絡みます。そのため、上司に辞意を伝える前に転職先の事務所から内定をもらってしまうこともあります。

この場合、上司には正直に、いまの事務所を辞める方向で動いていたことと、既に転職の希望先から内定をもらっていることを伝えてください。

それを聞いた上司は不快感を示しますし、激高するかもしれません。それでも、「辞める事務所の人たちにどのように思われてもかまわない」と開き直るのではなく、なぜ辞める相談をせず転職活動を開始してしまったのかについて、丁寧に説明してください。

そして、退職の意思を伝えて退職日が決まったら、業務の引き継ぎを始めます。その際は詳細な引き継ぎ資料をしっかり作成し、同僚に渡してください。

完璧な引き継ぎを行うメリットは、同僚弁護士から感謝されるだけではありません。同僚の中に、転職先と知り合いがいた場合は、引き継ぎをしっかりと行わなかったとして悪い噂が先に立ってしまうかもしれません。

引き継ぎは、退職予定日の1カ月前には終わらせておくことが理想です。そうすることで事務所の雑務を引き受けることができ、それが「恩返し」になります。

そして、最終日は、お世話になった同僚、上司にお礼を言いましょう。

詳しくは、「内定をもらってから退職までをスムーズに進める方法」をご参照ください。 内定をもらってから退職までをスムーズに進める方法

「辞める日」と「次の入所日」をどう決める?

弁護士の転職では4カ月はかけたほうがよいのですが、当然ながら、さまざまな事情からこの期間は短縮したり延長したりします。

しかし「意味のない短縮または延長」は避けましょう。

結果的にズレが生じるのは仕方ありませんが、とにかく「辞める日」と「次の入所日」は早い段階から設定しておきましょう。

(1)辞める日をどう決めるか

辞める日をきちんと決めておかないと、引き継ぎ業務を効率的に終わらせることができません。

法律事務所の経営者の中には、辞めることが決まっている弁護士に少しでも多くの仕事を消化させようとするかもしれません。辞める弁護士が断固たる決意で臨まないと、引き継ぎ業務をずるずると先延ばしにされてしまいます。

事務所の経営者から「その日に辞めてもよい」という許可が出てから、お世話になった同僚に退職の意思や退職日を伝えるようにしてください。まだ退職が合意されていないのであれば、いくら親しい同僚であっても退職のことを話すことは避けるようにしてください。

次に退職日ですが、早すぎても遅すぎてもだめです。残っている仕事の量や、引き継ぐ仕事の難易度から必要日数を割り出し、「だから◯月◯日に退職します」と伝えてください。

(2)次の事務所の入所日をどう決めるか

困るのは、内定をもらった事務所から「いまの事務所をすぐに辞めて、1日でも早くうちに来てほしい」と言われたときです。設定した退職予定日より早く退職することは、現在の事務所に大きな迷惑をかけることになります。

ただ、転職先の事務所の採用担当者には、一応は「まだ引き継ぎ業務が残っているので、できればそれを片付けてから入所したいのですが、よろしいでしょうか」と言ったほうがいいでしょう。

もしくは「いまの勤務先に退職を早めることができるかどうか交渉しますので、少しお時間をください」と言ってください。それが社会人としてのマナーです。

万が一転職先の事務所が「辞める事務所のことなんてどうでもいいでしょ」と言ったら、その事務所に転職していいのか今一度考えてみたほうがいいかもしれません。

転職活動は在職中か、退職後のどちらが良いか?

先ほど、働きながら転職活動をするシミュレーションを紹介しましたが、現在の事務所を退職してから転職活動に着手する方法もあります。

働きながら転職活動をすることには、メリットとデメリットがあります。

(1)働きながら転職活動をするメリット

働きながら転職活動をするメリットは、キャリアが途切れないことです。

弁護士転職市場はすでに、一般ビジネスパーソン並みの「ビジネスの厳しさ」が求められる時代に突入しています。一般ビジネスパーソンの転職では、半年も無職状態が続いたら、相当不利な状況に追い込まれています。

キャリアの空白期間が3カ月でも、採用面接で冷やかに「この間、何してたの?」と質問されるでしょう。弁護士の転職でもそれくらいの緊張感を持っておいたほうがいいかもしれません。

また当然のことですが、働きながら転職活動をすることは、収入が途絶えないメリットもあります。

(2)働きながら転職活動をするデメリット

働きながら転職活動をするデメリットは、転職活動も辞める事務所での引き継ぎ活動も中途半端になってしまう可能性があることです。

弁護士の仕事はシビアさと多忙が同居しているので、どうしても現行の仕事か転職活動のどちらかが犠牲になってしまいます。

もし、引き継ぎ業務が思うように進まず、転職活動を充実させることができなかった場合、「間違った転職」になってしまいかねません。その場合、また転職をしなければならず、人生の大きな損失になってしまいます。

貯金に余裕があれば、事務所を退職してからじっくり転職活動に取り組むのも、実はそれほど悪くはありません。

転職活動のスケジュールづくりは、「だから」重要なのです。

転職活動の準備

転職活動に着手したら、情報収集以外にも早めに取り組むべき準備があります。
それはこれまでの仕事の「棚卸」をすることです。

「棚」に保管してあった「仕事の記憶」と「スキル」をすべて見える化して、自分の「キャリアの現在地」を確認しなければなりません。

(1)経歴の整理

これまでの仕事の見える化は、時系列に追うことから始めます。

担当した事件の内容や、経緯、失敗したこととうまくいったことなどをすべて書き出していきます。この作業はそのまま履歴書や職務経歴書を書くときの資料になるので、じっくり正確に行ってください。

(2)強みと弱みの見える化

スキルの棚卸と経験業務の見える化は、自分の弁護士としての強みと弱みを発見することにつながります。 それが分かると、転職先で強みを伸ばす仕事の進め方をしたほうがいいのか、それとも弱みを少なくしていく挑戦をしたほうがいいのかが決まります。

転職を単に労働条件を改善する手段にとどめてしまうのはもったいないことです。
これまでの「来し方」を振り返り、これからの「行く末」を決める機会にしましょう。

転職エージェントの利用をおすすめする理由

弁護士の転職では、ぜひ転職エージェントを活用してください。

弁護士は、他の弁護士のことはよく知っていても、他の弁護士の勤務先の様子はあまり知らないことも少なくありません。

転職先の状況を知らずして、「自分に適した職場」にたどりつくことは難しいでしょう。

(1)情報量が決め手

弁護士の転職が難しくなっています。弁護士数の急増により、弁護士転職は売り手市場から買い手市場に変わりつつあります。つまり弁護士転職市場は、採用する側の法律事務所や企業側に有利な展開になっているのです。

転職を考えている弁護士が自力で転職先を探すのは、リスクが大きすぎます。だからといって、弁護士自身が他事務所の労働条件をリサーチするのは時間の無駄です。

転職エージェントを活用して圧倒的な量の情報を得て、転職の選択肢を増やすことが、賢い選択といえるでしょう。

(2)「次こそ長く勤めたい」という弁護士はぜひ

転職エージェントの仕事は、弁護士に「次の職場」を紹介することではありません。
弁護士に「長く輝くことができる職場」を紹介するのが、彼らの任務です。

それというのも転職エージェントたちは、法律事務所から「うちで長く働いてくれそうな先生を紹介してほしい」と依頼されているのです。

転職エージェントは、弁護士と法律事務所のマッチングを最優先に考えているので、転職エージェントに協力をあおぐことで、次の転職が「間違いのない転職」になる可能性が高まるのです。

(3)年収交渉は自分でやらないほうがよいから

「弁護士と医師は年収交渉すべきではない」というのは、転職業界での常識です。

それは弁護士も医師も「品位」が重んじられる仕事だからです。日本ではまだ、お金のことを話すことは品のないこと、と考えられています。

しかし転職する人ならば誰でも、年収がとても気になります。その場合、転職エージェントに「年収交渉」をしてもらえばいいのです。年収交渉とは「これだけの仕事ができるので、年収は◯万円が妥当ではないか」と訴えることに他なりません。

高い年収で入社するということは、それに見合った成果が当然に期待されます。高い年収で転職した結果、思うような成果を出せずに、その事務所に居づらくなるということもあります。

まとめ

転職エージェントは、転職される方の希望を聞きつつ、業界の特性を加味して適正な範囲での年収から交渉を始めます。

ご自身の転職市場の価値を知る上でも、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

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