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企業内弁護士と法律事務所の違いは何?仕事内容・年収・福利厚生のポイントを比較

企業内弁護士(インハウスロイヤー)と、法律事務所に勤務する弁護士には、どのような違いがあるのでしょうか?

両者はしばしば仕事内容・働き方・年収・ワークライフバランスなどの項目で比較されやすく、どちらが自分に向いているのか迷ってしまう人も多いです。この記事では、企業内弁護士と法律事務所という二つの働き方の違いについてわかりやすく解説します。

企業内弁護士と法律事務所の違いは?

もうすでにご存知の方が多いかと思いますが、まずは企業内弁護士と法律事務所勤務の違いについて簡単に解説します。最も大きな違いは、雇用先が「企業」か「法律事務所」かというポイントです。

企業内弁護士は文字通り企業に雇用される弁護士であり、法律知識を活かして利益追求やコンプライアンス順守を行うのが主な役割です。
一般的に、弁護士は法律事務所に雇用され、法律の知識を活かしてクライアントの権利を守るのが仕事とされています。雇用先から給与を貰うという体系は同じですが、両者を取り巻く労働環境は大きく異なります。

次の章からより詳しい違いについてチェックしていきましょう。

企業内弁護士の特徴を解説

まずは企業内弁護士の仕事内容や福利厚生について詳しく解説します。

仕事内容

企業内弁護士の仕事内容は、法律知識を活かした社内外のトラブル対応、契約書チェック、労務管理、M&A、コンプライアンス遵守などがメインになります。

配属されるのは法務部・総務部・バックオフィスなどが多く、大企業の役職であれば、相談役・監査役として参入するケースもあります。
企業内弁護士は社内における法律のスペシャリストとして、契約締結や訴訟対応といった外部企業との交渉から、労務管理や契約書チェックなどの内部調整まで、数多くの人間と密にコミュニケーションを取り、連携しながら仕事を進めていく必要があります。

習得可能なスキル

実際の業務を通じて企業法務全般の幅広い知識・スキルを習得することができます。
ほかの部署を巻き込んで連携・調整を進めて行く必要があるため、組織の中で円滑にコミュニケーションをとるための社会性も同時に身に付けることができます。
また、営業活動の全体像を把握しつつ、適切な打ち手とアドバイスで利益を最大化する技術を習得できるのもメリットです。

デメリットは、周りに自分以外の弁護士がいないため(もしくは少ない)、法曹界の交流や新しい情報に疎くなってしまうリスクが有ることです。また判断迷ったときは過去の判例やデータを元に自分で解決しなければいけないケースが多く、日頃から情報をキャッチアップし社外の弁護士のネットワークを維持する意識が必要となります。

福利厚生の充実度

就職する企業によって差はあるものの、法律事務所と比較した場合、企業内弁護士のほうが手厚い福利厚生を受けられるケースが多いです。

上場企業であれば休日・残業に関する規則もきちんと整備されていることが多く、クライアントワークが発生しないので、会社員と同様に土日休みをしっかりとれる企業が多く存在します。
福利厚生の充実度に惹かれて企業内弁護士への転職を決断する人も一定数います。

ワークライフバランス

ワークライフバランスについては、法律事務所と比べると企業内弁護士のほうがとりやすいという意見が多いです。

また、企業内弁護士は残業が少なく、休日も取得しやすい傾向があります。個人単位で仕事を請け負うような状況が少ないため、社内のスケジュール調整さえ抑えておけば、納期に追われることも少ないでしょう。法律絡みで急なトラブルが発生した場合は、イレギュラーで忙しくなる可能性はあります。

年収の目安

企業内弁護士の年収は、法曹界の実務経験の有無によって大きく変動します。
弁護士としての実務経験がほとんどない場合は、年収300〜600万円台の求人に応募するケースが一般的です。

未経験可の求人では、無資格の法務部スタッフと同等か少し高い年収で雇用されることもあり、弁護士資格に見合わない年収と評価する人も多くいます。一方で弁護士として十分な実務経験と実績を兼ね備えている場合、転職で年収800〜1,000万円以上の高年収が約束される場合もあります。
大手弁護士事務所・渉外事務所から大企業に転職した場合は、法律事務所を上回る年収を提示されることもあります。

法律事務所勤務の特徴を解説

次は法律事務所に勤務する弁護士の特徴について解説します。企業内弁護士と比較しながら相違点をチェックしてみましょう。

仕事内容

法律事務所に勤める弁護士の仕事内容は、法律相談・クライアント対応・訴訟手続き・契約書チェックなど多岐に渡ります。
顧客のほとんどは個人または企業の担当者なので、業務を遂行するには一定のコミュニケーション能力と提案力、問題解決能力などが必要になります。
法律事務所の種類によっては、大規模な渉外案件や企業法務・金融といった専門性の高い案件に携わることも可能です。

習得可能なスキル

法律事務所は司法試験合格者の最も一般的な就職先であり、弁護士として業務を遂行するために必要な基本知識とスキルを習得することができます。

外部のクライアントと接する機会が多いため、法律相談やコンサルタント業務にも携われます。
業務の多様性と自由度の幅が大きく、法律事務所の方針次第で多彩な領域の案件を担当することが可能。アソシエイトであれば民事・刑事系の案件で法廷弁護も経験できますし、パートナー弁護士へと昇格すれば、営業・経営・育成などに参画して実績を積むこともできます。

福利厚生の充実度

福利厚生に関しては法律事務所によって待遇に大きな差があります。
採用を強化する目的で手厚い福利厚生を備えている事務所もあれば、最低限の保証のみを備えた規模の小さい事務所も存在します。

個人の裁量権が大きい職場では個人判断で休日出勤や残業をする必要もあるため、そもそも福利厚生が機能しにくい状況も見受けられます。
また、年収とインセンティブは高いが福利厚生はほぼ存在しないといった実力主義の法律事務所もあるので、求人情報をよく確認して応募することが大切です。

ワークライフバランス

法律事務所は基本的に忙しく残業時間が多くなりがちなので、仕事中心の生活になってしまうケースが非常に多いです。
特に大手弁護士事務所などは激務かつ競争も激しいので、終電を逃して朝まで働くことなど日常茶飯事。外部クライアントと密に連携をとる必要があるため、スケジュールの都合によっては休日出勤を余儀なくされたり、早朝〜深夜の時間帯に相談業務が入ることもあります。

年収の目安

アソシエイト弁護士の年収は、勤めている法律事務所のランクによって大きく変動します。
民事事件・刑事事件を扱う一般的な法律事務所でも、年齢に応じたキャリアを積むことで年収800〜1,000万円以上を目指せます。
国際案件を扱う渉外事務所であれば、2,000〜3,000万円以上という高年収に到達するポジションもあります。

報酬が高くなるほど仕事内容は当然ハードなものが多くなり、ハードワークに耐えうる体力と卓越したスキル・才能が必要になります。仕事に生活を捧げる覚悟が必要になることもあります。

結局どちらのキャリアパスを選ぶべきか

企業内弁護士と法律事務所、どちらのキャリアパスを選ぶかについては、人生において何を重視すべきかによって変わるので、一概に結論は出せません。

法曹界でキャリアを積みつつ順当に年収を上げていきたい人は、法律事務所のアソシエイト弁護士、法律の知識を活かして企業をサポートしたい人は企業内弁護士が向いているでしょう。

また、やはり弁護士業界の多忙さに耐えかねて企業内弁護士への転職を望まれるケースも一定数あるのが現状です。働き方や人生観は弁護士業界でも多様化しつつあり、生活を重視する働き方に対しての理解も少しずつ浸透しています。そういった観点では、「インハウスか法律事務所か」という問いに対しては、ワークライフバランスも重要な意思決定材料の一つになっていると言えるでしょう。

まとめ

今回は企業内弁護士と法律事務所の働き方について、両者の特徴を比較しながら整理しました。

選択肢の多さゆえに迷うことも多いですが、自身のキャリアプランを明確に描くことによって、転職のミスマッチを最小限に抑えることができます。

仕事内容・福利厚生・年収幅など異なるポイントは多いですが、法律知識を活かして人助けをするという本質は同じです。

どちらのほうが良いと端的に決めつけるのではなく、それぞれの性質を理解したうえで理想のキャリアパスを描いてみましょう。

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