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IT法務とは、主にIT企業の間で交わされる取引契約に関わる企業法務です。数多くのITサービスが世にあふれる現代において、IT法務の必要性は徐々に一般企業にも波及しています。この記事では、IT法務の仕事内容や取引の種類、開発現場で発生しやすいトラブルについて解説します。 IT法務とは IT法務とは、ITサービス・IT製品のシステム開発に関連した法務全般を指します。 発注側・受注側の双方で交わすシステム開発契約の締結、プロジェクトの進捗管理、検収チェックによる動作確認、成果物納品後の運用・保守など、ITサービスが納品されるまでの各フェーズにおいて、法的観点から監督を行います。 弁護士の視点から見れば、IT領域に特化しているものの企業法務の一種に分類できます。 IT法務の主な領域 IT法務で扱う領域は、人材・観光・メディア・医療・流通・買い物と実に幅広い分野があります。 ITサービスに関連した企業間取引のほとんどについての法律業務が、IT法務に分類されるため、案件の種類は非常に豊富といえます。 ITサービスは商業利用を目的としたサイトから、公共性の高いサービス、社内管理のみで使用するクローズドなシステムなど、様々な種類があります。 業務にあたっは専門知識や業界の動向を知っておいた方が有利なので、企業法務の知識だけではなく、IT業界・ITサービスに関する最新情報にも精通しておく必要があります。 IT法務を必要とする企業の種類 IT法務は、ITサービスを開発するベンダー企業側と、ITサービスを利用するユーザー企業側の2種類があり、どちらのIT法務を請け負うかによって目指すべき目的や仕事内容が異なります。 この章では、ベンダー企業・ユーザー企業それぞれのIT法務の特徴について、簡単に解説します。 ベンダー企業(開発側) ITサービスの開発を手掛けるベンダー企業は、仕様書(要件定義書)に沿ったシステム開発を行い、成果物を納品することによって利益を得る企業です。 IT法務の役割は、受注金額の範囲内で適切なリソースコントロールを行い、契約内容に沿った成果物を納品することにあります。 検収後に大幅な機能追加・修正が発生しないように注意して交渉を行い、ユーザー企業からの過剰要求などに対して自社の利益を守れるように契約を進めます。 開発納期の切迫によって起こるエンジニアの過重労働などの、人事・労務問題も部分的に扱います。 ユーザー企業(利用側) ITサービスを利用するユーザー企業は、システム開発に投資を行い、完成した成果物を利用することで利益を生み出す企業です。 IT法務の役割は、投資金額に見合った成果物を回収することであり、成果物が契約書・仕様書に記載された機能を満たしているのかを厳しくチェックします。 想定とは異なる成果物が納品された場合の追加開発や、検収後に発生した不具合の修正依頼、成果物未納品による損害賠償請求など、トラブル発生時に自社の利益を守れるように契約を進めます。 ITサービスの不正利用対策や機密情報の流出防止など、成果物が納品された後の運用・保守業務も法的観点から監督します。 IT法務の主な業務内容 IT法務の業務としてて、システム・ソフトウェア開発の契約、検収、納品、保守までの一連のフローを担当します。 この章では、特に重要性が高い業務の詳細を開発過程の順に解説します。 契約書の作成・チェック・締結 IT法務にとって最も重要なフェーズが、システム開発の前段階で結ぶ契約書の内容です。 最初に結んだ契約書・仕様書の内容を元に開発フェーズが進むため、どの工程においても不利益が発生しないように契約書の内容を吟味します。 成果物の定義・開発業務範囲・検収方法と期間・賠償責任の所在・知的財産権の所属など、細かい項目まで綿密にチェックを行い、担当者と何度も協議を重ねながら契約書を作成します。 契約内容に反する事案が発生すれば、契約解除、場合によって損害賠償請求を伴うこともあるため、幅広いリスクを想定した契約内容で取引を進める必要があります。 成果物の検収管理 検収フェーズは、納品後に成果物の品質チェックを行う工程です。 納期を守れているか・成果物の品質は適切か・正常に動作するか、などが主なチェック項目になります。 実際の検収では、契約書の内容に加えて、システム開発内容や機能などが描かれた要件定義書の内容も確認し、内容に沿った仕様・機能が実装されているかを厳しく確認します。 ベンダー側は検収終了の定義と期限を明確化し、期日までに検収チェックが終了するようにコントロールしていく必要があります。 機密情報管理とセキュリティ対策 ITサービスの開発に際して企業間で機密情報の共有を行う場合、秘密保持契約(NDA)を結びます。 双方が社外秘の情報を取り扱うため、開発体制の管理と社内のセキュリティ対策が必要になります。 ベンダー側はシステム開発体制を細分化して見通し、開発環境で想定される情報流出のリスクを事前に防ぐ対策が求められます。 誤操作による流出や知人への口外といった人的リスクもあるため、社内のセキュリティを強化する仕組み作りも重要です。 ITサービスの運用ルールを規定 成果物の取り扱いに関する運用ルールの設定もIT法務の重要業務です。 ITサービスの納品後に継続的な運用・保守業務が契約に含まれている場合、契約書の内容に従って正しく運用されているかをチェックし、運用ルールを明確に規定します。 また、開発側が権利を所有するソフトウェアの使用契約の場合は、運用過程で利用規約違反が起こらないように、社内のコンプライアンスを強化する取り組みが必須となります。 不正利用・技術流用・知的財産権の侵害に関しては賠償義務が発生するケースもあるため、セキュリティ管理と合わせて運用ルールを規定する必要があります。 IT法務で発生しやすいトラブルの種類 ITサービスは開発側・利用側が事前に完成形をイメージしにくい側面があり、双方の認識齟齬によって様々なトラブルが発生します。 この章では、IT法務の現場で発生しやすいトラブルの種類について解説します。 IT法務において最も発生しやすいトラブルが、システム開発における双方の認識違いです。 ITサービスの特性上、検収の直前まで成果物の品質を確認しにくいので、事前の擦り合わせで双方の認識を合わせる努力を重ねても齟齬が発生することはよくあります。 特に成果物の品質に満足できないという理由で納品を断られるケースが多く、契約書・要件定義書に記載した「納品」の定義を争点に交渉・訴訟に発展することがあります。 ベンダー側はみなし検収のフェーズを設定して納品拒否を防ぐ、ユーザー側は契約解除の条件を明確化して成果物への保険をかけるなど、双方がリスク管理を徹底することが重要です。 以下、ベンダー側・ユーザー側それぞれで発生しやすいトラブルをまとめています。 ベンダー側(開発)で多いトラブル 開発の不備を指摘され、いつまでの検収が完了しない 成果物の品質に対して過剰な要求をされている 完成直前のフェーズで急な仕様変更を指示された 検収後に動作の不具合が発覚し、追加の修正開発を依頼された 仕様変更で開発コストが大幅に膨れ上がった ユーザー側(利用)で多いトラブル 成果物が納期までに完成していない 検収段階で多くの不具合が発生している 仕様書の設計とは異なる作りになっている 仕様書に記載された機能が実装されていない 成果物の操作性・機能性が悪くリリースできない 不具合による損害賠償請求 検収で成果物に対するバグや不具合、機能の未実装が発覚した場合は、内容によっては損害賠償請求を行います。 主に開発を委託したユーザー側から訴訟を行う場合が多く、契約書・要件定義書に記載されている内容と成果物の品質にどの程度の乖離が発生しているかが争点となります。 また、ユーザー側が完成前に品質の低さを理由に契約解除を申し出た場合は、ベンダー側は不服申し立てを行うことができます。 賠償金額は開発委託料金に相当する額が上限で、逸失利益(成果物が納品されていれば得られていた利益)に関しては証明が難しいため除外されるのが一般的です。 そのほか、成果物の未納によって起こった実質損害や、プロジェクトの進行管理費、人件費なども賠償金額に上乗せできるケースがあります。 データ流出・個人情報漏洩 ITサービスの開発においてユーザー側の社内機密や個人情報データを必要とする場合、秘密保持契約(NDA)を交わしたあとに開発がスタートします。 開発の過程で保護内容に含まれるデータが流出した場合は、損害賠償請求となりえます。 情報流出の原因となった脆弱性がベンダー側とユーザー側のどちらにあったのか、流出データが保存された場所や管理方法は適切だったのかなどが争点になります。 既に完成済みのソフトウェアの一部機能を活用して開発を行う場合、成果物にベンダー側の機密情報が含まれるため、情報を流出させてしまった場合は、委託側であるユーザー側にも責任が及ぶ可能性があります。 偽装請負 システム開発や運用・保守の現場でベンダー側のエンジニアがユーザー側に常駐して作業を行う場合、労働者派遣法に違反した偽装請負とみなされてしまうケースがあります。 偽装請負として摘発を受けるケースは、委任契約の内容から逸脱した勤務形態(労働者派遣)と判断されてしまうことに原因があることが多いです。 委託元企業に常駐して作業を行う場合、気が付かないうちに委任契約に抵触してしまう可能性があるので、ベンダー側は契約内容を確認して勤務体制の管理・チェックを徹底する必要があります。 IT法務弁護士が活躍できる環境 IT法務の案件を担当したい弁護士は、どのような環境に身を置けば良いのでしょうか。 この章では、IT法務に従事できる可能性が高い職場や働き方を紹介します。 IT法務に強い法律事務所 幅広い分野のIT法務に携われるのが、IT領域の企業法務を専門で扱う法律事務所です。 システム開発の各フェーズを一貫して監督する事務所もあれば、特定の訴訟・トラブルのみを担当する事務所もあるため、特化の度合いは法律事務所によって大きく異なります。 IT領域はトラブルの種類が非常に多いため、幅広い企業法務に携わって知見と経験を蓄積できるのが大きなメリットです。 事務所の業務内容の表示として「IT・インターネット関連」があれば、IT法務に携われる可能性が高いです。 求人募集の内容をよく確認し、自身のキャリアに最も適した法律事務所を探しましょう。 IT企業の顧問弁護士 IT企業の顧問弁護士として契約を結び、IT法務を担当する方法もあります。 法律事務所のように単発の訴訟やトラブルを解決するのではなく、長期間に渡ってIT企業の法務を監督します。 特定のIT企業を継続的にサポートするので、事業の内部に踏み込んだ密度の高いIT法務を担当できるのが強みです。 顧問弁護士を必要とするIT企業は大規模な取引を行っているケースがあり、その場合、顧問契約を結ぶには豊富な実績と交渉スキルが必要になります。 IT企業のインハウスロイヤー IT企業の一社員として法務部に所属する方法も有効です。 法務部の一員として、部署・チームで連携しながらIT法務に携われるのが特徴です。 顧問弁護士とは違って組織内部の人間なので、会社の意思決定にも参加できるのは大きなやりがいになります。 インハウスロイヤーは法律業務のみを担当するわけではないので、社内のコンプライアンス教育や現場研修など、IT法務以外の業務にも積極的に参加する必要が出てくることが少なくありません。 IT法務のみで実務経験を積みたいたい方には適さない場合もあるので、自身の目指す方向性を考慮しつつキャリアを選択しましょう。 まとめ 今回は、IT法務の仕事内容・業務領域・トラブルの種類・活躍できる業界について解説しました。 ITサービスを巡る企業間の契約は増加傾向にあり、業界自体の進化も早いことから、今後はIT法務の重要性も高くなることが予想されます。 IT分野に特化した企業法務のスキルを身に付けたい方は、キャリアプランの選択肢として想定しておくのも良いでしょう。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 とりあえず登録しておく
銀行・信託銀行・保険会社・投資会社・そのほかの一般企業が行う金融取引においては、弁護士は金融法務を行い、企業を法的な側面から支援します。 金融法務の領域は幅広く、金融取引が複雑化・専門化するにつれて、弁護士のリーガルサービスを必要とする場面は増えています。 この記事では、金融法務の仕事内容や領域、種類について解説します。 金融法務とは 複雑化・専門化する金融取引において、弁護士がリーガルサービスを提供することを金融法務といいます。 金融機関や一般事業会社が適切に金融取引を行えるように、弁護士は金融商品取引法・保険業法・信託業法などの各種法令に精通する必要があります。 金融法務の仕事内容 金融法務の仕事内容は領域によって異なります。金融法務のどの領域でも共通する弁護士の仕事について解説します。 契約書作成・リーガルチェック 金融法務の仕事の中で最も作業量が多いのが契約書作成です。 契約書に間違いがあったり、違法な条項が含まれていた場合、企業は金銭的・社会的に大きなダメージを受けるため、リーガルチェックは入念に行われます。 また、顧客企業に不利にならないような契約書に仕上げることも弁護士の役割です。 そのため、金融法務を行うにおいて弁護士は、金融規制法に精通するだけでなく、金融ビジネスについても幅広く把握しておかねばなりません。 その上で、企業が法的に正しい金融取引で利益を上げられるように契約書をまとめる必要があります。分量が多い契約書になると、数百ページにわたることもあります。 契約書には雛形があるものの、企業が必要とする契約書はそれぞれ違います。企業の事情に合わせた契約書を丁寧に作っていく必要があるのです。またFinTechのような比較的新しい領域については、より意識して最新情報をキャッチアップして、契約書を作成・改訂していくことが求められます。 既存の契約書についても弁護士のリーガルチェックを行い、法的問題はないか、問題を生じさせないための対策はないかを確認します。 開示書類・申請書類・届出書類の作成 金融法務の多くの領域においては、開示書類・申請書類・届出書類の作成が法的に義務付けられています。 書類は官公庁に提出するものが比較的多く、ミスがないようにルールに則って作成する必要があります。 訴訟紛争の代理対応 金融法務においては、顧客企業の代理人として訴訟紛争に対応します。顧客企業は金融機関、保険、信託、Fintech企業等多岐に渡り、従来の金融商品・サービスに加えてネットバンキングや仮想通貨、電子決済を始めとしたFintechビジネスに関わる案件も存在します。 複雑化していく金融取引においては、訴訟紛争への経験を積んだ弁護士の対応が必要とされます。訴訟案件ごとに最適なチームを組み、顧客企業が求める成果に貢献します。 スキームを検討する 金融規制法などの法律規制に基づき、顧客企業の金融取引を適法に行うため、法的な問題を生じさせないための取引や業務に関する枠組みを構築します。 スキームを検討するにあたっては、各規制法への幅広く深い知識が求められます。 相談・助言・アドバイス 顧客企業から金融商品取引法・保険業法・信託業法などの金融規制法に関する様々な質問や相談を受けます。 金融法務に携わる弁護士はチームを組んでいますから、自分の専門領域について相談に応じ、助言やアドバイスを行います。金融法務の相談は専門性が高いため、下記に述べていく各領域に応じた然る事務所・チーム・担当者が応対する必要があります。 金融法務の領域と種類 金融法務には複数の領域・種類があります。金融法務に携わる弁護士は、自分が専門とする領域を決めて、企業に対して適切なリーガルサービスを提供していきます。 銀行取引 銀行取引とは、銀行の融資取引全般のことです。 顧客は銀行であり、単独ローンやシンジケートローンなどのローン取引をサポートします。弁護士は主に銀行取引における契約書のレビューを行います。 資金調達・M&A 資金調達には、キャピタルマーケットやプロジェクトファイナンスなどの種類があります。 キャピタルマーケットとは、株式市場から資金調達することを指します。資金調達を行う企業に対して、弁護士は適切なアドバイスを行います。キャピタルマーケットは複雑化しており、高い専門性を必要とします。 プロジェクトファイナンスは、発電所建設プロジェクトやインフラ工事プロジェクトなど、関連するプロジェクト全体への資金調達のことです。案件検討段階のデューディリジェンスから契約書の作成支援まで、プロジェクトファイナンスの業務は極めて広範囲で、かつ長期間にわたります。プロジェクトに携わる関係者への交渉も行うので、対人コミュニケーション力も必要です。 M&Aを実施するには、法的な側面から弁護士からのアドバイスを必要とします。M&Aでは秘密保持契約(NDA)、最終契約(DA)などの契約を締結しますので、これらの契約書について法的に問題ないかを確認するのも弁護士の仕事です。法的なリスクの洗い出し、会社法に沿った手続きを行えているかの確認など、M&Aを担当する弁護士の役割は多岐にわたります。 金融関連の訴訟・紛争 金融関連の訴訟・紛争は、弁護士が顧客企業の代理人として行うものです。融資や株式投資における損害賠償請求に対して、銀行・証券会社側の代理人として対応することがあります。 保険 弁護士は、保険の許認可の取得、監督官庁による検査対応などについて保険会社に幅広いリーガルサービスを提供します。保険業に関わる法規制に熟知しておく必要があります。 FinTech (Finance & Technology) FinTechは、IT技術を活用した新しい金融ビジネスの総称です。大まかに分類すると、FinTechには下記のような分野があります。 キャッシュレス決済 仮想通貨 クラウドファンディング ソーシャルレンディング インターネット融資 インターネット送金 FinTechを立ち上げようとしている企業、または既に運営している企業に対してリーガルサービスを行います。 FinTechに関わる法規制は複雑で、企業では「FinTechにどんな法規制が及ぶか」「FinTechを実施するにあたり行政庁への届出の方法があるのか」などに悩んでいます。 弁護士は法律の専門家として、FinTechの事業化を検討したり、既に事業化している企業に対してアドバイスを行います。 FinTechは新しい事業分野なので、法律の知識だけに留まらず、ビジネスの仕組みに関する幅広い知識を要求されます。 内部統制 金融取引を行う金融機関や企業においては、金融商品取引法に基づく内部統制を実施する必要があります。弁護士は企業の内部統制に関するアドバイス、実施支援などを行います。 金融法務を扱う法律事務所と企業内弁護士の違い 同じ金融法務を扱う弁護士であっても、法律事務所勤務の弁護士と企業内弁護士(インハウスロイヤー)では求められる役割に違いがあります。それぞれの違いを確認しましょう。 金融法務(法律事務所)の特徴 金融法務に携わる法律事務所は、顧客企業が求める成果と目的を確認し、利益の最大化やリスク管理のアドバイスを行います。 顧客となる企業の相談・質問に対し、法律知識を駆使した調査データを元にサービスを提供します。 企業には法務部がありますが、その法務部が調べてもわからないことや、対応できない事案について、より専門性の高い外部の法律事務所に依頼します。 金融法務の領域は多岐に渡るので、金融法務の中でも特定分野の取引に特化した法律事務所も存在します。 金融法務(インハウスロイヤー)の特徴 金融法務に関わるインハウスロイヤーは、弁護士ではあるものの、あくまでも企業の社員という立ち位置。そのため、顧客企業ではなく社会からの相談・質問に対してアドバイスを行います。 また、インハウスロイヤーは社内の関係部署や社外の法律事務所との調整役も担います。 社内の法律専門家という立場なので、会社の顔として社外関係者とも細かく連携・交渉する必要があります。 企業利益の最大化を図ったり、想定されるリスクに歯止めをかけたりと、企業の「攻め」と「守り」を担う重要な存在です。 まとめ 今回は金融法務の仕事内容について詳しく解説しました。 一口に金融法務といっても様々な種類があり、法規制のスピードも早いので、自身が得意な分野と領域を選んで業務を遂行することが重要になります。 また、インハウスロイヤーの場合は、金融法務に関する幅広い知識を学習し、企業の成長目的に合わせて適切なアドバイスをするスキルが求められます。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
日本の法律事務所の多くは、一般民事と呼ばれる個人を依頼者とする民事事件を業務の中心にしている法律事務所です。法律に関する案件の件数からすれば、このような個人の法的問題(離婚、相続、借金、交通事故など)が最も多いと思われますから、それを業務とする弁護士(法律事務所)が多いのは当然のことといえます。 いったんこのような一般民事を扱う法律事務所に就職したものの、企業法務を扱ってみたいと考えが変わった場合、一般民事の事務所に籍を置きながら本格的な企業法務を扱う機会はなかなかありません。中小企業からの依頼で企業法務に属する案件を扱う機会はあるかもしれませんが、大規模・高額な本格的な案件や、海外を相手にする国際的な案件などは、企業法務系の法律事務所に在籍していないとほとんど扱う機会はないでしょう。 本格的な企業法務を扱ってみたいと思った場合には、やはりそのような案件を扱っている法律事務所に移籍(転職)するのが一番の早道です。 ここでは、企業法務系の法律事務所への転職についてまとめてみます。 目次 企業法務弁護士の仕事内容、魅力・やりがい 企業法務弁護士の年収 企業法務事務所の探し方 エージェントに登録する 企業が弁護士を探すためのポータルサイトを利用する まとめ 企業法務弁護士の仕事内容、魅力・やりがい 企業法務系の法律事務所の弁護士はどのような業務を行っているのでしょうか? いわゆる企業法務とは、企業の活動に伴って生ずる法的問題を処理する業務といえますが、その内容は大変多岐にわたるものです。 典型的な企業法務としては、M&A、ファイナンス(金融法務)、倒産、事業再生、知的財産、契約書審査、企業不祥事対応などが多くの人が想像するものですが、その他にも、労働案件、独占禁止法案件、あるいは企業の日常業務で生じた法的問題に対する相談など、企業法務といえるものの範囲は大変広いものとなっています。 このような企業法務のうちでも、新聞紙上をにぎわすような大規模な経済案件を扱う法律事務所は限られています。いわゆる5大事務所といわれる、西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、TMI総合法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所のような300名を超える弁護士を擁する法律事務所に代表される東京の大規模法律事務所がそれですが、中には所属弁護士数は多くないものの、極度に専門化した結果、小規模であっても企業法務案件を多く扱っている法律事務所(いわゆるブティック型法律事務所)も存在しています。 こうした企業法務を扱う弁護士の業務の魅力はさまざまですが、何といっても、日本の経済に影響を与えるような重要かつ大規模な案件を扱うことができる点に大きな魅力があるのではないでしょうか。自分の仕事の結果如何によっては、日本の社会に何某かの影響を与えるかもしれないということになれば、自然と仕事に対するモチベーションも高くなるでしょう。 また、企業法務案件には、国内の案件だけでなく、海外の企業を顧客若しくは相手方とする案件(渉外案件)もありますので、企業法務を扱うことによって世界を股にかけた活躍ができる可能性もあります。企業法務系の法律事務所に所属する弁護士の多くは、海外に留学してその国の弁護士資格を得ており、そういった幅広い活躍をするための下地を持っています。この国際性も大きな魅力でしょう。 さらに、扱う案件の専門性を高めていくことによって、この分野の案件ならこの弁護士というような高い地位を築くことも可能です。企業法務の分野は日進月歩ですので、まだあまり他の弁護士が扱っていない分野が常に残されています。うまく専門性を獲得すれば、弁護士として大変大きな武器になるでしょう。 企業法務弁護士の年収 こうした企業法務系の弁護士は、一般民事を扱う弁護士に比較してその収入も大変多いようです。 5大事務所などでは初任給でも1,000万円を超えるなど大変高い給与水準にあり、その他の企業法務系の法律事務所も高い水準にあります。おそらく企業法務系のトップクラスの弁護士は、億を超える年収を得ているものと思われます。 企業法務系の弁護士に限定した収入に関する統計資料がないのが残念ですが、企業法務案件では1つの案件から生ずる弁護士報酬の単価が一般民事事件よりも大きいことは間違いありませんので、弁護士の収入も多くなるのは当然でしょう。また、評判が高まるほどタイムチャージの単価も高くできますから、仕事に力を入れれば入れるほど、経験を積めば積むほど収入も上がっていくことになります。 ただ、収入が高い分、仕事はハードです。企業法務系弁護士の世界では、よく勤務時間は「9時から5時」といわれますが、これは午前9時から午前5時という意味で、大変長い労働時間を強いられることが多いようです。結局企業法務系の弁護士は、単に収入が高いというわけではなく、厳しい労働と引き換えに高収入を得ているということになります。 また、将来事務所のパートナーになるにはかなり高い売り上げを確保する必要があります。そのために所属弁護士は年を追って淘汰されていくことになります。つまり、稼げない弁護士は事務所にいられなくなるということです。同じ事務所内で売り上げをめぐっていわば弁護士間の競争が生ずることになりますので、企業法務弁護士には法的知識だけでなく、顧客を得るための地道な営業努力も要求されることになります。優秀な弁護士がたくさんいる世界ですので、待っているだけでは他の弁護士に顧客を取られてしまうというわけです。 そういった点では、企業法務系の弁護士になるには、自分の業務の拡大について相当の努力をする覚悟が必要といえるでしょう。 なお、企業法務といっても、もちろん大企業を依頼者とする大規模な案件ばかりというわけではありません。中程度の企業を依頼者とする企業法務弁護士は、5大事務所などの大規模事務所と比べれば収入は高くないかもしれませんが、一般民事の弁護士と比べれば高い収入を得ることができ、過度な労働時間を強いられることもありません。扱う事件の規模は小さくなるかもしれませんが、このような中規模の企業法務系法律事務所に勤務するのも一つの賢い選択といえそうです。 さらに、最近はインハウスローヤー(社内弁護士)、すなわち弁護士を社員として雇用する企業も増えています。会社法施行後、コーポレート・ガバナンスや企業のコンプライアンスなどが重視されていますので、専門家である弁護士を企業内に置くことによってこれらを十分に確保しようという企業が増えているためです。やはり、社外の顧問弁護士に問題が生ずるたびにいちいち相談をするよりは、社内に弁護士を配置しておいていつでもすぐに法律問題への対応ができるようにしておいた方がよいということでしょう。 これらのインハウスローヤーは、多くの場合ある程度実務経験のある弁護士が中途で採用されていますので、企業法務を扱いたい弁護士にとっては転職先として考慮の対象としておくべきでしょう。特に、インハウスローヤーはその会社の社員になるわけですから収入的には非常に安定していますし、給与も他の社員と比較して多めにされていることが多いようですので、その点も魅力の一つです。 企業法務事務所の探し方 こうした企業法務を扱う法律事務所に転職したいと考えたとき、どのようにして転職先を探せばよいのでしょうか? 法律雑誌などに求人情報が出ていることもありますが、件数や頻度は多くありません。かといって、弁護士専門の求人誌などが発行されているわけでもありません。 そこで、転職の参考のために次のような方法を紹介しておきます。 エージェントに登録する 第一に、いわゆる転職エージェントに登録する方法があります。転職エージェントは、職を求めている側と、人を求めている側とを結びつけることを業務としていますが、弁護士を対象とした転職エージェントもいくつか存在しています。求人を公表していない法律事務所もありますので、自分で転職に関する情報を集めて転職を実現するのは簡単ではありませんが、法律事務所の中には、求人情報を公表せずに転職エージェントに求人情報を登録しているところもあります。 この転職エージェントを利用すれば、その業者が持っている弁護士の求人情報の中から自分の希望する条件に合った転職先候補をリストアップしてもらうことができます。もちろん、現在勤務している法律事務所には秘密で依頼することができますので、転職がうまく行かなかった場合でも心配はありません。 弁護士ドットコムキャリアでは、無料で転職に関するサポートを受けることが可能です。 企業が弁護士を探すためのポータルサイトを利用する 転職エージェントと同様に、最近はインターネット上に弁護士に関する情報を掲載しているポータルサイトがあります。代表的なものは弁護士ドットコムで、弁護士を求めている依頼者と顧客を求めている弁護士を結びつける役割を果たしています。 中小企業が弁護士を探す際にも、こういったポータルサイトはよく利用されていますので、これらのポータルサイトに自分の情報を登録することによって中小企業の顧客を増やし、自分の業務を中小企業を対象とする企業法務に転換していくことも可能です。弁護士ドットコムなどでは、登録した弁護士が力を入れている分野を指定することができ、その分野の中には企業法務もありますので、これを上手く利用して企業の顧客を集めることもできます。この場合には、転職ではなく、自分の取扱業務の転向ということになりますが、自分の業務は自分でコントロールしたい人には、他の法律事務所の勤務弁護士となるよりは向いている方法かもしれません。 まとめ 企業法務を業務の中心として扱っていくには、漫然と弁護士業務をこなしていくだけでは足りません。自ら積極的に動かなければ、企業の顧客は足を運んではくれません。もともと企業法務を扱っている法律事務所に転職するか、自分の業務を企業法務に変えていくか、いずれの方法を取るにせよ、情報を集めて自ら動かなければ業務が変わることはないでしょう。 本文に紹介したような専門の業者にアプローチした上で良い情報を取捨選択して、良い転職や業務内容の転換を実現しましょう。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
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