

ご自身のキャリアを主体的にお考えの皆様に対して、
全力でご支援させて頂きます
弁護士ドットコムキャリアがこれまでご支援してきた転職事例をご紹介します。国内大手法律事務所(弁護士事務所)の事例から、企業内弁護士(インハウスロイヤー)への転職事例まで幅広くご紹介していきます。ご自身の今後の転職活動の参考に、ぜひご覧ください。
新卒で入所した特許事務所で「知財コンサル」を手掛ける 知財に興味を抱いたのは大学の授業を受けてからです。講義で「知財は技術と法律を両方扱う仕事だ」と言われ、面白そうだと感じたのを覚えています。就職活動でも特許事務所が最初に内定をいただき、縁を感じて入所しました。 2005年に私が入所した特許事務所は、当時としてはかなり珍しく企業への知財コンサルティングを行っていました。私も特許出願に関するアドバイス、新商品が他社製品の特許を侵害していないか調査する侵害予防のみならず、競合他社の分析、クライアントの強みのアドバイスといった業務を手掛け、仕事の6割は知財コンサルでした。 企業の依頼を受けて特許の出願書類を用意するだけではなく、直接企業に入り込んで知財をどう活かすか考えるコンサル業務はとても面白く、入所した特許事務所が先進的な取り組みをしてくれていたおかげで「知財分野をもっと極めたい」と思うようになり、キャリアの方向性も定まりました。 知財を通した事業貢献を目指し、自動車関連メーカーへ転職 知財コンサルを10年経験し、次第に「知財を通してもっと事業に貢献したい」という想いが強くなっていきました。そこで企業への転職を考え、2016年に自動車用の各種スイッチやシートベルトなどの車載製品をつくる自動車関連メーカーに入社します。役割や環境の違いもあり、特許事務所から企業への転職は歓迎されない風潮がありましたが、特許事務所では自動車部品や事務機器のメーカーを担当していたため車載製品の知見を得ていたことが幸いしました。 この転職では、メーカー勤務になったことで技術者と対話する機会が格段に増えました。知財担当者として技術者と向き合い、技術と法律の観点から考えを整理してあげる。すると、対話の中で技術者に開発のヒントを与えることができるのだと気付きました。「こんなモノを作ったら新しい特許が取れる」と言うのではなく、話しを聞きながらその考えを整理すると技術者が新たな閃きを得る、というわけです。このやり取りは技術者にとても喜んでもらえ、私自身もメーカーにおける知財の仕事に大きなやりがいを実感できました。 入社から数年後にはグループマネージャーとして部下5~6名をマネジメントするポジションになり、他部門から異動してきた知財未経験者を指導する役割も担いました。イチから教えるのはなかなか骨が折れる仕事ではあったものの、人材育成の楽しさも経験できました。 しかし、知財以外の部署へ異動する話が持ち上がり、異動先では知財に関わる機会がないこともわかり、再度転職を決意します。 希望条件を明確にし、志望動機も重視して成功した、40代・2度目の転職 前回の転職活動で苦労した経験から、今回はスカウトサイトに登録して声を掛けてくれる企業があるか確かめてみました。そこで返信をいただいたのが、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントの船木さんです。 私は希望条件として、①知財業務を担当できること、②ある程度の裁量をもって働けることの2点を軸にしたい旨を伝え、この条件に合致するのはベンチャー企業で新しく知財部門を立ち上げるために経験者を募集する会社だろうと想定していました。ただ、そのようなベンチャー企業は本社を東京に構えていることが多いという船木さんのアドバイスを受け、転居せずに働けるよう③フルリモート勤務も条件に加え、転職先を探してもらいました。 タイミング良く複数の会社の求人募集があり面接を受けましたが、最初に面接した企業からは採用見送りの通知が来てしまいます。新卒の就職活動と違い、40代の転職では志望動機よりも「入社して何ができるか」というスキルのアピールが重要だと勝手に思い込んでいました。しかし、船木さんから「何歳の転職でも志望動機は変わらず重要です。経験やスキルのアピールだけではなく、なぜこの会社に入社したいのか、という志望動機をもう少し具体的に考えてみましょう」と言われ、そういうものだろうかと半信半疑ながら「この会社だからできること、やってみたいこと」を考えて面接に臨むようにしました。するとすぐに成果が出て、IT関係の会社から内定をもらえたのです。 いま振り返ると、40代の転職では確かに経験やスキルが重視されるのでしょうが、それだけをアピールしても企業側は「本当にこの人に任せて良いのか」という確信が持てないのかもしれません。特に、知財は会社の資産を扱う部署です。「こんなことに取り組みたい」と熱心に語る就活生を見て、上司や先輩が「この学生なら一緒に働けそうだ」と思うのと同じように、40代であってもしっかり志望動機を語ることで「この人なら知財を任せられる」と信じてもらえる。2度目の転職が成功したのは、船木さんのアドバイスがあったからです。本当に感謝しています。 フルリモート勤務で知財の立ち上げに着手。希望が叶い、毎日が充実 2023年3月に現在の会社に入社し、3カ月が過ぎました。現在の会社は独自のITプロダクトを開発・提供しており、私も新しい知財の仕組みづくりを着々と進めています。ずっとチャレンジしたかった知財の立ち上げに携わり、しかもフルリモート勤務の希望も叶い、いまは毎日が充実しています。今後は前職のように技術部門の役に立ち、知財も事業に貢献できることを示していきたいです。 私と同じように知財に関わっている方は転職したくてもなかなか公募がなく、転職を考えながらもいまの会社にズルズルと居続けている、というケースも多いかもしれません。でも、いまの会社で悩むくらいならチャレンジするべきでしょう。そして、チャレンジするために「自分の売りになるモノ」を会社に頼らず自分で作っておくべきだと思います。 強みをもっていれば、その強みを欲しいと思う企業が現れます。常日頃からキャリアの棚卸を行い、自分の強みや特徴を正確に理解しておけばキャリアプランを考えるベースになりますし、希望の企業と出会えるチャンスも増えるのではないでしょうか。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
若いうちから裁量ある環境を求めてベンチャー企業に就職。新卒入社1年目に法務部門の立ち上げを経験 大学時代の就職活動では、①若いうちから裁量をもって働ける、②これから組織整備を図るベンチャー企業、という2点を重視していました。その結果、社員100名程度の化粧品メーカーへ就職。大学は社会学部で特に法務の仕事に興味があったわけでもなく、人事担当者として配属することになりました。 しかし、私が入社して間もなく他の企業と係争がはじまり、社内で法務部門を立ち上げることに。とはいえ法務部門がなかったため法務経験者は一人もおらず、なぜか入社したばかりの私に白羽の矢が立ち、イチから法務部門を形づくることになったのです。法務の知識はありませんでしたが、「裁量のある仕事をしたい」という希望は早くも叶い、周囲の反応を見ながら試行錯誤して法務部門を立ち上げます。 その後は一人法務となり、会社からの期待値がわからなかったため「こんなことをやれば良いのではないか」と自主的に提案していました。また、法務以外にも人事や総務など管理部門の仕事を幅広く担当させてもらい、いろいろなことにチャレンジする機会を得ていました。 ただ、ここ数年は多くの仕事が同じことの繰り返しになり、頭打ちを感じるようになっていました。一人法務で事足りる状況だったので多様な案件に携わりながら法務スキルを磨くことも難しく、スキルアップできる場所を求めて2023年2月に転職活動をスタートしました。 一人法務は他社のことがわからない。不安を解消するため法務に精通した転職エージェントと転職活動に挑む 一人法務の難しいところは、他社が具体的にどのような法務業務を行っているのかまったくわからないことです。転職の際に企業からどのようなことを求められるのか、その求めに私の経験が活かせるのか把握するために転職エージェントから法務の専門的な話を聞きたいと思い、弁護士ドットコムキャリアに登録します。 私の担当になってくれたコンサルタントの水本さんは「私の市場価値」や「これまでの経験を活かしてどのような企業に転職できそうか」を教えてくれ、期待通りの話を伺えたおかげことで改めて法務として転職しようと決意できました。 転職先に求めていたのは、さまざまな法務業務に携われることです。契約書関連業務だけではなくIPO準備やM&Aなども経験でき、スキルアップにつながる会社で働きたいと思っていました。それには法務部門が経営に近い立場にいなければならない。求人票では「業務内容」をしっかり確認し、面接では「社内における法務の立場」を聞くことに努めました。 最初に受け取った求人票から理想の企業が見つかり、内定も勝ち取る コンサルタントの水本さんはいきなり20社近い求人票を見せてくれ、この中に希望する企業があるか確認してほしいと言われました。希望する会社がなければ改めて優先順位を決め、条件に合致する企業を紹介してもらう、という流れだと思います。しかし、私の場合は最初の20社の中にいきなり入社したいと強く思える企業が見つかりました。 大学発のAI企業で、複数の研究室と協力して企業の利益貢献にコミットするAIサービスを提供している企業でした。事業領域が興味深く、社内には優秀な人材も多い。求人票を見ただけで強く惹かれ、さらに面接では今後M&Aを積極的に展開する予定だと聞くことができました。業務内容も希望通りだったため、いまの自分にとって理想の企業に出会えたと感じました。 2カ月間に及んだ転職活動では最終的にその会社を含め3社から内定をもらうことに成功。そして、求人票の確認と面接を経てどんどん入社したいという想いが募っていったその会社への転職を決めました。入社は7月の予定で、経営企画&法務ユニットに所属します。今後は改めて法務スキルを磨き、事業や経営にもしっかりコミットできる法務になりたいです。 キャリアの方向性に合うものは日頃からインプット。その心掛けと自分らしさが転職を成功させる秘訣 今回、初めて転職活動を行いましたが、その中で感じたのは「自分のやりたい仕事やキャリアの方向性に合致することは日頃からインプットしておくことが大切だ」ということです。 私は以前から事業や経営に近い立場で働きたいと思い、前職では生産管理や経理・財務など法務以外の業務についても幅広くインプットするよう心掛けていました。今回の企業は「事業にまで入り込んでアドバイスできる法務」「顧客とも交渉できる法務」を探していたようで、面接ではその点を高く評価してもらえました。 転職活動は付け焼刃ではなかなかうまくいきません。だからこそ普段からの心掛けが大切になり、その姿勢を評価してくれる企業とも出会えるのだと思います。 面白かったのは、同じ法務の仕事でも企業によって求める人物像が異なる、ということです。今回の企業以外に内定をくれた2社からいただいたフィードバックでは、それぞれ「人材育成の考え方」と「客観的な視点」が評価されていました。培ってきたキャリアや経験、自身の考え方など、面接では大体同じようなことを繰り返し話すことになりますが、企業によって求める人物像が異なるため評価ポイントも違うのです。 弁護士ドットコムキャリアに限らず転職エージェントのコンサルタントはより多くの企業と会うことを勧めてきますが、あとから振り返るとコンサルタントは企業ごとに求める人物像と評価ポイントが違うことを知っているからこそ、多くの企業から話を聞くよう促すのだと思います。 また、内定がもらえなかった企業からは「法務の専門性が足りない」という評価を受けました。新卒入社直後から法務部門の立ち上げを主導したものの、ずっと一人法務だったため法務に精通した先輩から直接指導された経験はありません。同時に、前職での私の法務業務は一人でも事足りるものだったとも言えます。そのため、法務としての専門性が足りないと言われれば仕方ありません。 ただ、契約書関連業務だけをやりたいとは思っていなかったので、自分の経験を正直に話したことでミスマッチが起こらなかったとも感じています。これは新卒の面接と同じかもしれませんが、やはり自分らしく話すことは大切です。 これから転職する方も、より多くの企業と自分らしく話すことで理想の企業と出会える可能性が高まるのではないでしょうか。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
一般企業からパラリーガルへの方向転換 ——法学部を卒業後、大手物流企業の営業職として就職されました。当時はどのような業務に携わられていたのでしょうか。 国内製造業のお客さまの貨物を海外へ送付するにあたって、船や飛行機を利用するための手続きなどを行っていました。海外とのやりとりも多く、深夜や早朝対応が必要で、自分にとっては体力的・精神的な負荷が大きかったため転職を考え始めました。 ——一般企業から弁護法人のパラリーガルは大きな方向転換だと思います。 その当時考えたことは、少しでも自分の経歴や専門性を活かせる仕事に就きたいということでした。大学の同期が司法試験に合格していた時期と重なっていたこともあり、法律関係の仕事を探した結果、パラリーガルの道を進むことに決めました。 パラリーガルとして顧客と向き合うなか、非弁という障壁にもどかしさを感じるように ——パラリーガルとしてどのような業務を担当されていましたか。 損害賠償請求事件を中心に担当していました。弁護士による相手方との交渉結果を依頼者の方に報告したり、その後の対応の意向を確認したり、その他一般的な事務なども含め幅広く対応していました。 ——パラリーガルとして最後の1年間は上長の仕事もされていたそうですね。 一パラリーガルとして案件に対応するというところから、同じチームのパラリーガルや案件をまとめる側の立ち位置に変わりました。具体的には、日々ご依頼いただく新しい案件について、その特性や依頼者の属性、お人柄などを確認したうえで、弁護士やパラリーガルをアサインしていくという仕事でした。新卒社員や中途入社社員のOJT業務なども担当していました。 ——そうしたなか、転職を考えられたきっかけは何だったのでしょうか。 上長になる前からですが、法律事務所に在籍している限りは非弁行為に気をつけながら仕事をしなければならないことのもどかしさを感じていました。普段の仕事を通して法律の知識や経験が身についていく一方で、それを組織に還元していくためには立場上限界があります。自分としても成長が止まってしまう危機感を感じ、より成長できる環境に身を置きたいと思うようになりました。企業法務であれば、パラリーガルとしての経験を活かせるうえに、それまで感じていたもどかしさを解消していけると考えました。 コンサルタントとともに志望動機の言語化に取り組む ——弁護士ドッドコムキャリアのことはどのように知りましたか。 複数の転職サイトに登録をしているなかで、オファーをいただいたのがきっかけだったと思います。一般的な転職サイトでは法務の求人があまり多くないうえに、私自身、法務職を経験したことがあるわけではなかったため、企業法務の具体的な仕事内容や実態など、基本的な情報も含めて提供していただくという点を弁護士ドットコムキャリアには期待していました。 ——転職活動を進めていくなかで、心がけていたことはありますか。 ミスマッチを防ぐことが重要だと考えていたので、具体的な業務内容から、職場環境、条件面まで、エージェントのコンサルタントの方や面接担当者に詳しく聞くようにしていました。 ——ミスマッチと判断する基準はどのあたりに設定されていましたか。 入社を後悔してしまう原因の1つに、人間関係があると思っています。ただ人は選べないですし、入ってみないとわからないところも大きいです。特に今回は、企業法務の仕事をしたいという明確な目標を持っての転職なので、人間関係にはなるべく左右されたくないという思いがありました。そこで、仮に自分と合わない人がいたとしても、社内で問題解決できる規模の大きな企業を考えていました。また、今回は自己成長を目的とした転職なので、努力して結果を残せば評価してもらえる場や仕組みあるかどうかという点も重視していました。 ——弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントと対策を練ったことはありましたか。 面接対策をしていただきました。候補企業や法務への志望動機については、私のなかで考えがうまくまとまらなかったり、言語化できなかったりした部分もあったので、面接でしっかり伝えられるよう、コンサルタントの方と一緒に話の道筋を立てていきました。面接の経験はあまりないうえに久しぶりだったので、とても手厚くサポートしていただきましたね。 ——今回入社された企業に決めた理由をお聞かせください。 先ほどお伝えしたように規模感の条件を満たしていた点と、さまざまな業務ができる環境に身を置けそうだったという点が大きいです。また、面接官の方々が入社後一緒に働く法務部門のメンバーで、この方々とであればやっていけそうと感じたことも決め手となりました。 パラリーガルのキャリアは多様。自分の気質にあわせた道を選んでいく ——現在は研修中ということですが、新しい会社で過ごされてみていかがですか。 メンバー個々のレベルが高く、これから大変そうだという気持ちもある一方で、学べる部分はかなり多く、入社前に期待していたとおり成長できそうな環境だと感じています。 ——今後のビジョンについてお聞かせください。 なるべく早く法務として一人前になりたいので、まずは任された仕事をしっかり遂行できるようになっていきたいです。また転職活動時から想定していたとおり、扱う案件の幅はかなり広いです。それらに対応していくための経験を1つひとつ積み重ねていきたいと考えています。 ——パラリーガルから企業法務へのキャリアチェンジを検討されている方にアドバイスがあればお願いします。 企業法務として働きはじめたばかりなのでどこまでアドバイスになるかわかりませんが、法律事務所で扱っていた事件や関連する法律の知識や経験は、法務職でも活かしていけると思っています。パラリーガルは、多くの案件を効率的にさばいていくことが求められるため、法律的な観点から1つひとつの案件をじっくり深く考えられる時間はとりづらいかもしれません。ただ、なるべく法的に考える習慣を付けておくことで、法務職でも経験を活かしやすくなると考えています。 ——パラリーガルのキャリアとしては、法律事務所で出世していくという選択肢もありえると思います。多様な道があるなか、どのようにキャリアを考えていけばよいでしょうか。 仕事をするうえで自分が何を大事にしているかによって変わると思います。パラリーガルはやはり弁護士の補助としての性質が強いため、裏方気質の方であれば長く続けられる魅力的な仕事です。弁護士の業務が多様であるぶん、それに伴いパラリーガルの業務も幅広くなるため、パラリーガルの仕事自体はおもしろい部分もたくさんあります。また、私の前職の場合は、パラリーガルとして管理職になるという道もありました。自身の志向や気質、待遇面なども考えて、自分にあった道を選んでいけば良いと考えています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
飲み会で築く信頼関係。圧倒的な顧客開拓能力を買われ、現在の事務所へ 大学は慶應大学の環境情報学部(SFC)に在籍していました。商法のゼミで司法試験を目指す学生も多く、感化されて私も司法試験の勉強をはじめます。司法試験に合格後、2011年に栃木県にある法律事務所に入所しました。担当は離婚や破産などの一般民事が中心で法テラスの案件も多かったです。ただ、景気が悪く事務所の売上もあまりなかったので、いっそのこと独立してしまおうと考え、そのまま栃木県で自分の法律事務所を開設しました。 個人の法律事務所では自分で営業をかけて多数の中小企業の顧問弁護士になることに成功します。顧問弁護士を依頼されるコツは、やはり多くの人と会うことです。私は青年会議所に入り、異業種交流会にも積極的に参加していました。そして、一緒に飲みに行って信頼関係を築いていく、という感じです。 ただ、10年ほど個人の法律事務所を経営しているとやはりすべてを一人でこなすのは大変な労力がかかると身を持ってわかりました。時には誰かに相談したいと思うこともあり、いつからか「自分に合う法律事務所があれば転職しても良いかもしれない」と考えるようになりました。そこで、ものは試しと転職活動を開始。WEBでエージェントを探して5~6社に登録し、その中に弁護士ドットコムキャリアもありました。コンサルタントの井上さんとオンラインで話し、新規顧客開拓中心の働き方や転職するなら地元の山口県に帰りたいという要望を伝え、転職時の年収幅などを伺いました。年収を考慮すると隣の福岡県で働くことを考えた方が良いと指摘され、福岡県の法律事務所と面談をすることに。そこからはとんとん拍子で話が進み、縁もゆかりもない栃木県で多数の顧問契約を獲得していた実績を評価してくれた法律事務所へ入所することを決めました。 九州を中心に全国を飛び回り、保険会社向けの相続セミナーを開催 現在は保険の営業担当者向けの相続セミナーを開催しています。例えば、交通事故に遭った時ほとんどの人は保険会社に相談します。相続も同じで、保険会社に相談することが多いのです。すると、保険会社は相続手続きなどに関して弁護士に相談します。この流れに着目し、相続における弁護士との連携の仕方や相続マーケットの開拓について説明するようになり、いまではオンライン開催を中心に全国各地を訪問してセミナーを開いています。 セミナー開催で各地を訪れた際は、やはり飲み会が楽しみの一つ。そうしたつながりから新規顧客を獲得すれば事務所に報告し、担当付けなどの処理は事務所に任せています。新規顧客を獲得するとその後の処理まで求められる事務所もありますが、いまの事務所では担当の先生にスムーズに引き継ぐことができるのでとても助かっています。全国各地を飛び回っているため、事務所に行くのは週に1度ほど。この働き方は自分に合っていますし、転職して本当に良かったです。 いまの事務所には代表以外にパートナーがおらず、私もまだアソシエイトの立場です。今後もセミナー開催を中心に新規開拓に力を入れ、パートナーを目指したいと思っています。 自分の強みを理解すれば、需要と供給が一致する場所が見つかる 自分らしく好きなように働くには、まず自分の強みを理解しなければなりません。私の場合は法学部ではなくSFCでマーケティングを学び、独立時にもコンサルティング会社にお世話になったことでマーケティングの重要性を痛感することになりました。これらの経験が強みとなって新規顧客の獲得を楽しめるようになり、需要と供給が一致する法律事務所を見つけられたのだと感じています。 私がいま行っている保険会社向けのセミナーについても、もともとは最初の事務所で法テラスの安価な案件ばかり担当し、「どうすればもっと売上が上がるのか」「紹介を増やすには何をするべきか」と考えた末に生まれたアイデアです。もっと稼ぎたい、もっと楽をしたいという想いがあれば人は自分で勉強しますし、その過程でビジネス感覚や営業力が身に付くのだと思います。 セミナーの講師などをしていると昔から話すことが得意だったように思われますが、そうではありません。私もコミュニケーション力を高めようと聞き役に徹していた時期がありました。まずは人の話を聞き、少しずつ質問しながら話すことに慣れていく。会話の経験を積み、話し手として大勢の前で語れるようになったのです。これはトレーニングの賜物なので、コミュニケーションが苦手な方はいまからでも聞き役から始めてみてはいかがでしょうか。 「面白い」を突き詰めると仕事が楽しくなる。そうなれば、めぐり逢うだけ これから転職を目指す弁護士の方にお伝えしたいのは、コンサルタントを信じて妥協しないことです。世の中にはいろいろな法律事務所があり、事務所の体制も得意分野も異なります。そのため、2つ3つの事務所から話を聞いただけでは「ミスマッチばかり」と感じることもあるかもしれません。しかし、いろいろな法律事務所があるからこそ、「自分に合う事務所もきっとあるはずだ」と考えてほしいです。ミスマッチと感じながら待遇などに惹かれて転職しても後々苦労するだけですし、めぐり逢う日が来るまで辛抱強く待つべきだと思います。 また、仕事を楽しむには自分のやっている仕事の一部でもいいので、「これが面白い」と思える部分を突き詰めていくことが大切です。私が転職後に保険会社向けのセミナーを開催するようになったのも、弁護士会の移籍に2カ月もかかるとは知らず、入所までの時間を活用して保険の営業担当者と交流を持ち、これは新規開拓につながると感じたからです。飲み会営業も新規開拓も好きな上に、この分野なら第一人者になれるかもしれないと思うと楽しくて仕方がなく、いまは案件を担当せずセミナーに特化しています。 「これは自分には向いていない」と思った案件であっても、「ちょっと面白いかも」と感じた部分を突き詰めればそれが強みになり、その強みを欲しがる法律事務所が出てくるはずです。自分の仕事を楽しみ、自分に合う事務所を出会ってください。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
保険関連の案件を扱うなかで人に寄り添うことを学んだ法律事務所時代 ——これまでのキャリアについて教えてください。 大学は法学部でした。大学入学時には弁護士になることも見据えてはいましたが、企業への就職にも興味があったので、その時点ではっきり決めていたわけではありません。その後、法科大学院を経て司法試験合格後、法律事務所へ入所しました。当時はまだ就職活動が大変な時期で、正直に言うとなかなかこちらから選べるような状況にはありませんでした。そんななか私が入所した事務所は、パートナーが数名の小規模な組織でした。面接のときに優しく対応してくださったこともあり、この方々と一緒に仕事をしてみたいという思いを持っていたところ、内定をいただくことができました。 ——法律事務所では主にどのような案件を扱われていましたか。 保険会社の顧問業務として、交通事故や労災事故対応など保険が関係する損害賠償の案件を中心に担当していました。ただ、企業法務として保険会社内の法律相談を受ける機会はありませんでしたね。 ——交通事故の保険は、被害者、加害者、保険会社と立場によってそれぞれ対応が異なるように思います。 そうですね、どのケースにも対応していました。依頼者のために全力を尽くすという基本的な考え方はどの場合でも同じですが、それぞれ方向性が異なります。被害者側の立場だと、賠償を増額する交渉をしていくことになりますが、加害者側であれば過剰な請求に対して減額を交渉する方針となります。いずれにしても、適正な賠償にしていくという発想が重要になります。 ——そうした業務のなかで学ばれたこと、またやりがいを感じられていたことはありますか。 人に寄り添うということを学びました。場合によってはお客さまにとって耳が痛くなるような話をしなければならないこともありますが、お客様が最初にご相談にいらしたタイミングで、今後どうなっていくか必ず見立てを伝え、できる範囲内で解決に向かうよう進めていきました。弁護士として適正な解決方法を提案することで、お客さまに喜んでもらえたときにはやりがいを感じますね。 ワークライフバランスの確保と予防法務への興味から、民間企業への転職を検討 ——転職を考えられはじめたきっかけはいつだったのでしょうか。 事務所に入ってからはとにかく忙しく目の前の仕事をこなしていくのに精一杯で、正直なところキャリアについてあまり深く考えたことはありませんでした。転職を考えはじめたきっかけは、子どもが生まれたタイミングでした。子どもと一緒にいられる時間を増やすために改めてワークライフバランスを見直し、テレワークや育休制度が整っている民間企業への転職を視野に入れはじめました。事務所の業務自体はおもしろかったですし、不満があったというわけではありません。 ——企業法務への興味はもともとお持ちだったのでしょうか。 事務所での業務は基本的にすでに起こった事件に関して対処していく形になるため、「もっと前のタイミングで対策を打てていればこんなことにならなかったのに」と感じることが多々ありました。あらかじめトラブルを予防する動きができるという点で、企業法務に挑戦してみたいという気持ちはずっと持っていました。 ——企業法務未経験からインハウスロイヤーへの転職ということで、企業を選ぶうえでどのような点を意識されていましたか。 業種や事業の内容については特にこだわりはありませんでしたが、企業法務未経験ということで、法務体制が整っている企業を志望していました。理想は、先輩弁護士が在籍していて、なおかつ他部署との兼任ではなくきちんと法務部が独立しているような組織でした。そうした会社では、法務の重要性が理解されており、法務としての専門的な意見が求められる体制があると考えたためです。 コンサルタントとの綿密な準備の甲斐あって、1社目の企業に内定 ——今回の転職活動では、弁護士ドットコムキャリア以外の転職エージェントは利用されましたか。 複数社に登録しましたが、弁護士ドットコムキャリアで紹介していただいた1社目の企業に決まったので、他社はコンサルタントとの面談をした程度です。 ——転職先はかなりスムーズに決まったのですね。 社内弁護士の退職によって人員補充を検討されていたタイミングで応募できたというタイミングの要素が大きかったかもしれません。かなり運がよかったと感じています。また、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方が先方に対して「企業法務未経験の弁護士でも優秀な人材であれば検討したほうがよい」とアドバイスされたこともポイントだったように思います。 ——コンサルタントと面談をしてみて、弁護士ドットコムキャリアと他社のエージェントとの違いは何か感じられましたか。 他社は画一的な形で行われているような印象でしたが、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方は、私が求めている条件を的確に把握してさまざまな案を提案してくだいました。だからこそ、すぐに内定をいただけたのだと思っています。 ——面接ではどのような点に気をつけられていましたか。 自己PRや志望動機など一般的に聞かれやすい項目については、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方と相談しながらあらかじめ答えを準備していました。 ——法律事務所から民間企業へのキャリアチェンジの理由についてはどのように説明されたのでしょうか。 事務所の業務を通して予防法務の重要性を理解したという点に重きを置いて伝えるようにしました。転職先の法務部長が弁護士の方で、ワークライフバランスの問題も含めこちらの事情をよく理解してくださり、私の説明もすんなり受け入れていただきました。 ——企業法務未経験という状況での転職活動において重要だったと思うことがあれば教えてください。 これまでの仕事の経験をどう活かせるか、面接時に説明できるようきちんと言語化しておくことが大切だったと思います。私に関していえば、保険会社の顧問業務としての事故対応は一見すると企業法務とはまったく別の業務に思えますが、保険会社の担当者から直接相談を受けていた経験は、社内の法律相談などに活かしていけると考えました。 また、転職活動をしている人や、過去に経験している人に相談することもやはり重要だと思っています。私は企業の法務担当者として働いている妻や修習同期からアドバイスをもらうようにしていました。 未経験からの転職を考えるのであれば、なるべく早めに動きはじめる ——これから実際に転職されて新しい業務に取り組まれることになりますが、意気込みを伺えますか。 はじめはとにかく目の前にある仕事にできる限り取り組み、事業部の方々が気軽に相談しやすいような法務体制をつくっていければと考えています。 ——最後に、30歳前後で転職を検討されている弁護士の方にメッセージをお願いします。 企業の場合、未経験でもこの年齢であれば将来性を考慮して採用してもらえるケースは多いと思いますので、転職活動をするのであればなるべく早めに動きはじめたほうがよいでしょう。実際に転職活動をしてみて、「今の職場のままがいいな」と感じることも、それはそれで収穫です。今は売り手市場ということもあり、転職を考えるタイミングとしてはよい時期です。まずは動いて企業の話を聞いてみるのがよいと思います。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
司法試験に挫折後、一大グループの法務担当者として多様な業態を経験 理系大学に入学したものの、たまたま手に取った民法入門書から法律に興味を抱き、他大学の法学部へ編入しました。実際に法律を学び、弁護士になりたいという気持ちも芽生え、司法試験の勉強に挑むものの合格できず。30歳に差し掛かり改めて自分の将来を考え、縁があり、観光関連の会社を多く擁する上場グループに就職しました。 グループ内では15年にわたりさまざまな業態を経験させてもらいました。事業会社では契約審査や法律相談、訴訟対応などの一般的な法務業務を中心に担っていました。持ち株会社では子会社化や体制づくりなどの法務コンサルティングや投資ファンドへの事業所の売却プロジェクトなどにも取り組んでいました。中でも、在籍期間が最も長かった事業会社は土地を有しており、土地は紛争の火種になることから、よく訴訟対応をすることがありました。また、テーマパークやフィットネスジムのような地域のお客様向けの施設が複数あるので、多様な契約に関わることができました。 一つの会社に居ながらさまざまな業態に携わったことで法務担当者としてはバラエティに富んだ経験を積めましたが、転職を考えなかったわけではありません。転職してみたい気持ちは持ちながらも、「転職をするなら35歳まで」という一般認識があることは知っていたので、40歳を超えて転職するのは難しいのだろうと思っていました。 45歳で挑む、初めての転職活動。弁護士ドットコムキャリアに登録 自分も転職できるかもしれないと感じたのは、一つ年下の弟が40歳を超えて転職したからです。弟の転職により「この年齢でも転職できるのか」という発見があり、「きちんとエージェントを見つければ大丈夫」という言質を得られました。そして、45歳になって法務としてのキャリアを見つめ直した時に、「転職活動をすれば自分に足りないものがわかるのではないか」という気持ちを抱くようになったのです。 2022年8月に弁護士ドットコムキャリアをはじめ複数の転職エージェントへ登録しました。ただ、あるエージェントはひっきりなしにメールが来てその対応に苦慮し、逆に、あるエージェントはまったく連絡がありませんでした。「まずは自分に足りないものを把握したい。その上で良い縁があれば転職したい」という私のテンションに合わせてくれたのが弁護士ドットコムキャリアです。 私を担当してくれたコンサルタントの齋藤さんから自分と同世代の方々が転職して新しい職場で活躍している事例を聞き、次第に転職に対して前向きな気持ちになることができて10月頃から本格的な転職活動を始めました。当時は大きなプロジェクトに関わっており電話で話す時間もなかなか作れず、20時を過ぎて電話をかけることも多かったのですが、快く時間を割いてくれましたし、この人とならきっと良い転職先を見つけられるだろうと思えました。 コンサルタントのサポートが視野と可能性を広げてくれた 転職においてコンサルタントはとても重要な存在だったと改めて感じます。私は今回が初めての転職だったということもあり、転職活動の具体的な進め方やスケジュール感は分かっていませんでした。その中でコンサルタントの齋藤さんは今後の動きを逐一フォローしてくれ、それでいて私の意に反する方向へ誘導することもなく、あくまでも私の意思を尊重し、随時確認しながら進めてくれました。 自分の将来に関わることなので転職先を選ぶ際はとても迷います。私が企業選びで重視したのは「チャレンジできる場所」ということです。これまでとは違う業界なのか、あるいは上の職位か、転職活動を進める中でどちらかを目指したいと思うようになりました。前職では上が詰まっていてマネジメント層に挑むことも難しかったので、転職活動を機にこれまでの自分のキャリアを振り返り、その上でこれからどのようなキャリアを歩んでいきたいのか真剣に考えることができました。 企業選びにおいても転職エージェントを活用するメリットがあります。それは、想定外の企業を紹介してもらえることです。一人で転職先を探していればどうしても興味のある業界に絞って面接を受けたでしょうが、さまざまな業界の法務職を検討できるため「こういう業界でも活躍の道があるのか」と自分の視野と可能性が広がっていくのを感じました。異業種を志望する上である程度の業界研究は必要となりますが、転職活動で異業種への理解が深まっていく過程は私にとって貴重な経験となりましたし、志望動機の構成に迷った時は齋藤さんから適宜アドバイスをもらいました。面接にも不安を感じることなく挑めましたし、齋藤さんが常に水先案内人のように転職活動全般をサポートしてくれ、私の背中を押してくれたことにとても感謝しています。 転職先はIT業界。40代でも諦めなければチャンスを掴める 最終的に転職先として選んだのはIT業界です。ICTコンサルティングを中心にシステムの企画から構築・運用までトータルに担う会社で、契約書審査を中心に研修関連の業務に取り組んでいます。異業種でしたが事業の先進性に惹かれ、待遇も良かったことが決め手になりました。 まだ転職して2カ月ですが、転職後の率直な気持ちを言えば、社風や仕事に完全に慣れたとは言えません。長く1つの会社に居たので新しいやり方に戸惑う部分はあります。例えば、契約書の審査はとても属人的な作業です。「私はこう考えている。だから、契約書をこのように修正してほしい」というやり取りがあり、相手に納得してもらうためには法務担当者の考えや根拠としているものを知ってもらわなければなりません。前職では業態は変わってもずっと同じグループに居たので自分の考えを知ってもらうことにそこまでの労力はいらなかったのですが、新しい会社ではその周知から取り組まなければならないのだと気付きました。 一方、社内では資格取得が推奨されており勉強熱心な社員が多く、社会奉仕活動への参加も社員間から自発的に生まれています。周囲から得られる刺激によって自己成長できるという実感がありますし、この環境で力を身に付け、ゆくゆくはマネジメントに挑戦したいと思っています。 40代の転職経験者として伝えられることがあるとすれば、「諦めなければチャンスがある」ということです。私も当初は「この年齢になって転職は無理だろう」と思っていましたが、結果的に9社の一次面接を受け、複数の企業から内定をもらえました。とりあえず一歩を踏み出してみることが大切です。転職活動はさまざまなタスクが降りかかってくる困難なプロジェクトで、このプロジェクトを一人でやり遂げることはかなり難しいはず。でも、転職エージェントというプロフェッショナルのサポートを受け、私も乗り越えることができました。転職は自分のキャリアや仕事に対する姿勢、そして人生の取り組み方まで見つめ直すことができる素晴らしい機会です。これから転職活動をはじめる方も、エージェントの力を借りて希望の転職先を見つけてください。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
新卒で経験したのは、金融業界ならではの「守りの法務」 私は法務・コンプライアンスとして3社でキャリアを積んできました。新卒で入社した証券会社ではコンプライアンス部門に所属し、主にコールセンターからの質問対応と取引データのモニタリングを担当していました。顧客からの相談がコールセンターに寄せられた際、その対応が証券取引法やコンプライアンスに照らし合わせて問題がないか、スタッフが確認したい時に頼られる存在です。 コンプライアンス部門だけで10名所属し、これは相談件数が多いからという理由だけではなく、金融業界という業界の特性が反映されたものです。銀行や証券会社には、適切な取引を行っているか調べるために定期的に金融庁の検査が入ります。金融庁検査で問題が発覚すれば業務停止命令が下る可能性もあるため、コンプライアンスの遵守を徹底するためにそれだけの人数を割いていたのです。この業界特性から、どうしても「守りの法務」にならざるを得ない部分もありましたが、度が過ぎると保守的な組織になってしまうのでバランスを取ることに注力していました。 その後、社内のジョブローテーションでシステム部へ異動となります。コンプライアンス部門では契約書のリーガルチェックなど一般的な法務業務を経験する機会がなく、異動をきっかけに「もっと法務業務を突き詰めたい」と考えるようになり、モバイルサービス事業とフィナンシャルサービス事業を手掛けるIT企業へ転職しました。 法務2名で、契約法務からM&Aまで幅広い業務を担当 コンプライアンス部門での経験はあったものの一般的な法務業務は未経験だったことから、「未経験OK」、「確固たる基盤をもつ上場企業」、「幅広い業務を担当できること」を軸に転職活動を進め、巡り会ったのが2社目です。2社目は1社目と打って変わり、東証プライム上場企業でありながら法務グループは少人数であり、数名程度であらゆる法務業務を担当していました。 契約書の作成とレビューをはじめ、契約書の管理、株主総会や取締役会の運営まで行い、時にはM&Aにも携わるほどで、多忙ではあったものの業務範囲の広さは希望通りでした。特に、契約書に関しては事業部から新規契約の相談を受けると法務グループでひな型を作成して事業部に提供していたので契約書の作成スキルが着実に上がり、この環境で改めて法務担当者としてのベースを固めることができたと感じています。 法務の幅広い役割を一通り経験し、法務人材としてこれから自分が目指したい道も定まりました。狭く深い領域で専門性を高め、法的議論ができるようになりたい。そう考え、2022年秋に現在の不動産企業へ転職しました。 弁護士も多数いる大人数の法務部で、専門性を高めていく 当初はIPを扱うゲーム業界に興味があり、内定もいただきました。しかし、現在の企業は過去約20年間にわたって法務部へ寄せられた相談をすべてデータベース化し、ナレッジとして蓄積していました。より専門性を高めていくにはとても魅力的な環境で、ワークライフバランスと給与のバランスも良かったことで入社を決めました。 いまは契約書のレビューや法律相談を主に担当しています。不動産業界ではやはり不動産の売買や賃貸に関する契約書が多く、民法や借地借家法、宅建業法などさまざまな法律を考慮してレビューしなければなりません。リーガル業務が多い分、関連法規への深い理解が求められ、一つひとつのレビューが自己成長につながっている実感がありますし、データベースを検索すればすぐに過去の相談実績が出てくるので仕事がやりやすいです。 ただ、転職後に感じた個人的な課題もあります。それが法的素養の不足です。法務部内には弁護士も多数所属していますが、弁護士資格の有無による業務の区分けがありません。そのため、法的素養を身に付けなければミーティングなどで積極的に法的議論に加わろうとしても躊躇してしまいます。この課題を解決するため、弁護士資格の取得を考えています。夜間の法科大学院に通い、法務としての地力を培うことが目標です。 ただ、仮に弁護士資格を取れたとしても法律事務所で働こうとは思っていません。企業法務はワークライフバランスも良く、この働き方が自分には合っています。それに、不動産取引は思っていた以上にバリエーションが豊富です。いまは企業の法務担当者として地力をつけ、不動産に関わる法務を極めたいと思っています。 法務の転職を考えている方へ 私はこれまで2回の転職を経験しました。その転職経験から言えることは2つあります。 1つは、法務の経験年数が浅い方は幅広い業務を担える会社を一度は経験した方が良い、ということです。少人数のグループだった2社目で本来は総務部が担うような株主総会や取締役会の運営業務にも携わり、これが分業制の現在の会社で評価されました。一通りの業務を経験し、自分が求めるものを正確に理解しておけば企業側にとっても需要と供給のマッチングを図りやすく採用しやすいのだと思います。 もう一つは、転職を意識すると「職務経歴書に書ける経験を積んでおこう」と考えるようになり、これが面接などで非常に活きる、ということです。これは私の体感ですが、法務の中途採用では未経験採用がほとんどありません。どの企業も即戦力を求めています。契約書関連の経験がなかったため2社目への転職時には未経験採用の求人に絞って探しましたが、1社目で少なからずコンプライアンスの経験は積んでいました。即戦力を求める企業は、法務人材が「前職で何をしてきたか」を重要視します。そこで、職務経歴書に書けるような実績を残せるように動いておけば転職時の高評価につながるのです。 これはIPOやM&Aのような大きな出来事でなくても構いません。私の場合、弁護士ドットコムが提供しているクラウドサインと社内システムのAPI連携を提案したことがありました。API連携とは自社のプログラムやサービスを外部とやり取りする仕組みのことで、事業部から契約におけるやり取りの簡略化を相談され、自動で契約書面を送付するAPI連携を提案したのです。法務部ではよくある相談であり、よくある解決法かもしれません。しかし、このケースも面接の場では個別具体的な課題に対して自ら解決策を提案し、法務として適切に解決したと見なされます。実際、このエピソードは今回の転職活動の面接で高く評価してもらいました。 業界や企業規模、事業内容により、法務の仕事や役割は異なります。それでいて転職市場では即戦力が求められます。一つの企業における法務の在り方と他の企業の法務ニーズが相反しているように見えますが、それでも転職を意識して普段の業務の中で「法務の実績」を蓄積しておけば、自分の希望する業界や企業へ転職できるはずです。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
営業からフランチャイズ法務に。法務でありながら現場を走り回った8年間 ——大学卒業後、営業職からキャリアをスタートされていますね。 当時にしては珍しく法務職での新卒採用でしたが、結果的には営業職へ配属されました。将来的には法務をやりたいと上司に伝えていましたが、その見込みはないとのことだったので、約1年半務めた後にたまたま法務職の募集をしていた小売企業へ転職することに決めました。 ——2社目ではどのような業務を担当されたのでしょうか。 フランチャイズの審査業務が主でしたね。フランチャイズの加盟申込者がフランチャイジーとしてふさわしいかどうかや店舗候補地や店舗建物の不動産の権利関係を審査するというもので、一般的な企業法務の仕事とは少し異なります。また、同社では、フランチャイジーのトラブルはフランチャイザーがサポートするという方針だったため、全国津々浦々を回り、被害を訴えた方から話を聞き、さまざまな解決策を提示するということも行っていました。当時はまだ若かったのでなかなか信用してもらえず、まずは打ち解けるところから始めていましたね。 法務立ち上げのポイントは、“かゆいところに手が届く存在”であろうとすること ——小売企業に約8年勤務された後は、部品メーカーで英文契約含む契約法務を、電子機器メーカーで法務部門の立ち上げを経験されました。法務部門の立ち上げで苦労された点はありましたか。 「法務」という名前がついている時点で、社内の皆さんに警戒されてしまうんですよね。「法務って何なんだ」「面倒なことになるんじゃないか」と。今まで自由にやってたことに対して制限をかけられたり、営業成績の邪魔になってしまったりするのではという先入観が社内にあったので、まずはそうした誤解を解くところから始めました。 ——社内の関係構築は具体的にどのような形で進められたのでしょうか。 “かゆいところに手が届く存在”であろうとすることを心がけました。「取引先からこういうことを言われたのだけど、どうしたらよいのか」といった相談に乗ったり、場合によっては同行して相手方と話をしたり、債権回収に直接出向いたり……こうして1年ほどかけて実績を積み上げていくことで、法律関係だけでなく何でも相談できる人なんだという認識を持ってもらえるようにしていきました。そこからは次のステップとして社員のみなさんに契約の重要性を理解してもらい、徐々に法務の体制を作り上げていきました。 ——まずは自分の足を動かして現場の方々のためにご尽力されたことで、仕事が進めやすくなったというわけですね。 そうですね。法務という存在は、現場からすると便利なところもあれば窮屈なところもある。これはどの会社でも同様だと思います。だからこそ、特に立ち上げのフェーズでは、法務がいたらどのように便利になるのか、現場の方々のメリットをしっかりと提示することが大事になります。「何をやっているのかわからない」「邪魔ばかりする」という先入観を解きほぐして、「あいつ、なんか役に立つな」という印象を持ってもらえれば、自ずと仕事が進めやすくなっていきます。 市場再編、吸収合併、IPO……企業の変革期に立ち会い続けた4年間 ——その後、上場企業のコーポレートガバナンスを経験したいということで広告業界へ転職されました。 同社では、法務部ではなくコーポレートガバナンス室に所属し、機関法務やコーポレートガバナンスを中心に担当することになりました。 ——それまでのご経験が活きた部分はありましたか。 法務とは少し違うところかもしれませんが、それまでのキャリアのなかで英語をやってきていた経験は活きたかもしれません。同社は海外に大きな関係会社を持っており、幹部同士のあいだで誤解やすれ違いが生じることがあったのですが、英語力と人間関係構築力を活かしてうまく仲立ちすることができました。また、当時はコーポレートガバナンス・コードへの対応がスタートした直後で、コードのコンプライのために選任した社外取締役と社内の業務執行取締役とのコミュニケーションが密にはとれていなかったため、その仲をうまく取り継ぐといったこともしました。 ——そして、そこからさらに転職され、複数の企業で東証市場再編に関わる仕事やIPO関連業務などに携わられています。 当時東証一部上場企業だったメディア関連企業は、市場再編によってプライム市場に残れるか残れないかが課題となっていました。プライム市場に残るためには、成長力はもちろんですが、ガバナンスやコンプライアンスも重要となります。そこに対してやるべきことを行い、海外機関投資家の投資対象となることによって時価総額の向上にも貢献し、結果としてプライム市場に残ることができました。ただ、同社に誘ってくれた人が辞めてしまったことで、転職を余儀なくされました。次の会社でも東証市場再編を受けてさまざまな対応を検討していたのですが、結果的に他社へ吸収合併されることになり、吸収合併に向けた法務のほか、総務、人事周りの業務も私が担当していました。 その後は、外資系企業にて法務部門の立ち上げを任されることになりました。私の入社以前は、法律に関する社内の仕組みはほぼ何もない状況だったので、法律相談できる体制づくり、契約フローの構築、就業規則を含めた規程関連の整理、リーガルテックを活用した契約業務効率の向上、信用調査や反社チェックのフロー整備など、さまざまな業務を担当しましたね。そして、次に転職した内資系企業では、IPO関連業務に携わりました。 安定した環境で働くよりも、変化しつづける環境に身を置きたい ——ここ数年間は、東証市場再編の影響を受けて、上場準備や合併など、変化の大きなフェーズの企業に在籍されることが多かったと思います。そうしたなか、今回の転職活動ではどのような点を意識されていたのでしょうか。 これまでの経験から、大企業の安定した環境で働くよりも、会社の成長過程や問題ごとの解決に関わることで、自分自身はもちろんその会社も成長できる環境に身を置くことのほうが自分の興味に合っていると考えていました。転職先の会社では、常に挑戦を続けていく意向を社長が示しており、変革し続ける環境で働いていけそうだというイメージを持つことができました。 また、自分自身の経歴と転職先の会社が求めている人材とのミスマッチがないよう気をつけていました。会社によっては契約法務に特化した人材が欲しいというケースも多いですが、何でもやりたいという考えを持つ私がそこに入っても合わないと思います。その会社が企業法務人材に何を求めているのか詳細に聞き、自分の意向と合うかどうかきちんと確認することが大切だと思います。 ——そうした考えのもと、今回の転職の決め手になったポイントはどこにありましたか。 ひとつは人ですね。この会社の社員の方々と一緒に仕事してみたいと思ったことは大きかったです。また、この会社であれば、法務だけではなく総務や人事周りまで幅広く担当してきた経験を活かしながら、社内の皆さんのお困りごとを解決するためのサポートができそうだとも感じました。 次の会社は数十名程度の規模で、現在2名の法務担当者がいます。それなりに法務の重要性を感じていながらも、法務のバックグラウンドを持つ担当者はおらず、実質的な部分が伴っていない点が課題です。今後、規模拡大を目指していくなかでは、法務体制を整備していく必要がありました。現状では外部弁護士に頼っている側面も大きいので、自分が中に入ることでより現場を理解し寄り添ったサポートを行っていきたいと思っています。 業界によって法務の考え方は大きく異なる ——小売業から製造業、広告業までさまざまな業界を渡り歩いてこられたご経験を振り返って、業界ごとの特長や仕事内容の違いをどのように感じられていますか。 たとえばメーカーであっても、購買をメインとしている法務と販売をメインにしている法務とでは、考え方はまったく逆のものになります。機器メーカーでは、最終商品を市場に出すための法務がメインであり、売る方をサポートしてもらいたいという要望が強かった一方で、部品メーカーではどちらかというと共同開発や調達に重きを置いていました。また、広告企業では、コンプライアンスを重視した慎重な法務というよりは、いかにクライアントのためにギリギリのところを攻められるかという視点が求められましたね。 自身の好みや経験、スキルセットによって、合う業界、合わない業界はあると思います。転職活動される方にとっては、企業法務の業務内容はもちろん、業界という面でも自分の得手不得手を考えていく必要があるでしょう。 ——今回の転職に際して、弁護士ドットコムキャリアを利用してよかったと思う点はありますか。 他の人材エージェントも利用していましたが、正直どこも似たりよったりの求人を紹介されることが多かったです。今回の転職先として選んだ企業をご提案していただいたのは、弁護士ドットコムキャリアだけでした。私の経歴を見た担当コンサルタントの菰田さんに、真っ先に紹介していただいたんです。 また、直近で短期離職を繰り返している私の経歴に対して、他社のエージェントでは「短期間で転職を繰り返してるのはかなり不利ですけど、頑張りましょう」とネガティブに捉えられることが多かったのですが、菰田さんには、「見方を変えればきちんと強みになります」とポジティブなご意見をいただきました。 ——最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。 転職先は、現在の事業を拡大させ、会社を成長させながら、新しいものを生み出していくことを目指す組織です。そこに対し、企業法務担当としてサポートできるところはサポートしつくしたいと思っています。また、プラスアルファとして、自分自身の経験を活かし、IPOやコンプライアンス、リスクに関するコンサルティングをメインに行う事業を立ち上げていければとも考えています。経営陣には前向きに捉えていただいているので、新たな挑戦をしていきたいですね。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
より予防法務的な視点を持って世の中に貢献したいと考えるように ——これまでのキャリアについて教えてください。 ファーストキャリアでは、中規模の法律事務所にアソシエイト弁護士として約3年間従事しました。新卒時はあまり就職活動に力を入れておらず、知り合いが所属する法律事務所を受けて採用された形です。事務所は一般民事事件を中心に扱っていましたが、クライアントは中小企業の株主や経営者も多く、紛争系を中心に、会社法関係、M&A、事業承継、少数株主対策など企業法務の案件にも幅広く対応していました。当時は特に具体的な将来像を描いていたわけではなかったので、日々依頼される仕事をひたすら覚えていくような感覚で目の前の案件に取り組んでいました。 ——そのなかで何か転職を考えるきっかけになった出来事があったのでしょうか。 夜遅くまで多くの案件をこなしていくなかで、よりマクロな視点で世の中に価値提供をしていきたいという思いを持つようになりました。事務所での仕事は、交通事故にせよ、企業間紛争にせよ、何かが起こってから相談を受けるケースのほうが多く、少し物足りなさを感じていました。もちろんクライアントは困りごとを解決するために事務所に依頼しているので、その方の人生にとっては良い影響を与えられているとは思います。しかし、世の中全体が良くなっているような感覚は得られず、より予防法務的な視点を持った仕事に時間を割くことができないかと考えるようになるなかでインハウスとしての働き方に興味をもち、転職活動を始めました。 コンサルタントのアドバイスをきっかけに大きく方針転換 ——どのような軸を持って転職活動をされていましたか。 当初は、居住地の関西でワークライフバランスを保って働けるような企業を想定し、採用面接を受けていました。ただ、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントの方にお会いした際、大きく軌道修正されたんです。他のエージェントから紹介された求人はほとんどが関西に拠点のある小規模な会社でしたが、弁護士ドットコムキャリアには、東京の大手企業を提示していただきました。これは一番はじめの面談で、ビジネスパーソンとしての成長意欲を見抜いていただいたためです。他のエージェントは事務的な対応で、あまり有益なアドバイスをいただけなかったこともあり、そこから弁護士ドットコムキャリアの提案に絞って転職活動を進めていきました。 ——そのほかに弁護士ドットコムキャリアの良かった点はありますか。 コンサルタントの方にしっかりと話を聞いていただけたことが大きいです。そのうえで、私にとっては「ビックチャレンジ」ともいえる選択肢を用意してくださいました。自分の想像を超える提案をしていただけたのは、非常にありがたかったですね。 ——弁護士会や知り合い経由で転職活動を行うことに対し、エージェントを使うメリットはどこにあるとお考えでしょうか。 コンサルタントの方によるところが大きいと思いますが、自分の話を親身に聞いてもらえるエージェントで、自分もエージェントの方の話をきちんと聞いて受け止められる覚悟があるのであれば、絶対にエージェントを利用したほうが良いと思いますね。特に私の場合は、自分だけでは考えつかなかった道の可能性を見出していただきました。選択肢を広く検討するという意味でも、エージェントのメリットは大きいです。迷っている人ほどエージェントを活用すべきだと考えています。 転職後2年半でマネージャー職へ ——現在のお仕事について教えてください。 大手プラットフォーム企業で、主にECサイト関連の業務を行っています。大型出店企業との個別交渉から、契約書作成、法律相談、サイトのUIや仕組みなどの改変対応まで、プレイヤーとして幅広い領域を担当しつつ、1年ほど前からチームリーダーとしての仕事も任されるようになりました。その他にも新規事業のローンチサポート、組織運営の効率化やナレッジマネジメントなどにも携わっています。 ——入社の決め手となった点はどこでしたか。 大手プラットフォーム企業ということでさまざまなビジネスを手掛けていたこと、また新規事業立ち上げの初期段階に関われる点が魅力でした。 ——もともとは居住地の関西で転職先を探されていましたが、東京への移住を決意されました。 関西の企業を中心に転職活動をしていたのは、家族もいるし、実家も近いし、知っている街で安心感があるし、といった守りの発想からです。ただ、コンサルタントの方に、ビジネスパーソンとして成長したいのであれば東京のほうが可能性が高いと強く勧めていただいたことで、チャレンジを決めました。 ——入社前のイメージと比較して実際の業務はいかがでしたか。 仕事に求められるクオリティの高さは想像以上でした。事業部メンバーの法務リテラシーも高く、深く突っ込んだ質問をされることもあるので、納得していただけるようこちらも真摯に対応していく必要があります。ただ、プレイヤーとしての仕事をしっかりと遂行していれば評価してもらえるカルチャーがあるので、やりがいはありますね。会社としてマネージャー候補の育成を強化しているタイミングだったこともありますが、プレイヤーとしての仕事が認められたからこそ、早いタイミングでマネージャー職に昇進できたと考えています。 ——実際にマネジメントの仕事に携わるなかで、プレイヤーとしての仕事と比べて違いを感じられていることはありますか。 正直なところ、まだ自信を持ってできていないことも多く、はっきりと言えることはありませんが、着実に成長している感覚はあります。これまでとは違う至らなさを感じるようになったので、以前課題に思っていたようなことはできるようになってきているのだと思います。マネジメントに携わりだしてからは、より丁寧に人の話を聞くようになりましたし、なるべく齟齬が生まれないコミュニケーションを心がけるようになりました。マネージャーとしての覚悟のようなものができてきたのかもしれません。 ——改めて振り返ってみて、転職してよかったと思いますか? はい、心からそう思います。転職前と比べて、仕事で関わる人たちの数や種類が圧倒的に多く、見えている世界が全然違います。いろんな部署の人がいて、いろんな考えを持つ人のなかで事業に貢献していくという感覚はインハウスならではだと思っています。出身地の法律事務所で家族のためにワークライフバランスを重視して仕事をするという選択肢も将来的にはもしかすると生まれてくるかもしれませんが、今はまったく考えていません。 とにかく今の会社は、組織全体にものすごいエネルギーがあります。それを法務として支えていくことのプレッシャーはありますが、そのぶん社員一丸となって事業を良くしていくために働けています。 「一般民事からインハウス」は不可逆な転身でない ——インハウスと一般民事の事務所をご経験されて、それぞれどのような人が向いているとお考えでしょうか。 そこで成長して認められるような能力やスキルがある人は、どちらでもやっていけるのではないでしょうか。環境やライフステージの変化で転職せざるを得なくなったケースや、上司との相性が悪かったケースなどを抜けば、そこまで大きく変わらないように思います。人間関係や職場環境に苦しんで転職を考えているのであれば、事務所の移籍で解決することもあるので、必ずしもインハウスに転向すべきとはいえないと考えています。もちろん個人の性格や適正によるところもあるかもしれませんが、法律事務所からインハウスへの転向もその逆も、後戻りできないような大きなキャリアチェンジであるとは捉えていません。 ——最後に、今後の働き方についてビジョンをお聞かせいただけますか。 自分の子どものことも考慮して、30代のうちに海外へ移住できたらと考えています。今の会社の海外拠点なのか、他の会社なのかはまだわからないですが、それに向けた努力をしていくつもりです。実際には忙しくてなかなか時間が取れていませんが、海外で自分がどのような価値を発揮できるかについてはしっかり考えていく必要があると思っています。弁護士ドットコムキャリアのコンサルタントの方には「もっと上を目指していきましょう」と言われています。その影響を受けて、現状に満足できなくなってしまっているんですよね。英語力を向上させたり、現在担当している業務のクオリティを上げたりと、まずは目の前のことに丁寧かつ着実に取り組んでいこうと思っています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
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