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入所1年目で支所の所長に。依頼者のために戦う姿勢を貫き、支所展開を成功させる ——まず、堀向先生のこれまでのキャリアについて教えてください。 私は司法修習68期で、当事務所には2016年1月に入所しました。当時は5名の弁護士が所属し、そのうち3名は私を含めた新卒の弁護士という小規模な事務所でした。入所しようと思ったのは、事務所の成長に携わることができると考えたからです。 面接で「これから福岡や名古屋に支所を展開していく予定だ」と聞き、以前から福岡の街が好きだったので、「ぜひ支所の立ち上げを担当したい」と話しました。そして、2016年10月に開設した福岡事務所の所長に就任し、3年ほどしてから帰京しました。 ——入所1年目にいきなり支所の所長を任されたのですか? 手を挙げれば若手弁護士でもどんどん仕事を任せてくれるのが当事務所の魅力です。福岡を皮切りに札幌、名古屋、大阪、仙台、広島、大宮と全国の主要都市に支所を開設していきましたが、いずれも若手の弁護士が所長として活躍しています。2020年には最初の海外拠点として台湾事務所も開設しました。 ——支所の立ち上げではどのような点に苦労しましたか? 地域によって多少の違いはあるかもしれませんが、地元に根付いた弁護士に依頼したいと考える方は少なくないと思います。いきなり東京からやってきた弁護士よりも、地元のことをよく知っている弁護士の方が安心して相談できると思われるのかもしれません。 私たちは、すべての方に質の高く分かりやすい法律サービスと満足をご提供することをミッションに掲げ、丁寧でスピーディな対応を心がけてきました。多くの方に信頼していただけるようになり、全国への支所展開を進めることができました。 ——クライアントへの丁寧な対応などを通じて信頼を獲得し、事務所の成長につなげてきたのですね。 現在は弁護士が約30名、スタッフも含めると120名以上の組織に成長しました。組織が拡大する過程で弁護士と事務員が一致団結して目標に向かうことができ、チームワークも強固になったと感じています。 法律問題の解決はもちろん、クライアントのさまざまなニーズに応える ——『弁護士法人プロテクトスタンス』のロゴは盾がデザインされています。事務所名とロゴにはどのような想いが込められているのでしょうか? 2022年のリブランディングにより、現在の事務所名とロゴに変更しました。この名称とロゴには、「すべてのクライアントを法律の力で守り抜く」という想いが込められています。この想いのもと、法人や個人を問わず、すべての方に質の高く分かりやすい法律サービスと満足を提供することが当事務所のミッションです。180社以上の法人・個人事業主さまと顧問契約を締結し、その事業規模や業種は多岐にわたります。個人のお客さまから寄せられるご相談も、債務整理や男女・離婚問題、交通事故、相続、労働トラブル、刑事弁護など幅広く扱っています。 その中でも注力分野のひとつが企業法務です。医療法人や製薬会社、AI・ロボット・ドローン開発会社、ECサイト関連会社・WEB広告会社、エネルギー事業会社・宇宙開発ベンチャーなど、先進的な業種の企業とも顧問契約を締結し、法律がまだ追いついていない問題にも柔軟に対応しています。 ——法人・個人を問わず幅広い案件を扱う中で、事務所の強みは何でしょうか? 税理士法人や社労士法人、行政書士法人、弁理士法人など隣接士業をグループ化しているので、法律問題だけではなく税務や労務、許認可、知的財産などのご相談にもワンストップで対応できます。 また、包括的なIPO支援サービスを提供するコンサルティング会社や、オリンピックや国際舞台で活躍するアスリートのサポートやセカンドキャリアを応援するスポーツマネジメント会社も開設しています。法律問題を超えた幅広い分野を取り扱うのは、当事務所ならではの強みだと思います。 ——弁護士もやりがいのある仕事に挑めそうですね。 法律一辺倒ではなく、税務や労務などの専門家と連携することで依頼者に寄り添った解決を図れます。弁護士も企業内弁護士の経験者や元裁判官、元公務員などバックグラウンドの異なる弁護士が所属し、コミュニケーションも活発なので普段の業務の中でさまざまな知見を得られます。 また、支所の所長を若手弁護士が務めるなど、当事務所ではさまざまな業務にチャレンジでき、周囲も応援してくれます。案件を進めるうえで困ったことや分からないことがあっても気軽に相談できますし、勉強会も盛んです。成長意欲のある方には最適な環境が整っていると思っています。 ジェネラリストとしてベースを築き、スペシャリストとしてキャリアアップしてほしい ——今後のビジョンを教えてください。 まず、注力分野のひとつである企業法務を成長させたいです。特に、IPOを目指す企業や最先端事業に取り組む企業のサポートを積極的に取り組んでいきます。 事務所のブランド力を一層強化させることも重要です。今後も新たな支所を開設予定ですし、海外拠点も増やしたいと考えています。 最後は、DXの推進です。弁護士業界は一般企業に比べるとDXが遅れていますが、DXの推進により業務効率が向上し、子育て世代や介護をしている弁護士がいつまでも安心して働ける環境整備にもつながると思っています。 ——『弁護士法人プロテクトスタンス』が求める人物像も教えてください。 当事務所では、「弁護士たるものジェネラリストであれ」という方針を掲げています。弁護士である以上、どのような分野のご相談やご依頼でもお受けできるよう、一定程度の見識を持っているべきです。 ただ、幅広い分野を経験し、ジェネラリストとして一定の見識を備えた後は、スペシャリストとして各自が得意分野を持ち、専門性を高めてほしいと考えています。 ——まずはジェネラリストとして弁護士のベースを築き、その後スペシャリストにキャリアアップしてほしい。 そうです。弁護士がどんどん成長できるよう、研修制度や留学支援を一層充実させることも課題ですね。 ——最後に、転職を検討されている読者の方へメッセージをお願いします。 やりたいことが明確なら周囲が応援してくれる事務所なので、成長意欲のある方とぜひ一緒に働きたいと思っています。また、弁護士活動をするうえで大切なのは熱意です。熱意がなければクライアントからの信頼を得られず、最善の解決を目指すことはできません。自分で考え、時には苦しみながらも、最後まで熱意をもってやり遂げようとする方に加わってほしいです。 私は入所1年目から支所の所長を務め、マネジメントの機会にも恵まれました。この経験はキャリアを築く上で非常に有益でした。これから入所される方にもさまざまな業務に積極的にチャレンジし、自身のキャリア形成に活かしてほしいと思っています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
企業法務全般をカバーするフルサービスファーム ——『岩田合同法律事務所』は日本において最も長い歴史をもつ法律事務所です。明治から戦前まで設置されていた大審院の判例にも『岩田宙造法律事務所』の名前を確認できます。現在はどのような分野を得意としているのでしょうか? 泉 ジェネラル・コーポレート、紛争解決・危機管理、M&A・事業承継、ファイナンス、競争法など企業法務全般です。近年は法律が複雑化している労務、税務、知的財産分野の専門チームを立ち上げ、また、スタートアップやIPO支援にも力を入れています。 田子 私たちが目指しているのは、すべての企業法務分野をカバーできるフルサービスファームです。事務所としてクライアントのあらゆるニーズに対応できるようにしていて、最近では知財専門の弁理士法人を立ち上げたほか、札幌オフィスを開設しました。 ——事務所としての強みを教えてください。 泉 クライアントとは長期的に関係を築いているので、クライアントのビジネスや内部事情を理解し、その上で法的なアドバイスができます。「法的にこうだから」と紋切り型で話すのではなく、あくまでもビジネスに寄り添っていく。また、こちらのアドバイスが社内にどういう形で伝わり、誰が決裁するのか、意思決定プロセスを把握することでより効率的なアドバイスを行うことができています。 田子 いろいろな業界・企業との付き合いがあるので、「多くの企業が採用している一般的な基準・傾向」も把握しやすいです。例えば、「他の企業ではどのように対処しているのか」といった質問に対しても守秘義務を守った上で助言できます。これはさまざまな業界の企業をクライアントに抱えている事務所でなければできないでしょう。意思決定プロセスと同様に、一般的な基準・傾向を把握できることで企業法務の知見も深まっていくはずです。 ——泉先生は中途入所ですが、入所前は事務所に対してどのようなイメージを持っていましたか? 泉 判例雑誌に『岩田合同法律事務所』の名前がよく出てくるので、訴訟に強いイメージがありました。また、歴史のある事務所だからこそ厳格な組織なのだろうと思っていましたね。 ——実際に入所してみてイメージとのギャップなどはありましたか? 泉 イメージ通りだったのは訴訟に強いことです。所属している弁護士のほとんどが担当するほど案件の数も多く、大型訴訟や専門性の高い類型の訴訟にも対応できる弁護士が多数在籍していました。逆に、イメージと違ったのは組織の雰囲気です。20~30代の若手弁護士が多く、上下の垣根なく議論する自由闊達な環境でした。 田子 クライアントに最善のソリューションを提供するには一人の弁護士が専門性を高めるだけでは足りず、その分野を得意とする弁護士の数も必要です。そのような背景から中途採用にも力を入れており、その過程で自然と若手の弁護士が増えていきました。 すべてのクライアントを事務所全体のクライアントとすることで、最適なチームを組成でき、弁護士の成長も加速する ——『岩田合同法律事務所』の理念を教えてください。 田子 すべての分野の案件を事務所として受け付け、全員が一丸となって課題解決に取り組む。そして、クライアントと長期的な信頼関係を築くことです。「信頼関係」「長期的」「課題解決」「健全」「事務所一丸」、この5つの言葉が当事務所の理念です。 泉 事務所によってはパートナーごとにクライアントがつき、パートナー個人に依頼が寄せられ受任することがあると思います。しかし、当事務所ではすべてのクライアントは事務所全体のクライアントと考えています。 ——すべてのクライアントを事務所全体のクライアントとすることでどのようなメリットがあるのでしょうか? 泉 パートナー個人が依頼を受けて配転すると、組織としてはどうしても縦割りのプラクティス制になってしまいます。クライアントからの依頼は必ずしも特定の分野に限定されるものではないため、縦割りだと依頼を受けたパートナーが所属するプラクティスグループでは対応できないことがあるかもしれません。その場合は、別のプラクティスグループの弁護士に協力を仰ぐことになると思いますが、縦割りで普段からコミュニケーションが取れていないとスムーズに相談することができず、そうなると事務所としてのベストパフォーマンスを発揮できないことになります。 一方、フラットな組織であれば案件ごとに事務所全体のリソースをスムーズに使うことができ、迅速に最適なチームを組成できます。案件ごとにスピーディーにベストのチームを組むことができればクライアントの利益にも直結すると考えています。 田子 縦割りのプラクティスグループがあると、若手の弁護士は基本的には当該グループのパートナーとしか仕事をしません。それでは経験する案件の種類も偏ってしまいます。すべてのクライアントを事務所全体のクライアントとすることで、若手のうちはいろいろな弁護士とチームを組み、いろいろなクライアントの依頼を受けて知見が深まるので、弁護士としての成長にもつながると思います。 事務所によってクライアントや仕事の進め方が違うからこそ、自分に合った事務所を見つけてほしい ——今後のビジョンを教えてください。 泉 事務所の理念に基づき、クライアントと長期的な信頼関係を築いていきたいです。クライアントも複数の法律事務所と付き合うケースがありますが、当事務所は長期的に付き合っているからこそ「まずは岩田合同法律事務所に相談してみよう」とファーストコールを受けられます。事務所の理念を継続していくことで、常にファーストコールを受けられる事務所でありたいです。 田子 案件はどんどん複雑化し、専門性も増しています。依頼の数や種類も増加しているので弁護士を増員する必要性を感じているところです。今まで以上に組織力を強化し、より多くのクライアントの力になれる法律事務所でいたいと思っています。 ——課題を挙げるならどのようなことでしょうか? 泉 ダイバーシティは重視していますが、女性や外国籍の弁護士はまだまだ少ないです。また、案件の増加に伴って弁護士の業務をサポートするパラリーガルも増員する必要があります。組織力と共に多様性もより一層高めていくことがこれからの課題です。 田子 人数が増えると、所内のコミュニケーションが取りづらくなる、というデメリットが生じるかもしれません。最近はリモートワークもあるのでコミュニケーションを図る機会も減っているように感じます。人数を増やしながらコミュニケーションの機会も増やし、これまでと変わらず風通しの良い組織をつくっていくことが課題ですね。 ——事務所内のコミュニケーションを活発にするために取り組んでいることがあれば教えてください。 田子 若手の弁護士には先輩弁護士がチューターやメンターとして割り当てられ、業務の相談や稼働状況の管理を行っています。そのほか、業務外では、定期的に所内懇親会(ハッピーアワー)やボウリング大会などの交流イベントも開催しています。 泉 ほかにも、各弁護士の趣味や休日の過ごし方などを記載したプロフィールシートを事務所のイントラに載せたり、毎月行っている全弁護士が参加する事務所会議では、業務の連絡・共有のほか、持ち回りで自分自身のプライベートや興味のあることを話す「1分談話」の時間を設けています。いろいろな方面からアプローチしてコミュニケーションを促しているのも当事務所の特徴です。 ——最後に、転職希望者へのメッセージをください。 泉 私は中途で入所していますが、当事務所はクライアントの質が圧倒的に高く、長い歴史の中でじっくり関係性を築いてきたことがすぐにわかりました。それでいて、クライアントとの窓口や依頼に対する基本方針の策定は若手が主体的に行います。事務所によってクライアントや仕事の進め方は全然違うので、転職で自分に合う事務所を見つけてほしいと思います。 田子 ゆくゆくは単なる法的アドバイスに止まらず、経営コンサルタントの業務まで内包し、クライアントの成長戦略などに対しても適切に対応できる事務所にしたいと考えています。弁護士も自己研鑽を続けなければなりませんが、その分やりがいは大きいはずです。 ——『岩田合同法律事務所』が求めている人物像を教えてください。 田子 最近は時代の流れが速く、案件も多いです。だからこそ好奇心をもち、新しいことに積極的にチャレンジできる方に加わってほしいですね。 泉 冒頭で田子弁護士が述べた「当事務所の理念」に共感いただける方にお越しいただければと思います。その上で、日々刻々と変化する現代社会に対応すべく、ダイバーシティの面からもさまざまなバックグラウンドや専門性を有している弁護士の方と一緒に働くことができればと思っています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
全員参加でVisionとPrinciplesをリニューアル ——VisionとPrinciplesをリニューアルすることになった当時の状況について教えていただけますか。 北田弁護士: ZeLoは当時弁護士5年目だった小笠原匡隆弁護士と角田望弁護士が2017年に創業した事務所です。私が参画した2018年の時点では、事務所の運営経験のない弁護士歴10年未満の弁護士のみで運営しており、事務所運営は日々手探りの状態でした。こうした事情もあって、ZeLoでは創業当初からメンバー全員の意見を可能な限り集約した上で、事務所の進むべき方向を決めていこうという意識は強かったです。また創業者の2人は、常々「誰」が言ったかではなく「何」を言ったかを重視する組織にしたいと話していましたので、年次を問わず、誰でも意見を言いやすい組織カルチャーが根付いたのではないかと思います。 VisionとPrinciplesのリニューアルを考え始めた2021年には、スタッフを含めると50名ほどの規模になり、弁護士や弁理士も30名程度となっていました。そのバックグラウンドも、国内外の大手・中堅法律事務所出身者、検察官出身者、インハウス出身者、新卒弁護士等、多様化も進んでいましたので、メンバーの多様な経験や視点を取り入れながら、いまいちどZeLoのVisionとPrinciplesをアップデートしていこうという機運が高まってリニューアルの準備を始めることになりましたね。 松田弁護士: 当時私は新卒で入所して2年目の時期で、経営企画部門の一員として、Visionの議論を進めていくための準備や会議の調整などを担当していました。2021年から取り組みをスタートして、最終決定までには1年ほど掛かったと思います。 北田弁護士: 法律事務所はどうあるべきか、どのようなサービスをクライアントに提供すべきか、という議論に対しては本当に様々な意見が出ました。特に若手のメンバーは、固定観念にとらわれない斬新な提案や、新しい角度からの意見も出してくれて、私としても学びの多い時間でした。 Vision リーガルサービスを変革し、 法の創造に寄与し、 あらゆる経済活動の法務基盤となる Principles(行動原理) Beyond Satisfaction 満足を超え、感動を与える仕事をする Challenge and Invest for the Future 常に挑戦し、未来に投資し続ける One Team 互いに尊重し、一丸となってビジョンを実現する Frank and Transparent 率直で透明であれ ——Visionには、創業時の理念に「法の創造に寄与」というインパクトの強い言葉が追加されました。 北田弁護士: ZeLoのサービスの特徴のひとつに、顧客層にスタートアップ企業が多いことが挙げられます。スタートアップ企業の方々と多く仕事をしていると、まだ世の中にない新しいビジネスモデルやアイデアに出会う機会が多くあります。既存の法律や制度の枠内で実施できるものもありますが、時には既存の法律や制度では解決できない、又は新しいビジネスが想定されていないような場合があり、様々な形で規制の壁にぶつかることがあります。 法律家の仕事というと既存の法律や制度をどのように守っていくかばかりを業務としているイメージが強いかもしれませんが、社会に必要とされるものなのであれば、新しい法・ルールを創り変えていくというところにもより積極的にアプローチできる存在でありたいという思いを込めています。 ——「率直で透明」というPrinciplesは、普段の業務のなかでどのように意識されていますか。 北田弁護士: ZeLoが創業以来大切にしていることとして、「情報の透明性」というものがあります。法律事務所の場合、例えば事務所の売上等についても全所員に公開されないようなケースがあると思いますが、ZeLoでは弁護士らだけではなくスタッフも含めた全員に毎月の収支を公表しています。また、所内での会議体の議事録についても、守秘性の高い人事情報等を除けば、売上構成や所内の会議での議論などは、できる限りメンバー誰もが閲覧できるようにしています。 松田弁護士: 普段業務で使っているツールも、ZeLoのカルチャーの醸成に大きく貢献しているように思います。チャットツールであるSlackをはじめ、より透明性のあるチームづくりがしやすいものを選んでいます。 事務所自体が「スタートアップ組織」だからこそできるサービス提供が強み –—事務所の強みについて教えてください。 北田弁護士: 専門性を持つメンバーが多数揃っており、また所内に司法書士・弁理士、社労士等の有資格者も在籍しているため、ワンストップでクライアントにサービス提供できることは強みの1つであるかと思います。ZeLoは弁護士2名で立ち上げた事務所ではありましたが、様々な案件に対応していくなかで、クライアントの幅広いニーズに適時にサポートがするためには、弁護士だけでは不十分だと感じたところがきっかけのひとつですね。 また、ZeLoは、法律事務所としては珍しいと思いますが、法律事務所の創業と同時に、AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」などを開発・提供している株式会社LegalForce(現:株式会社LegalOn Technologies)も創業しています。 創業当初は、法律事務所と会社を一緒に運営をしていたような状況だったのですが、自分たちで会社の運営に関わったり、長い期間近くで見続けたということが、今でも大きな経験となっています。この経験が、ZeLoにスタートアップマインドを強く根付かせたところもありますし、仕事の面においても、会社のステージごとにぶつかる課題感について、高い当事者意識をもってクライアントに寄り添うことができる理由になっているのではないかと思います。実際に相談を受ける中で、「うちでも同じようなことがあったなぁ」と思ったことは一度や二度ではありません。 その他、強い知的好奇心を持つメンバーが多く所属しており、既存の領域に限らず、新しいビジネス領域・技術領域を研究していこうという事務所内の熱量は非常に高い組織であると思っています。一から勉強し、試行錯誤をしながら取り組み、事務所のサービスとして創りあげていこうという気概で日々様々な取り組みをしています。その取り組みの一つとして、領域ごとにプラクティスグループを組成し、研究や議論を重ねて知見を深めるほか、記事やセミナーによる発信等にも力を入れています。 松田弁護士: ZeLoのメンバーは日々スタートアップを中心にさまざまな企業法務の案件に対応しているため、各人が専門領域を持ちつつも、多くの弁護士は比較的ジェネラリスト志向が強いともいえます。ジェネラリストだからこそ、お客さまの問題を発見しやすい側面はあると思います。医者に例えるならば、総合医のような立ち位置です。専門医だけでは適切に病気を発見することができません。企業の課題を適切に発見できる弁護士が所内で育成できているという点は、強みのひとつだと考えています。 ——現在、事務所としてはどのような組織課題を抱えられていますか。 北田弁護士: 出向中や留学中のメンバーも含めると、現在、弁護士・弁理士・司法書士・社労士が合計48名在籍しています。今後の事務所の拡大を見据えた際に、組織としてどのような体制を作っていくべきかは考えるべき重要な組織課題と認識しています。ZeLoでは、現状パートナー制度を採用しておらず、可能な限り全体からの意見集約をしながら意思決定を行うことを追求していますが、今後、組織が拡大していく中で、現在と全く同じ運営方法が難しくなることも十分考えられますので、どのように組織を変えていくか考えていかなければいけません。 また、より多くの分野の専門家をもっと増やしていかなければならないとも思っています。新人弁護士の採用だけでなく、経験豊富で何らかの専門分野に強みがある弁護士にこれから更に加わっていただけると、さらに事務所としての幅と厚みが増していくことになると考えています。 自分の欲求に対して素直になり、選んだ道を正解にしていく ——ZeLoで活躍できるのはどのような人材だとお考えですか。 松田弁護士: ZeLoはチャンスに溢れた事務所です。ありがたいことに、日々お客さまからたくさんのご相談をいただいているので、チャンスが来たときに積極的に手を挙げられる人であれば、若手であってもいくらでも活躍できる環境にあります。また、法律の知見の有無に限らず、物事への興味関心が強い方や多様なバックグラウンドをお持ちの方にはぜひZeLoに来ていただきたいですね。 北田弁護士: ZeLoとしては多様な人材にチームに加わってほしいと考えています。一口に弁護士といっても、弁護士に求められる能力は様々です。単に試験での成績が良いというだけではなく、忍耐力が強くハードな交渉でも粘り強く対応できる人、営業能力が高い人、クライアントに寄り添い、クライアントのために尽くせる人等、様々な資質やメンタリティが弁護士として活躍する基礎になると思っています。特にZeLoの新卒採用ではこうした要素も重視して見ています。 他方で中途採用の場合には、すでにそれぞれ自らの強みを持ち合わせていることが多いので、その強みをZeLoでどのように生かしていきたいと考えているのか、年次によっては先頭に立って強みの分野を引っ張っていこうとする気概を持ち合わせているか等も大切にしているポイントになります。 –—最後に、転職を検討されている読者のみなさんへメッセージをお願いします。 北田弁護士: 私がZeLoに参画したのは、大学時代の先輩でZeLoの創業者の一人でもある角田から誘われたことがきっかけでした。ただ、以前所属していた事務所での仕事も充実していましたし、人間的にも尊敬できる先輩や同僚たちに囲まれていたこともあり、正直言うと、当時自分からあえて辞める理由はありませんでした。ZeLoに移籍するかどうかは、人生で一番悩んだかもしれません。 結局、理屈で考えてもわからなかったので、最後は、自分の知的好奇心や欲求に素直になって直感を信じ、ZeLoへの参画を決意しました。あの当時のZeLoの状況を振り返るとよく移籍を決めたなと我ながら思いますが、根底には新しいチャレンジをしてみたいという強い気持ちがあったんだろうなと思います。転職は、自分がやりたいと思ったことに素直になったうえで、自身の選択を正解にする行動をしていくということに尽きると思います。 松田弁護士: スタートアップでチャレンジしている方々の姿を見ていると、本当に自分のやりたいことは何かを突き詰めることがよいのだと感じています。「これをやる前に、これをやっておいたほうが……」などとリストアップしていては、永遠にやりたいことはできません。常に人は老化していくので、今の時間を大事にして、今自分が思う最良の選択をしていくことが大切だと思っています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
離婚事件からスタート。第二創業期からはヘルス&ビューティーの”海”を開拓 ——まずは事務所設立の経緯を教えてください。 中里弁護士: 留学後に弁護士業界がガラッと変わってしまったように感じたことが大きなきっかけになりました。留学したのは2006年-2007年で、約12年ほど弁護士として働いた後でした。帰国すると業界には新しい世代の人たち一斉に入ってきており、また、多重債務者の問題が過払金返還請求の問題に転換するタイミングだったこともあり、自分のなかでは世界がまったく変わってしまったように思えたんです。司法試験の合格者も増えるトレンドにあり、こうした変化のなか今後弁護士として生き残っていくためには、業界で自分のポジションを確立しなければならないという危機感を覚え、開業を決意。コンサルタントの勧めもあって、離婚を中心に扱う事務所として丸の内ソレイユを立ち上げました。 ——設立以降の事務所の変遷について伺えますか。 中里弁護士: 創業以降は、離婚事件のリーディング事務所としての自負をもって運営してきました。そして、2015年に法人化し第二創業期を迎えた際、企業法務を離婚と同じくらいの太い柱とする方針を決定。企業法務のなかでもヘルス&ビューティーの領域に注目し、広告表現のチェックなどからスタートしました。当時は所属弁護士が15人ほどの規模でしたね。2019年に10周年を迎えた際には、私自身の引退を見据え「次の10年は”ポスト中里”の10年」と宣言しています。今後は、渉外分野などにも力を入れて総合的な法律事務所を目指していきたいと考えています。 ——ヘルス&ビューティの領域では、具体的にどのような案件を扱っているのでしょうか。 阿部弁護士: 当初は広告表現の審査を行っていましたが、近年では新規事業に対して法的観点からコンサルティングをするような案件も増えてきています。たとえば、大手企業が新規事業としてEC事業を展開する際には、特商法をはじめとするEC関連の法律や利用規約・プライバシーポリシーに関する相談に対応します。 中里弁護士: 2015年にスタートしたときには、この領域はブルーオーシャンだと思っていたのですが、そもそも企業側は弁護士がこうしたサービスを提供するという認識を持っていないので、認知度を高めるのには苦労しましたね。展示会に出展したり、セミナーを開催したりなどして、徐々に顧問先を獲得していきました。現在、約100社の顧問先のうち、80社程度がヘルス&ビューティーの領域です。私としては、海がなかったところにまず池を作り、それを湖へ、そして海にしてきたという感覚です。 「離婚+α」で自分のバックグラウンドをいかせる自由な環境 ——事務所の特徴や環境について教えてください。 中里弁護士: 所属弁護士には昔から自分の好きなことをやりなさいと伝えてきました。自由な事務所で、風通しがよいですね。また、「離婚+α」をキーワードとしています。所属弁護士に対しては、事務所の強みである離婚や企業法務以外に自分が強みとする領域をもうひとつ作ってほしいという話をしています。たとえば阿部弁護士は、ヘルス&ビューティーを中心に企業法務のリーダーを務めていますが、不動産の領域も担当しています。また、早瀬弁護士は、離婚を含めた家事事件分野のリーダーですが、労働法にも強みがあります。 また、当所には離婚チームと企業法務チームのほかに、個人の相続に加え事業承継や破産・倒産関係を扱う相続チームもあります。このように当所では緩やかなチーム制を採用しており、1人が複数のチームに属することもあります。各人の強みをいかしつつも他のメンバーの強みから学ぶことで、事務所全体で取り扱える領域の幅を広げつつ、深掘りもできる体制を整えています。 阿部弁護士: 中途で入所した弁護士がそれぞれのバックグラウンドをいかしやすい環境であるともいえます。事業承継や破産・倒産を扱う相続チームでは、前職で債務整理案件をメインに扱っていた弁護士が活躍しています。ヘルス&ビューティーも、労務や不動産などさまざまな分野が絡み合う領域なので、これまでのキャリアをいかして他の弁護士が持っていないノウハウを提供したり、逆に自分が持っていない知識を得たりといったよい形ができています。 早瀬弁護士: 大手事務所ではパートナーポジションのポストが決まっているためにメンバー間での過剰な競争心が生じるという話もありますが、当所ではそうした空気感はまったくなく、メンバー皆で未来を見据えた議論をできる関係性が構築できており、非常によい雰囲気で仕事ができています。 ——“ポスト中里弁護士”というお話もありましたが、事務所の今後のビジョンについて、阿部弁護士、早瀬弁護士のご見解を伺えますか。 阿部弁護士: 当所の売上としては現状、やはり離婚事件の割合が大半を占めているので、企業法務分野のリーダーとして、企業法務を離婚と並ぶ事務所の柱にしていきたいと考えています。具体的には、顧問先を増やしていくという動きがあります。この先数年で100社から150社へ増やしていく目標を立てています。 早瀬弁護士: これまでは中里弁護士のカリスマ性や人間的な魅力に頼ってきた部分も大きかったように思います。“ポスト中里”の取り組みで中里弁護士の関与を少なくしていった際に、これまで同様、むしろそれ以上の形で事務所を運営していくためには何が必要なのかという点は、現在当所内でも議論をしているところです。 チームでのコミュニケーション能力と、新しいことにチャレンジする精神はマスト ——貴事務所で活躍できるのはどのような人材だとお考えですか。 早瀬弁護士: 弁護士にはコミュニケーション能力が必要だと考えています。特に当所では「離婚+α」が基本方針なので、「◯◯先生のバックラウンドなら、こういう案件はどうですか」と聞かれることも多くあります。案件は2〜3人のチーム制で担当するようにしていることもあり、チーム内でのコミュニケーションを円滑にできる方のほうが適しているように思います。 中里弁護士: 特に離婚事件の場合、依頼者が他の事務所へあたった後に当所にご相談されるケースも多く、難しい案件に対応しなければならないこともあるため、複数人体制が有効だと考えています。企業法務についても、1人で対応するより複数体制のほうが、知恵や経験値の広さと深さが期待できるので、企業側も安心です。当所においては、スタンドプレイをして結果を上げていくことよりも、きちんとチームを組んで仕事を進めていけることのほうが重要ですね。 また、新しいことにチャレンジする精神はマストです。当所は設立以来、ずっと新しいことにチャレンジしてきた事務所であるといえます。最近では、Salesforceを導入してデータ分析を行い、その都度行うべき施策を考えて、実践するというサイクルを回しています。こうした動きにも対応できるチャレンジ精神が大切だと思っています。 ——常に新しいことにチャレンジされてきたご経験から、中里先生は転職に対してどのようなお考えをお持ちですか。 中里弁護士: 私自身は変化をいとわず自然なものとして受け止めてきました。物事には必ず変化が必要なときがあります。弁護士も、転職したり、事務所を変えたりしたいと思うことは当たり前。それは、自分のなかの変化に気づいて、より良い環境で働きたいという気持ちがあるからです。 だからこそ、私は離婚に加えて企業法務の分野を立ち上げることにしました。所属メンバーにも自身が変化したいと思ったときには事務所内で新しいことにチャレンジしてもらいたいですし、事務所としてはメンバーの変化も受け入れられるような自由な雰囲気を大事にしているわけです。当所では、自分で新しいプラクティスを立ち上げたいという方も歓迎しています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
クライアントは本音を話すとは限らない。勝訴的和解で得た戒め ――佐藤先生は2016年に独立して『フォーカスクライド法律事務所』を開設し、2018年に『弁護士法人フォーカスクライド』へと改称しました。まずは独立までの経緯を教えてください。 弁護士になった当初は「子どもの権利」に興味があり、少年事件等も担当させていただきました。 ただ、最初から1つの分野に絞って”スペシャリスト”を目指すよりも、様々な分野を経験した上で最終的に得意分野を持った方が弁護士としては強いと考えていたので、まずは”ジェネラリスト”を目指すべく、大小様々な案件を最も多く経験できそうな事務所を選びました。自分なりに色々と調査した結果、大阪四大事務所が最適だろうと考え、またその中で最も相性が良いと感じた『弁護士法人 淀屋橋・山上合同』に入所しました。 仕事は面白く、人間関係も良好で、ずっとここで働きたいと思っていたのですが、入所2~3年目から自分のクライアントができると、顧問先の若手社長たちと話す機会が急激に増えていきました。 若手社長とは「組織」について会話を交わすことが多く、私も自分が考える理想の組織像について熱意をもって話していたら「それだけの情熱があるなら自分の事務所をつくった方が良い」と言われ、徐々に独立を考え始めました。 そして、4年半在籍し、2016年に『フォーカスクライド法律事務所』を開設した、という流れです。 ――「フォーカスクライド」と屋号にしたストーリーについて教えてください。 前職の『弁護士法人 淀屋橋・山上合同』で、パートナー弁護士から一任された案件で勝訴的和解を勝ち取り、意気揚々とクライアントに報告したことがありました。 しかし、最上の結果だったにも関わらずクライアントの顔がどこか曇っていたのです。その表情が気になり、案件を任せてくれたパートナー弁護士に最終報告をした際、クライアントの表情についても話しました。すると、パートナー弁護士が次のような趣旨のことを話してくださいました。 「結果はよくやったと思う。しかし、この結果で依頼者の表情が曇っていたのなら、この結果は本当にクライアントが望んだものではなかったのではないか。君が『この道が正しい』と思い込み、一人で突っ走って勝ち取った結果ではないのか。クライアントを置いてきぼりにしていなかったか、今後のためにも、今一度振り返ってみてください。」と。 ——勝ち取ることが全てではない。非常にインパクトのあるメッセージです。 「クライアントはすべてを話すとは限らない。また、時にはクライアント自身が本音に気付いていないこともある。だからこそ、弁護士が、意識的にクライアントの本音やニーズに焦点を当て続けなければならない。そうしないと心から満足する結果を引き出せないんだ。」 この言葉に私は衝撃を受けました。良かれと思い最上の結果を勝ち取ったのに、クライアントにとっては満足のいく内容ではなかったのですから。 他にも、例えば、離婚案件での「親権をどうするか」といったセンシティブな問題ではクライアントの心は何度も揺れます。弁護士からすれば「合理的に考えてこの決断しかあり得ない」と思っていても、人生は合理性だけで簡単に決められるものではなく、またクライアントの人生は離婚後もずっと続いていくからです。 その揺れる心に寄り添わなければ、弁護士の単なる自己満足のリーガルサービスで終わってしまう。今後も常にクライアントの本音に焦点を当てながら仕事を完遂することを忘れないよう、この事務所名をつけました。 人事労務戦略に携わって企業の成長を助け、家庭と子どもたちも救う ――弁護士法人としてはどのような分野に強みを持っているのでしょうか。 私個人としては、人事労務とM&Aの分野に強みを持っています。人事労務の分野ということもあり、業界にあまり偏りはなく、様々な業界の顧問先があります(相対的に多い業界としては、医療・美容クリニックの業界と不動産の業界です)。企業の売上をつくる要素は様々ですが、全ての基盤に「人」があると考えています。人事労務戦略が企業の成長基盤となるため、特にこの分野に注力し、企業の成長をサポートできるよう日々尽力しています。 ――組織を構成するのは人だからこそ、人事労務戦略に携わり企業の成長に伴走する、ということですね。企業間の紹介(リファラル)でどんどん顧客が広がっていく気がします。 顧問弁護士として企業の代表に紹介されると、ほとんどの方が「『何かあれば』私の会社にも支援をお願いします」と言います。でも、何かあった後では遅いのです。できることも限られます。これは「弁護士は守りの役割」というイメージが根強く残っているからでしょう。 また、法律が「してはいけないこと」ばかりを規定しているように捉えられているからです。しかし、裏を返せば法律は「しても良いこと」を明確にし、その範囲内で企業の自由を保証しているとも考えられます。つまり、法律に精通していれば「攻めのビジネススキーム」を構築することもできるのです。 ――ビジネススキームまで考えるとなると、もはや経営コンサルタントの領域のように感じます。 顧問弁護士よりコンサルタントを雇おうとする経営者がいることが不思議でしたが、コンサルタントは経営者から「利益を生む人」と見なされているのです。成長の役に立つ存在だからこそ、成長期の企業からは、利益を生まない弁護士よりコンサルタントが優先される。 でも、弁護士も一緒に戦略・戦術を考えられると分かってもらえれば、攻めだけではなく守りもできる弁護士が選ばれるようになるはずです。そのためにも、私たちは事業を理解した上でフルオーダーメイドの成長戦略を練っています。 ――しかし、企業の規模や成長速度によって経営者が弁護士やコンサルタントに求めるものは変わるはずです。そこまで対応するのは難しくありませんか? 成長戦略を実践するにあたって、ブランディングとマーケティングの戦略は重要になってくりことがあります。この問題を解決するため、さまざまな事業を成功させてきたビジネスイノベーター2名にジョインしてもらいました。 また、「創成期→成長期→再生期→承継期」という企業のライフサイクルにおいて、当法人には各サイクルに関するリーガルサービスを得意とする弁護士が揃っています。 これは当法人のミッションですが、「企業のオールライフサイクルすべてにおいて真のパートナーであり続ける」ことが可能な体制を整えています。 ――企業の成長は弁護士にとっても有益なものです。ただ、ここまで力を注いで企業を助けようとするのはなぜですか? そもそも私が弁護士を目指したきっかけは、中学生の頃に不良少年の先輩が少年院から出所した翌日、「少年院は何もしなくても3食食べられるし、布団もあるし、話し相手もいるから、明日また犯罪を犯して、少年院に戻る」というようなセリフを聞き、衝撃を受けたことでした。そして、同時に「少年院は何をしているんだろう。出所した後の環境が変わらなければ、何も変わらないのに…」と疑問に思っていました。 その後、紆余曲折を経て大学の法学部に進学し、そこで少年法を学んだ際、まさに少年院から出所した後のフォローを献身的に行っている弁護士の先生のお話を聞くことがありました。その際に、中学生の頃の疑問が再度よみがえり、興味を持ち始めた法律や弁護士の仕事と結びついたのです。そして、「すべての子どもたちが夢を追いかけられるスタートラインに立てるようにしたい。これを仕事にしたい。」と思うようになりました。 ――非常にインパクトのある原体験ですね。社会というコミュニティの最小単位である「家族」についても考えさせられます。 少年が非行に走るきっかけの多くは「家庭」や「親」だと思います。それも親からあたりまえの愛情を受けていない場合が圧倒的に多いように感じます。子どもを救うには家庭や親から変えるしかないのですが、親も被害者であることが多いように思います。「家庭」に隣接する社会として「職場」がありますが、親もこの「職場」という社会から良くも悪くも大きな影響を受けています。 例えば、過労やハラスメント被害のしわ寄せが各家庭、そして子どもへと及び、非行に走ってしまっていることを多々目にしました。 当初は、職場で被害を受けた従業員1人1人を助けることで、各家庭も良くなればと考えていましたが、弁護士人生の長さから逆算するとそれほど多くの家庭は救えそうにないということに気づきました。そこで、「職場」という社会自体を変える方法を考えるようになりました。その1つの方法として、企業の顧問弁護士になり、経営者と対等に話ができれば、経営者の意識を変えることができるかもしれない、そうすれば何百、何千世帯の家庭、そこで育つ子どもを救うことにも繋がるのではないかと思うようになりました。 そう思い、企業における人事・労務・法務の在り方、職場も経営者もwinwinとなる人事制度のつくり方等を学ぶようになりました。弁護士としての知見とコンサルタントとしての知見を融合させ、企業や経営者を助け、その結果、家庭環境も良くし、最終的に子どもたちを救う。これは、私の弁護士人生におけるミッションだと考えています。 「ワクワクできる法律事務所」を比べ、『弁護士法人フォーカスクライド』を選んでほしい ――現在事務所として抱えている課題があれば教えてください。 育成とマネジメントですね。弁護士は資格職なのでいつでも独立できます。さらに、弁護士として成長するほど独立の可能性は高まります。 当法人にいれば将来どんなことができるようになるのか、ビジョンをきちんと示し続けなければならないと感じています。また、アソシエイトにどのような教育を行えば最短で即戦力になれるのかは常に考えています。 ――事務所におけるキャリア形成は求職者にとっても大事なポイントです。 キャリア形成という点では事務局も同じです。事務局にもフォーカスクライドの意味は伝え、弁護士の顔ではなくクライアントを見て仕事をしてほしいと常々話していますが、クライアントを意識することでより大きなやりがいを求めるようになります。実際、司法書士や行政書士、人事コンサルを目指している人もいるほどです。 弁護士と事務局の教育と管理にもっと注力したいのですが、そこまで手が回りきっていないのが実情です。 キャリア採用として、経験のある弁護士の方に入社いただいて一緒に作り上げていきたいと考えています。 ――最後に、転職を考えている方にメッセージをください。 転職は人生において重要な決断です。ただ、これまで面接をしてきて感じたのは、「A事務所とB事務所ではどちらがリスクは少ないか」とリスクを比較して転職先を選ぶ方がとても多いように感じます。 しかし、そのようなリスクの比較で事務所選びを行うときっと後悔します。それよりも、「A事務所とB事務所で共に100%成功したと仮定し、どちらがよりワクワクできるか」とワクワクを比較するべきです。 転職後には必ず想定外のことが起こります。現在の未熟な自分が、将来の全てのリスクを想定することなんてできるはずがないからです。 それでも、ワクワクできる事務所を選んでいれば、想定外のことが起きても、ワクワクのためにプラスに変えることができます。「ワクワクする事務所」を比較して、当法人を選んでいただけるのであれば、とても嬉しく思いますし、そのような方と共に働きたいと強く思います。 弁護士ドットコムキャリアのキャリア相談(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
事務所を開設したのは自分の好きな人と働きたいから ——まずは牧野先生が『賢誠総合法律事務所』を開設した経緯を教えてください。 私は2006年に『弁護士法人 淀屋橋・山上合同』へ入所しました。入所当時から独立志向があり、その想いは早くから周囲にも伝えていました。 独立の動機は、自分の友人をはじめ、自分の好きな人と一緒に働きたいという、ある意味でわがままな思いにありました。『弁護士法人 淀屋橋・山上合同』の先生方やスタッフの皆さんも素晴らしい人たちばかりで、私はとても慕っていましたが、さすがに、私自身が私の友人を採用するとか、パートナーにするというような勝手なことをするわけにはいかないと思っていましたので。 そして、2010年に独立しました。『賢誠総合法律事務所』の売上のメインは企業法務ですが、これは『弁護士法人 淀屋橋・山上合同』で企業法務のノウハウを学ばせてもらったおかげです。 ——事務所名の「賢誠」という文字にはどのような想いが込められているのでしょうか? 弁護士ご依頼者が報酬を得られるのは法律知識を有しているからです。人間力やメンタルで弁護士が優れているというのは誤った驕りでしかありません。 だからこそ、弁護士は知識を蓄え続けなければならない。こうした考えを「賢」という文字で示し、その上で人として誠実であるのは当然の前提であるという考えから「誠」の文字を使いました。 ——行動指針の1番目には「虚飾を退け、ただただ法と法実務の知識経験を集積すること」と書かれていますが、これも「賢誠」に通ずるものです。 例えば、知識・経験の豊富な弁護士が見ればすぐに解決するような案件も、知識の乏しい弁護士が担当すると迷走するということは非常によくあります。 知識がないと、そもそも案件の方向性を間違うので、その弁護士がどれだけ時間をかけてもうまくいかない。知識がないから、苦境に立たされるのであり、知識があれば、そもそも苦境に立つ必要すらないということが多々あります。 要するに、知識を有することで依頼者だけでなく弁護士自身も幸せになれるのです。 ——事務所を開設したのは素敵な人と働きたいから、知識の集積を求めるのは依頼者だけでなく弁護士に幸せになってほしいから、ということですね。 はい。確かな知識を持ち、正々堂々と戦うクラシカルな弁護士でありたいですし、この想いに共感してくれた人たちが集まっている法律事務所だと思っています。 業界トップクラスのパートナーが入所。13年間退職者が1人も出ない ——『賢誠総合法律事務所』は京都No.1の規模の法律事務所に成長しています。事務所としての得意分野は何ですか? 京都事務所はM&Aとスタートアップ投資・支援です。特にM&Aについては『モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所』でパートナーとして活躍していた日本人弁護士2名とアソシエイト1名の計3名が当事務所に移籍してくれました。 世界的な法律事務所のパートナーが私たちの規模の事務所に移籍するのは非常に異例のことだと思いますが、この3名が当事務所のM&Aを主導しています。 事務所の得意分野は企業顧問で、当所全体では約300社の顧問弁護士を務め、そのうち私は140社程度を担当しています。 ——企業の顧問弁護士を務める上で心掛けていることはありますか? 各企業の事情に寄り添いながら法務部をサポートすることです。企業ごとに業界も規模も組織編制も違うので、画一的な対応では必ず不備がでてきます。一つひとつの企業に寄り添うことで弁護士や事務所への満足度は高まりますし、いまも毎月3社ほど顧問企業が増えています。 ——企業法務以外で力を入れている分野はありますか? 離婚・相続の分野では日本トップクラスになることを目指しています。 富裕層の離婚・相続では数十億円が動くのも珍しくないため、この分野でスタープレイヤーの弁護士を育てなければならないと感じていますし、同時に私自身がスタープレイヤーにならなければと思っています。 ——事務所として急成長を遂げた今、課題はありますか? 急成長期にはどの企業や法律事務所も直面することかもしれませんが、事務所のエース人材に負荷がかかりすぎていることです。誰もが心身の健康を保ちながら働くためにも良好なワークライフバランスを保ちたいと考えています。 2010年の開設から13年間、健康面での特殊な事情がある場合やパートナーが独立したケースを除いては、弁護士も事務局も退職者がいません。引き続きスタッフが長く働き続けてもらう職場をつくっていきたいです。 医師のように弁護士も専門性を高めるべき ——今後のビジョンを教えてください。法律事務所としてのブランディングを含め、海外展開などは考えていますか? どんな領域においてもNo.1になると一気にブランドの価値が高まるので、「京都No.1の規模の法律事務所」という点は意識していました。 毎月顧問企業が増えているのもブランディングが成功している証だと思います。ただ、海外展開までは考えていません。海外の法律事務所にも信頼できる友人がいるので、国際的な案件ならその人たちと組めば良いですから。 いまは規模の拡大よりも所属弁護士の専門性を高めることに力を注ぎたいです。若い司法修習生と話すと、ほとんどの人が「民事も刑事もいろいろ経験したい」と言います。 ——弁護士としての総合力をつけることで、活躍できる可能性を広げたいという方々も多いと思います。 その気持ちはわかります。私自身、企業の顧問弁護士や社外取締役をはじめ、メジャーリーガーの代理人や刑事事件、少年少女の少年事件案件など、さまざまな分野を手掛けています。しかし、それが弁護士として正しい姿かというと、違うと断言できます。 医療業界を例にするとわかりやすいですが、自分に脳腫瘍ができた時、どんな医師に腫瘍の摘出手術をしてほしいですか? きっと、年間に100件200件と脳腫瘍の手術を行っている専門の医師に執刀してほしいと思うはずです。昨日は膝の関節の手術を、一昨日は泌尿器科の手術をしました、という医師に自分の脳腫瘍の手術は任せられないでしょう。 法律事務所のクライアントも当然同じです。M&Aでも相続でも、それを専門に取り組んできた弁護士に担当してほしい。だからこそ、弁護士一人ひとりが専門性を高め、自分の強みをつくらなければならない。専門家の育成が今後の目標です。 ——最後に、転職を検討されている読者へのメッセージをお願いします。 すでに転職しようか迷っているのなら真剣に検討するべきでしょう。他の職業と比べるとある側面においては弁護士は資格で守られており、健全に働き、休み、きちんと収入を得ることができる仕事です。そうであるのに、今の給与や働き方が不健全であるなら、その事務所とご自身が合っていないのかもしれません。 また、一昔前のように一つの事務所で経験を積み、ゆくゆくは独立する、という道だけではなく、さまざまなキャリアを描ける時代です。従来の考え方に固執せず、自分らしく働ける場所を前向きに探してほしいと思います。そして、その場所が当事務所であればこんなに嬉しいことはありません。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
「完璧な」仕事をするために、徹底的に議論する ——まず牛島総合法律事務所の開設について教えてください。 猿倉 代表の牛島は司法修習の29期で、検事を経て『アンダーソン・毛利・ラビノウィッツ法律事務所』へ入所しました。同事務所に6年在籍した後の1985年に牛島総合法律事務所を開設してからも、国内及び海外の企業を依頼者とする案件を幅広く担当しています。牛島総合法律事務所には現在、外国人弁護士も含めて66名の弁護士が在籍しており、在籍数では国内トップ20レベルです。 ——事務所の得意分野は何ですか? 猿倉 国内及び海外の企業法務が中心となります。企業間紛争、会社法・コーポレートガバナンス、M&A、不動産、環境法、建築、危機管理・不祥事対応、ファイナンス、IT・システム、情報管理、メディア、労働法、独占禁止法などの各分野にスペシャリストの弁護士が揃っています。 また、いわゆる一般民事事件は基本的に扱っておりませんが、世界各国における個人の国際離婚や国際相続も扱っています。なお、国際離婚や国際相続の案件において世界中に資産がある場合には、各国の法律事務所と連携して対応する必要があります。 ——グローバルなネットワークについても教えてください。 猿倉 海外展開する企業の海外拠点で不祥事が起こった場合の不正調査や、海外展開する企業において各ビジネス拠点での法規制を調査し対応するためには、海外の法律事務所との連携が必要不可欠となります。 当事務所はMultilaw、Employment Law Alliance (ELA)、Lawyers Associated Worldwide (LAW)といった世界的に著名なグローバルネットワークの日本唯一のメンバーであり、各ネットワークを駆使して国際的な案件に対応しています。 必要に応じて直ぐに海外の法律事務所に連絡をして対応することが可能な体制があり、各国の弁護士との間で日頃からそのような関係を築いています。 ——事務所のHPでは「完璧な仕事をする」という言葉が大きく掲げられています。 猿倉 当事務所はいわゆる四大事務所や老舗事務所に比べると後発です。肩を並べるには、常に熱意をもって完璧かつ圧倒的なサービスと結果を提供し、クライアントの依頼を勝ち得ることが必要です。 「どうしても牛島総合法律事務所に頼みたい」という信頼を寄せられる事務所であり続けるしかないと考えています。完璧な仕事をして圧倒的No.1であることが私たちの最も基本的な理念となります。 ——理念実現のために具体的に行っていることがあれば教えてください。 猿倉 まず、当事務所では、どのチームにおいても入念なリサーチとその結果に基づく議論を徹底的に行うというのが大きな特徴です。大型案件では、ときには10名程度の弁護士でチームを組み、アイデアを出し合うこともあります。 また必要に応じて、立法に携わった専門家やその分野の権威である大学の博士などの第一人者(会社法や民法等の法律学者のほか、土壌汚染等の専門的・技術的な研究者など)からも話を伺い、そこでも議論をします。 ——他の事務所との違いとして、特徴的なカルチャーに感じました。 猿倉 他の事務所に所属する同期弁護士と話をして一番感じるのは、当事務所ほど徹底的にディスカッションを行い突き詰めて考える法律事務所は他にはほとんどないということです。 当事務所では、形式的にも実質的にも分野ごとのセクション制は採用していません。そのため案件ごとにチームを組成するのですが、いろいろな弁護士と一緒に仕事をする機会があるので、他の弁護士の経験やノウハウを吸収する機会が多いというのも特徴だと思います。 パートナーにもなると、一緒に仕事をしたことのない弁護士の方がむしろ少ないというような状況にもなります。 殿井 話し合う場ではパートナーやアソシエイトといった立場の違いは関係なく、各弁護士の発言が合理的かどうか、説得的かどうかということが重視され評価されます。当然ながら、一年目であっても、誰もが自由に意見を発信できますし、若手も発信しやすい環境だと思います。 猿倉 ライブラリーの蔵書や判例の検索データベースも充実させています。判例の検索データベースを提供している業者は複数ありますが、各データベースはそれぞれすべての判例を網羅しているわけではないため、一社だけ導入しても漏れがでてきてしまいます。 裁判実務に携わるにもかかわらず、当事務所が把握していないデータベース上の判例が存在することは許されないことです。そのため、こういったシステムにはコストを惜しまず投資しているのも当事務所の特徴です。 さらなる飛躍を目指して環境を整える。若手に期待 ——事務所開設から38年経ち、すでに大きな成功を収めています。今後についてはどのようなビジョンを描いているのでしょうか? 猿倉 私は、若手がどんどん下から突き上げていくような事務所になってくれればと思っています。そのためには、執務環境の整備、若手の育成、専門性の習得の3つが重要だと考えています。 まず執務環境については、他の法律事務所とは異なり、1年目でも各弁護士に半個室(ブース)が与えられます。後で説明するメンター(相談役)の弁護士の隣の半個室で、独立した環境があり、またプライベートな相談もしやすい雰囲気だと思います。 2年目からはメンターから離れた部屋に半個室が与えられ、一定の年次のシニア・アソシエイトになれば扉付きの完全個室に移ります。多くの法律事務所では、パートナーになってからはじめて扉付きの個室が与えられるのと当事務所は異なり、独立した環境を確保することを重視しています。 ——育成環境について具体的に教えてください。 猿倉 まず入所後には1カ月弱のオリエンテーションを行い、その間もいわゆるOJTで実際の案件に入って弁護士としての仕事を開始することになります。メンター制度を設けており、公私ともに相談することができるパートナー弁護士等がメンター・サブメンターとしてそれぞれ決められ、いつでも相談できる体制を設けています。 当然、年次の近い先輩弁護士に相談することも多く、ふらっと他の弁護士のブースを訪れては業務やプライベートの話をしたりしています。 また、全てのアソシエイト弁護士の担当案件と稼働時間を、いつでもデータとして確認できるようになっているほか、毎週パートナー弁護士間でその状況を共有して、案件や稼働時間の調整を行っています。ほかにも、各弁護士が興味を持っている分野や業務を共有し、適当な案件が来た際には担当してもらうように調整もしています。 —-これから経験を積もうと考える弁護士にとっては手厚いサポート環境が整っているように感じます。 猿倉 若手の弁護士にはぜひ専門性を磨いてほしいと考えています。一通りの業務ができるということも重要ですが、年次を重ねていくうえで弁護士としての専門性をどのように磨いていくのか、どのように専門分野を選択していくのかについて悩んでいる弁護士は多いかと思います。 企業法務における業務分野は専門家・細分化していますが、先ほどご説明したように、当事務所では各分野ごとのセクション制は採用していません。そのため、はじめから専門分野が決まるというわけではありません。はじめはいろいろな案件に携わることになりますし、いろいろな弁護士と一緒に仕事をすることになります。 その過程で少しずつ自分の軸が定まり、入所から4~5年後くらいになると、だいたい2~3本くらいの大きな軸ができ上がります。さまざまな案件・経験を通して理想のキャリアを歩んでほしいと考えています。 —-国際案件についても積極的な印象です。 猿倉 当事務所ではグローバルネットワークを活かした国際的な案件も数多く手がけており、海外のロースクールなどに留学することを推奨しています。そのような経験を通じて、多様な経験を積むことで自らのキャリアに役立てほしいと考えています。また、官庁等へ何年間か出向するという選択肢もあり、実際に出向している弁護士は数多くいます。 ただどちらも強制しているわけではありませんので、海外留学と出向のどちらも経験している弁護士もいれば、どちらも経験していない弁護士もいます。 ——法律事務所でも働き方を改善しようとする動きはあります。牛島総合法律事務所ではいかがですか? 猿倉 たとえば、当事務所では、お子様を出産されるために産休を取得し出産後に復帰して時短勤務で活躍している弁護士も大勢います。多様性の観点からも、弁護士一人ひとりが働きやすい事務所にしたいと思っています。 また、今後所属する弁護士やスタッフの数もさらに増えていくことになると思いますが、そうであっても、理念を共有できるメンバーで独立した弁護士一人一人が一体感をもって案件に取り組む事務所でありたいと考えています。 一般的な企業法務の法律事務所のイメージとは異なるフラットで合理的な組織 ——殿井先生は2021年入所だと伺いました。入所までの経緯を教えてください。 殿井 父が検察官で、もともとは検事志望でした。実際に検察修習をし、検事もとても魅力的な仕事だと感じましたが、結局、色々なことを考え、弁護士志望に転じました。 最初に入所した法律事務所では主に証券発行やM&Aを担当しました。企業の経済活動に関わるのが面白く、企業法務に力を入れるようになりました。その後、IT企業で契約書の審査や内部監査などに携わり、2021年に牛島総合法律事務所へ移籍しました。 ——なぜ牛島総合法律事務所を選んだのですか? 殿井 設立者が現役の国内の大手渉外事務所はワンマンのイメージがあるかもしれませんが、採用面接で話したパートナー弁護士はとてもフラットで、漠然と思っていたイメージとは全然違うなと感じました。 ——実際に入所してみて、いかがでしたか? 殿井 入所前とのギャップはほとんどありませんでした。先ほど発言の合理性を評価してくれるとお話しましたが、そもそも、内部での会議の場では、発言すること自体を歓迎する空気があると感じます。 また、先輩アソシエイトやパートナーの先生とも、普段から公私ともに話をすることがありますので、そういった関係性からも、発言がしやすい雰囲気が醸成されているのかなと感じます。 ——入所後はどのような案件を担当しているのですか? 殿井 入所以来、会社紛争や個人情報保護関連の案件、その他企業法務を継続的に担当しています。以前IT企業に所属する中で、ビジネス上の要請と法規制との折り合いをつけることの難しさを実感する機会も多々あり、例えば、個人情報保護法の下で、個人情報とビジネスをどう結び付けるか考える機会も多かったので、その経験も活かしながら案件に携わっています。 ——今後の目標を教えてください。 殿井 これまで、「その時やりたいこと」をやってきました。今は、当事務所で向き合えた個人情報案件や会社紛争に大きなやりがいを感じています。この分野を突き詰めたい考えもありますが、いずれも専門とする弁護士は当事務所にも多いので、方向性を模索しているところです。 猿倉先生が話していたように、当事務所で弁護士としての専門性を磨いていきたいと思っています。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
飲み会で築く信頼関係。圧倒的な顧客開拓能力を買われ、現在の事務所へ 大学は慶應大学の環境情報学部(SFC)に在籍していました。商法のゼミで司法試験を目指す学生も多く、感化されて私も司法試験の勉強をはじめます。司法試験に合格後、2011年に栃木県にある法律事務所に入所しました。担当は離婚や破産などの一般民事が中心で法テラスの案件も多かったです。ただ、景気が悪く事務所の売上もあまりなかったので、いっそのこと独立してしまおうと考え、そのまま栃木県で自分の法律事務所を開設しました。 個人の法律事務所では自分で営業をかけて多数の中小企業の顧問弁護士になることに成功します。顧問弁護士を依頼されるコツは、やはり多くの人と会うことです。私は青年会議所に入り、異業種交流会にも積極的に参加していました。そして、一緒に飲みに行って信頼関係を築いていく、という感じです。 ただ、10年ほど個人の法律事務所を経営しているとやはりすべてを一人でこなすのは大変な労力がかかると身を持ってわかりました。時には誰かに相談したいと思うこともあり、いつからか「自分に合う法律事務所があれば転職しても良いかもしれない」と考えるようになりました。そこで、ものは試しと転職活動を開始。WEBでエージェントを探して5~6社に登録し、その中に弁護士ドットコムキャリアもありました。コンサルタントの井上さんとオンラインで話し、新規顧客開拓中心の働き方や転職するなら地元の山口県に帰りたいという要望を伝え、転職時の年収幅などを伺いました。年収を考慮すると隣の福岡県で働くことを考えた方が良いと指摘され、福岡県の法律事務所と面談をすることに。そこからはとんとん拍子で話が進み、縁もゆかりもない栃木県で多数の顧問契約を獲得していた実績を評価してくれた法律事務所へ入所することを決めました。 九州を中心に全国を飛び回り、保険会社向けの相続セミナーを開催 現在は保険の営業担当者向けの相続セミナーを開催しています。例えば、交通事故に遭った時ほとんどの人は保険会社に相談します。相続も同じで、保険会社に相談することが多いのです。すると、保険会社は相続手続きなどに関して弁護士に相談します。この流れに着目し、相続における弁護士との連携の仕方や相続マーケットの開拓について説明するようになり、いまではオンライン開催を中心に全国各地を訪問してセミナーを開いています。 セミナー開催で各地を訪れた際は、やはり飲み会が楽しみの一つ。そうしたつながりから新規顧客を獲得すれば事務所に報告し、担当付けなどの処理は事務所に任せています。新規顧客を獲得するとその後の処理まで求められる事務所もありますが、いまの事務所では担当の先生にスムーズに引き継ぐことができるのでとても助かっています。全国各地を飛び回っているため、事務所に行くのは週に1度ほど。この働き方は自分に合っていますし、転職して本当に良かったです。 いまの事務所には代表以外にパートナーがおらず、私もまだアソシエイトの立場です。今後もセミナー開催を中心に新規開拓に力を入れ、パートナーを目指したいと思っています。 自分の強みを理解すれば、需要と供給が一致する場所が見つかる 自分らしく好きなように働くには、まず自分の強みを理解しなければなりません。私の場合は法学部ではなくSFCでマーケティングを学び、独立時にもコンサルティング会社にお世話になったことでマーケティングの重要性を痛感することになりました。これらの経験が強みとなって新規顧客の獲得を楽しめるようになり、需要と供給が一致する法律事務所を見つけられたのだと感じています。 私がいま行っている保険会社向けのセミナーについても、もともとは最初の事務所で法テラスの安価な案件ばかり担当し、「どうすればもっと売上が上がるのか」「紹介を増やすには何をするべきか」と考えた末に生まれたアイデアです。もっと稼ぎたい、もっと楽をしたいという想いがあれば人は自分で勉強しますし、その過程でビジネス感覚や営業力が身に付くのだと思います。 セミナーの講師などをしていると昔から話すことが得意だったように思われますが、そうではありません。私もコミュニケーション力を高めようと聞き役に徹していた時期がありました。まずは人の話を聞き、少しずつ質問しながら話すことに慣れていく。会話の経験を積み、話し手として大勢の前で語れるようになったのです。これはトレーニングの賜物なので、コミュニケーションが苦手な方はいまからでも聞き役から始めてみてはいかがでしょうか。 「面白い」を突き詰めると仕事が楽しくなる。そうなれば、めぐり逢うだけ これから転職を目指す弁護士の方にお伝えしたいのは、コンサルタントを信じて妥協しないことです。世の中にはいろいろな法律事務所があり、事務所の体制も得意分野も異なります。そのため、2つ3つの事務所から話を聞いただけでは「ミスマッチばかり」と感じることもあるかもしれません。しかし、いろいろな法律事務所があるからこそ、「自分に合う事務所もきっとあるはずだ」と考えてほしいです。ミスマッチと感じながら待遇などに惹かれて転職しても後々苦労するだけですし、めぐり逢う日が来るまで辛抱強く待つべきだと思います。 また、仕事を楽しむには自分のやっている仕事の一部でもいいので、「これが面白い」と思える部分を突き詰めていくことが大切です。私が転職後に保険会社向けのセミナーを開催するようになったのも、弁護士会の移籍に2カ月もかかるとは知らず、入所までの時間を活用して保険の営業担当者と交流を持ち、これは新規開拓につながると感じたからです。飲み会営業も新規開拓も好きな上に、この分野なら第一人者になれるかもしれないと思うと楽しくて仕方がなく、いまは案件を担当せずセミナーに特化しています。 「これは自分には向いていない」と思った案件であっても、「ちょっと面白いかも」と感じた部分を突き詰めればそれが強みになり、その強みを欲しがる法律事務所が出てくるはずです。自分の仕事を楽しみ、自分に合う事務所を出会ってください。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
保険関連の案件を扱うなかで人に寄り添うことを学んだ法律事務所時代 ——これまでのキャリアについて教えてください。 大学は法学部でした。大学入学時には弁護士になることも見据えてはいましたが、企業への就職にも興味があったので、その時点ではっきり決めていたわけではありません。その後、法科大学院を経て司法試験合格後、法律事務所へ入所しました。当時はまだ就職活動が大変な時期で、正直に言うとなかなかこちらから選べるような状況にはありませんでした。そんななか私が入所した事務所は、パートナーが数名の小規模な組織でした。面接のときに優しく対応してくださったこともあり、この方々と一緒に仕事をしてみたいという思いを持っていたところ、内定をいただくことができました。 ——法律事務所では主にどのような案件を扱われていましたか。 保険会社の顧問業務として、交通事故や労災事故対応など保険が関係する損害賠償の案件を中心に担当していました。ただ、企業法務として保険会社内の法律相談を受ける機会はありませんでしたね。 ——交通事故の保険は、被害者、加害者、保険会社と立場によってそれぞれ対応が異なるように思います。 そうですね、どのケースにも対応していました。依頼者のために全力を尽くすという基本的な考え方はどの場合でも同じですが、それぞれ方向性が異なります。被害者側の立場だと、賠償を増額する交渉をしていくことになりますが、加害者側であれば過剰な請求に対して減額を交渉する方針となります。いずれにしても、適正な賠償にしていくという発想が重要になります。 ——そうした業務のなかで学ばれたこと、またやりがいを感じられていたことはありますか。 人に寄り添うということを学びました。場合によってはお客さまにとって耳が痛くなるような話をしなければならないこともありますが、お客様が最初にご相談にいらしたタイミングで、今後どうなっていくか必ず見立てを伝え、できる範囲内で解決に向かうよう進めていきました。弁護士として適正な解決方法を提案することで、お客さまに喜んでもらえたときにはやりがいを感じますね。 ワークライフバランスの確保と予防法務への興味から、民間企業への転職を検討 ——転職を考えられはじめたきっかけはいつだったのでしょうか。 事務所に入ってからはとにかく忙しく目の前の仕事をこなしていくのに精一杯で、正直なところキャリアについてあまり深く考えたことはありませんでした。転職を考えはじめたきっかけは、子どもが生まれたタイミングでした。子どもと一緒にいられる時間を増やすために改めてワークライフバランスを見直し、テレワークや育休制度が整っている民間企業への転職を視野に入れはじめました。事務所の業務自体はおもしろかったですし、不満があったというわけではありません。 ——企業法務への興味はもともとお持ちだったのでしょうか。 事務所での業務は基本的にすでに起こった事件に関して対処していく形になるため、「もっと前のタイミングで対策を打てていればこんなことにならなかったのに」と感じることが多々ありました。あらかじめトラブルを予防する動きができるという点で、企業法務に挑戦してみたいという気持ちはずっと持っていました。 ——企業法務未経験からインハウスロイヤーへの転職ということで、企業を選ぶうえでどのような点を意識されていましたか。 業種や事業の内容については特にこだわりはありませんでしたが、企業法務未経験ということで、法務体制が整っている企業を志望していました。理想は、先輩弁護士が在籍していて、なおかつ他部署との兼任ではなくきちんと法務部が独立しているような組織でした。そうした会社では、法務の重要性が理解されており、法務としての専門的な意見が求められる体制があると考えたためです。 コンサルタントとの綿密な準備の甲斐あって、1社目の企業に内定 ——今回の転職活動では、弁護士ドットコムキャリア以外の転職エージェントは利用されましたか。 複数社に登録しましたが、弁護士ドットコムキャリアで紹介していただいた1社目の企業に決まったので、他社はコンサルタントとの面談をした程度です。 ——転職先はかなりスムーズに決まったのですね。 社内弁護士の退職によって人員補充を検討されていたタイミングで応募できたというタイミングの要素が大きかったかもしれません。かなり運がよかったと感じています。また、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方が先方に対して「企業法務未経験の弁護士でも優秀な人材であれば検討したほうがよい」とアドバイスされたこともポイントだったように思います。 ——コンサルタントと面談をしてみて、弁護士ドットコムキャリアと他社のエージェントとの違いは何か感じられましたか。 他社は画一的な形で行われているような印象でしたが、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方は、私が求めている条件を的確に把握してさまざまな案を提案してくだいました。だからこそ、すぐに内定をいただけたのだと思っています。 ——面接ではどのような点に気をつけられていましたか。 自己PRや志望動機など一般的に聞かれやすい項目については、弁護士ドットコムキャリアの担当者の方と相談しながらあらかじめ答えを準備していました。 ——法律事務所から民間企業へのキャリアチェンジの理由についてはどのように説明されたのでしょうか。 事務所の業務を通して予防法務の重要性を理解したという点に重きを置いて伝えるようにしました。転職先の法務部長が弁護士の方で、ワークライフバランスの問題も含めこちらの事情をよく理解してくださり、私の説明もすんなり受け入れていただきました。 ——企業法務未経験という状況での転職活動において重要だったと思うことがあれば教えてください。 これまでの仕事の経験をどう活かせるか、面接時に説明できるようきちんと言語化しておくことが大切だったと思います。私に関していえば、保険会社の顧問業務としての事故対応は一見すると企業法務とはまったく別の業務に思えますが、保険会社の担当者から直接相談を受けていた経験は、社内の法律相談などに活かしていけると考えました。 また、転職活動をしている人や、過去に経験している人に相談することもやはり重要だと思っています。私は企業の法務担当者として働いている妻や修習同期からアドバイスをもらうようにしていました。 未経験からの転職を考えるのであれば、なるべく早めに動きはじめる ——これから実際に転職されて新しい業務に取り組まれることになりますが、意気込みを伺えますか。 はじめはとにかく目の前にある仕事にできる限り取り組み、事業部の方々が気軽に相談しやすいような法務体制をつくっていければと考えています。 ——最後に、30歳前後で転職を検討されている弁護士の方にメッセージをお願いします。 企業の場合、未経験でもこの年齢であれば将来性を考慮して採用してもらえるケースは多いと思いますので、転職活動をするのであればなるべく早めに動きはじめたほうがよいでしょう。実際に転職活動をしてみて、「今の職場のままがいいな」と感じることも、それはそれで収穫です。今は売り手市場ということもあり、転職を考えるタイミングとしてはよい時期です。まずは動いて企業の話を聞いてみるのがよいと思います。 弁護士ドットコムキャリアのエージェントサービス登録(無料)はこちらから。必要なタイミングで専任のコンサルタントが誠実にご支援いたします。 転職エージェントサービスに登録する
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