5大事務所や外資系企業法務事務所の転職実態

エース・コンサルタントが語る弁護士の転職最前線 – Part2
弁護士人口の増加や社会の変化の影響で、弁護士の転職実態も年々変化している。今回、年間100人以上の弁護士の転職やキャリア相談を受ける、弁護士ドットコムキャリアのコンサルタント2人に、転職事情などを聞いた結果を随時紹介する(インタビュー:2021年12月)。1回目は、5大事務所や外資系法律事務所の実態などについて。

 

取り扱い分野による選考基準の違い

ーー業界や取り扱い分野によって、選考基準は違うのでしょうか。

A氏: コンサルタントから見ると3つに分類できると思います。「企業」「企業法務事務所」「一般民事事務所」があります。

企業の場合は、法律事務所と違って選考基準がはっきりと存在しています。対応してもらいたい取り扱い分野、求める人物像や今までの経験だけでなく、年齢や修習期などもある程度明確になっています。

ーー一般民事の事務所はどうでしょうか。

B氏: 一般民事だと、「これ」とはっきりと決まっているものが本当に無いです。年齢は65歳、70歳以上でなければ構わない、といった感じです。

ーー企業法務系事務所の場合は、どうなんでしょうか。

A氏: 企業法務系事務所の場合は、条件をクリアすればその後は相性次第というところが多いです。学歴の条件例でいうと、旧帝国大学出身、慶応、早稲田、中央(法)の卒業生。司法試験の受験回数が1回か2回で、成績はそこまで見ないケースが多い印象です。提示されている条件がクリアさえすれば面接に呼ばれて、面接の時に良い対話ができたかによって採用するかどうかが決まります。

今まで企業法務系事務所への転職支援をした方たちと話してみると、意外にも雑談や事務所の説明だけで終わり、何かを面接で試されたという感じしたっていう感じがないことが多いんです。

パートナーがアソシエイトを採用する立場を考えると、パートナーがアソシエイトを動かすわけですから、パートナーが相性を重要視するのは当然のことではないかと思います。

ーー企業法務系事務所の場合は、面接でどういう人が落ちますか。

A氏: 面接に進んでいただければ落ちたことがほとんどなく、わからないですね。

B氏: 私も同様で、渉外系だと書類の時点で、明確な判断がある雰囲気ですので、書類が通れば、よほど雰囲気が合わないようなことがない限り面接は通る気がします。

A氏: 面接当日に酔っぱらって面接官に無礼なことをするような失態がない限りは、大体内定が出るような気がします。

ーー意外でした。

B氏: コンサルタントとして面談している時に、「コミュニケーション取りづらいと評価されないだろうか」と心配していても、事務所からは「すごく良かった」というフィードバックをもらうこともあります。「コミュニケーション」の感覚は、コンサルタントが抱く印象と違うように感じることがよくあります。

ーー企業法務系事務所の面接って、どんなこと聞かれるんですか。

B氏:  基本的な、転職や志望理由、やりたい分野などでしょう。あとは、付随して、いままで担当した事件などについて、和やかに話す感じと聞きます。時間も20分、30分で終わることがよくあります。

ーー面接は意思確認みたいなものですか。

B氏: 若手はそんなところかもしれません。学歴や司法試験の回数などで、「育つな」「いけるな」っていうラインを超えているようなら、細かいところはそこまで見てないと思っています。ただ年次があがってシニア対象だと、業務経歴などももちろん見るとは思います。

ーー若手、シニアの線引きはどのあたりにあるのでしょう。

B氏: 若手は、(2021年の時点では)68期から73期くらいの間くらいの印象です。

 

日系法律事務所と比較した外資系法律事務所の転職事情

ーー企業法務の場合、日系の事務所と外資系の事務所の違いはあるのでしょうか。

A氏: 外資系事務所は、企業並みのコミュニケーション能力とか求めていると聞きます。若い時から営業も担当させていると聞きますので。

ある事務所のパートナーから聞いた話ですが、ある日系事務所の弁護士は外資系の事務所を、「日系事務所でうまくやってやって行けそうにないから外資系行ったんだろう」と思っている。対して、ある外資系の事務所にいらっしゃる弁護士からすると、「営業できないから日系事務所にいるんでしょう」という話がありました。

ーー日系と外資って、どちらが人気あるんでしょうか。

A氏: 最近の若手のトレンドを考えてみると、外資系は徐々に人気が出てきていますよね。グローバルな仕事がやりたい思いがある人が志望している印象です。外資系求人があったら声かけてほしい、という人も増えていますね。

ーー外資系の営業って具体的に何をやるんですか?

A氏: 顧客開拓ですね。自分で、テレアポリストを作成して、パートナーのチェックでフィルターかけたもらって、電話をかけまくると。営業先には、主にコストパフォーマンスの話をしていると聞きます。いまやっている案件とその弁護士費用を聞いて、「私に任せてくれたら、これくらい安くできますよ」という営業をかけているところもあるみたいです。

最近は、企業は1事務所だけ使っているのでなく、色々な事務所を使っているみたいです。ある会社でいうと、本当に大きな案件に関しては大事務所にお願いして、小さな案件は少数精鋭の事務所にお願いしているとのことです。5、6の事務所に仕事を分散している企業もありそうです。

ーー日系の事務所だとそれはないと。
A氏: アソシエイトのうちは、ないですね。パートナーがほとんど外に出て、案件を取ってくる形になってるんで。

日系事務所のパートナーのはのすでに人脈など、案件を受任できてるルートを確立できているので、そこから案件流れてくるんとみられます。弁護士会の委員会活動の縁で受任することもあるようです。

ーー弁護士が営業力を身につけるというのは、キャリア的に有利に働くのでしょうか。

A氏:  営業力が身につけば、より自分自身の売上を拡大させていくということはできると思いまますがジレンマがあります。営業力を身につけるために外資系で働いたあと、日系の事務所にいこうとしても、色眼鏡でみられて採用されない可能があります。

なので、現状では、日系事務所から外資系事務所に行くことは可能ですが、外資系事務所から日系事務所に戻るというのは難しいと考えて良いかとおもいます。クライアントをたくさんいれば別かもしれませんが。

 

企業法務系法律事務所をやめる動機は何か

ーー企業法務について、独立という選択肢はないのでしょうか。

A氏: 独立も目指せるとは思いますが、よく知れている通り、企業法務案件は、5大事務所や有名中堅どころの事務所がほぼ握っている状況ですから、その状況で独立してどこまでやれるかは未知数な部分があります。狭い分野に特化してやろうというのなら大丈夫かもしれませんが、例えばファイナンスやキャピタルマーケッツとか、企業法務の花形の案件だけやりたいというこだわりあると、難しいのではないでしょうか。

ーー5大事務所への弁護士の集中はすすんでいるのですか。

A氏: 5大事務所のうちの1つでは、理由は断定できないのですが、定着率が高い印象があります。他の5大事務所は、転職したいという方に会ったことがありますが、その事務所だけやめた人をまだしらないんですよ。土曜日にそこに面接にいった人に聞いたら、「面接官しかいなかった」と聞きました。他の事務所は土日に出勤している人も少なくないと聞きますが。事務所によっては、働き方改革を進めているのかもしれません。

ーー5大の事務所をやめる動機ってなんですかね。

A氏: 妻の地元で仕事をしたいといって、やめた先生がいました。

ーーむしろ東京から出たいケース。5大事務所だからというより、退っ引きならないライフイベントの事情も関係してそうですね。

B氏: 私が担当している方では、単純に働く時間をもう少し減らしたいとか、分野に偏りが出ている点を解消したいといことでした。4大の場合、どのパートナーにつくかで、案件が決まる側面があったりするようです。コーポレートとかならいいですが、ニッチな分野になると、不満を感じる方もいるようです。「幅広くやりたい」という声は結構多いように思います。

A氏: 幅広くやりたいという方は確かに多いです。

ーー人間関係はどんな感じなんでしょうか。

B氏: 所属弁護士が、何百人いても、実際一緒に仕事するのは数人で、結局その小さな人間関係の中で、合う合わないという話なのかとおもいます。ただ、人柄が合わない、という理由だけでやめようという人は、聞いたことがないです。逆に、「今一緒にやっている人が最高」という話も聞いたことないですが。

A氏: 中堅とかベテランの先生からは、人間関係的な話はあまり聞かないですね。若手になるほど、人間関係転職されるとしても、ただ若手になればなるほど、人間関係の話になりやすいとは思います。

B氏: あと、よく聞くのは「少しでいいので一般民事もやりたい」という要望ですね。メインではないにしても、少しかじりたいという。

ーー年収など大幅に下がりますよね。

B氏: そうなります。ただ、基本4大を出る時点で待遇下がるのはもう理解してるので。
ただ、4大出身の先生が作っている小規模な企業法務系の事務所だと、一般民事も少しできた上で待遇がそこまで下がらない場合もあります。

A氏: そうですね。ただ、一般民事も興味がある先生の共通点は、将来的に独立を視野に入れている人が多いです。一般民事や独立を視野に入れた先生を支援する時は、4大からいきなり一般民事事務所に行くのでなく、ステップを踏むアドバイスをしています。少しずつ、一般民事や事務所経営が学べる環境にしていく感じです。

独立を視野に入れているとすると、現実的な話、色々な案件ができないとお金が作れません。事務所経営を視野にいれて、お金を作れる技術を身につけることを想定しながらの転職活動をオススメしています。断片的なところしか担当していない先生が、いきなり一般民事全般対応を求めるのは、あまり良いやり方ではないと思います。


*本稿では、西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、TMI総合法律事務所を企業法務系の「5大事務所」として表記しております。ご了承ください。

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