企業法務の仕事内容とは 法務が関わることになる業務の全体像
企業法務とは、企業内(法務部門)において、事業運営で発生する法律上の問題対応・指導・契約起案、交渉支援、株主総会、取締役会の事務局事務、コンプライアンス等内部統制の事務局業務等の諸活動を指します。企業によっては、一部法務部外で対応する場合もあります。
今回は企業法務では業務内容はどのようなものがあるのか業務全体を一覧にまとめてみました。
コーポレート・M&A
会社法は、国内の上場会社からベンチャー企業まで、すべての会社に関係する法律です。
会社の設立、株式の発行・分割・併合・譲渡、株主総会・取締役会等の各機関の設計・運営、取締役・監査役等の責任、企業買収・M&A・企業再編(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡、株式譲渡、資本提携、業務提携、合弁、子会社再編など)、コンプライアンス(法令等遵守、内部統制体制、内部通報制度など)、会社の解散・清算など、会社法やその関連法が規定する内容は、非常に多岐にわたります。
取引、契約、債権回収
契約書の締結は事業活動を行う上で切り離せません。秘密保持契約や業務委託契約、また売買契約や賃貸借契約、委託契約など様々な契約が発生します。
契約締結がゴールではなく、締結前の様々な関係部門との調整、相手方との交渉など締結までの過程、締結後の対応や、印紙、記名・押印など契約書の中身以外の事も業務の一部です。
IT、情報セキュリティー
インターネットが普及するにつれて、この分野の対応が増えています。
ECサイトや、オンラインゲーム、SNS、ウェブメディア、スマホアプリを開発・運用する際の利用規約、オンライン決済、ユーザー間のトラブル、プライバシー保護・著作権の問題など、インターネットを事業の手段として用いる企業はサービスの展開に伴い個人情報保護、セキュリティ対策など、一般の事業会社でも注意しなければなりません。
技術やビジネスモデルの進歩が非常に速く、まだまだ法規制もめまぐるしく変わっていく分野です。
人事労務
人に関する法対応は企業活動上、必ず起こります。労働時間の管理、時間外・休日労働における賃金の管理、退職・解雇、就業規則の整備、労働・社会保険料の支払いなど、従来テーマとなっていることに加え、最近では、マイナンバー、ストレスチェック、派遣法の改正など追加されたテーマがあります。またこれらの対応する際にはジェンダー面の配慮も強く求められています。
知的財産権、エンタメ関係
知的財産権の分野は特許、著作権、意匠、商標、不正競争防止など関連する分野が幅広い上に、侵害訴訟、審決取消訴訟等の訴訟を起こされることによって、事業に深刻なダメージを与える可能性があり慎重且つスピーディーに対応する必要があります。
また、エンタメ法務の分野でもグローバル化とITの普及によってコンテンツ保護のあり方、スポーツビジネスの展開も大きく変化しています。最近では特許法や著作権法などの改正や、TPPの影響もあり、企業内での対応にも変化が見えています。
事業再生、倒産
大型事業再生・倒産案件から、地方中小企業の事業再生案件まで幅広い業務を対応します。私的整理手続きや法的倒産手続きにおいては、債権者側・債務者企業側・スポンサー・親会社・投資家・取引先など様々なステークホルダーの代理人という立場で、処理方針に関わります。
ステークホルダー間の交渉、手続の進め方、デュー・ディリジェンス、スポンサー選定、各種契約書の作成、人事労務対応など、あらゆる局面・立場から携わる業務です。
危機管理、内部統制
内部統制報告制度、コーポレートガバナンス・コードなど、会社を取り巻く規制は年月を追うごとに整備されています。一方で、企業の不祥事は後を立ちません。不祥事を予防するための体制、不祥事が発生してしまった場合の対処法について考える必要があります。
予防体制をすり抜け、不祥事が発生してしまった際には各部門と連携して多角的にリスク分析を行った上で、官公庁・証券取引所・株主(IR)・マスコミなどの外部対応を行う業務です。
競争法、独占禁止法
独占禁止法、景品表示法、下請法など、非常に難解な法律が関係し、違反となったときのリスクが大きいのが競争法・独占禁止法の分野です。専門性を高めることも然ることながら、国際的な視点を持って対処する必要があり、法務部以外に実際に海外対応している営業部署などとも連携しながら運営していく必要がある業務です。
ファイナンス
企業が活動を行うためには、円滑な資金調達を行うことが必須となります。この分野においては、金融商品取引法、銀行法、信託業法、投信法、保険業法、貸金業法、抵当証券法、預金保険法、出資法、資金決済法など、それぞれの仕組みや商品などに関する数多くの規制関連法に精通している他、
金融庁や取引所また協会の諸規則にも留意する必要があります。
大変に高度で複雑でありますが、最近では電子決済や仮想通貨などの新しい分野も注目されており、並行して法施行や改正も著しいため、変化のスピードがある業務になります。
国際取引、海外進出
経済活動のグローバル化に伴い、海外の法令情報の入手が必要な場面も増えてきました。クロスボーダーの取引だけでなく、現地進出、会社設立、人材活用、トラブルへの対応などを行います。
具体的には所属する企業や事務所によりますが、駐在先や各国の法律事務所などのネットワークを活用しながら、現地の最新情報や適切な対応方法を汲み取り、依頼者もしくは関連する事業部のニーズに対応する業務になります。
訴訟、争訟
一般的な民事・商事紛争に加えて、国内では税務争訟、知財争訟、労働争訟、独禁争訟、消費者争訟、公害・環境争訟があり、海外ではクロスボーダー紛争や国際仲裁など実に様々です。もし実際に紛争が発生する事態になった場合は、素早く適切な初動対応をすることが非常に重要な業務です。
税務
一般的な分野では、マイナンバーへの対応など経営課題としての新しい税務問題が出てきており、税務と法務を組み合わせた体制整備が問われています。また、富裕層向けの税務対応も多く発生しており、税法・信託・遺言相続などの知識や経験を活かし、また金融機関と協力しながら国内外の資産運用、事業承継や相続に関する包括的なサービスの提供を行う業務です。
不動産
不動産では土地開発、不動産取引・証券化・投資・REITなど幅広い分野で法的問題が発生します。また不動産と言ってもオフィス・住宅・商業施設・ホテル・倉庫・ヘルスケアなどあらゆる分野が存在します。
不動産関連の法規制はもちろんですが、環境関連の法規制も抑えておく必要もあります。例えば建築基準法、国土開発基本法、都市計画法、不動産特定事業法、土壌汚染対策法などですが、
こちらは改正の動きも多いため、逐一動向を確認しながら進める必要がある業務です。
資源、エネルギー関係
国内外の資源・エネルギー産業に関する投融資、海外資源開発プロジェクトに関する外国政府規制への対応・コンセッション、パートナーシップ契約、紛争対応等に関してアドバイスを行います。
既存資源獲得や再生可能エネルギー事業に加え、温暖化対策やシェールガスなどの新エネルギーの台頭など環境が変化する中でも、立ち止まることなく事業を進めることが必要な業務です。
ベンチャー
ベンチャー企業、スタートアップ企業またそれらの企業に対して投資を行うファンドに対してのリーガルサービスを提供する業務です。それぞれのステージで発生する問題をきちんと認識し対応することが必要です。
初期では自社のビジネスモデルが適法なのか否か、また資本政策・資金調達に関する問題などへの対応が必要で、ステージが進むと資本政策や資金調達に加えて、株式公開(IPO)やM&Aによるイグジットへの対応など押さえるポイントが変わります。
企業法務に関する取り扱い領域は常に広がっています。今後はヘルスケア、再生医療・バイオ、宇宙事業など最先端のビジネスでの法的問題の発生が増えてくることが予想されます。またそれに伴った法律の施行もあるでしょう。所属する事務所や企業によっては新しい分野への対応をする必要が出てくるため、常にアンテナを張っておく必要があります。
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