応募数が多いと転職活動の満足度が低下? 弁護士の転職活動の実態◆Vol.4
弁護士ドットコムでは、転職経験者を対象に転職までの期間や、実際の活動について聞くアンケートを実施した(アンケート実施2021年10月30日から11月4日まで)。351人から回答を得た。結果について随時紹介する。
4回目は転職の満足度や、満足度と応募数、求人と出会った経路などを交えた分析結果について。
*複数回の転職経験がある場合は、最も近い時期の転職経験について聞いた。
転職活動後の満足度は?

転職の満足度について、100点満点で回答してもらったところ、平均点も、中央値も80点程度となった。「100点」との回答も73人、5人に1人いる結果となった。
転職活動期間と満足度の関係
| 転職を決意してから転職先が確定するまでの期間 | 転職活動の点数(平均) |
|---|---|
| 1ヶ月未満 | 83.3 |
| 1ヶ月〜3ヶ月未満 | 81.2 |
| 3ヶ月〜6ヶ月未満 | 79.1 |
| 6ヶ月〜1年未満 | 75.7 |
| 1年以上 | 79.4 |
転職を決意してから、転職先が確定するまでの期間と、転職活動の点数をクロス集計してみると、転職活動の期間が長くなるほど転職の満足度が下がる傾向にあった。「1ヶ月未満」など短いケースは、自身のやりたい業務や行きたい事務所が明確なケースが、点数を押し上げた可能性がある。 ただ、「1年以上」は、「6ヶ月〜1年未満」より満足度が上がる傾向にあった。希望する転職先が見つからなかったり、希望する先から内定がでない場合などは、時間をかけて、転職先の情報収集をしたり、視野を広げて時間をかけて活動することで、転職の満足度が上がる可能性があるといえる。
応募数と満足度の関係
| 応募した数 | 転職活動の点数(平均) |
|---|---|
| 1 | 82.6 |
| 2 | 77.3 |
| 3 | 78.6 |
| 4 | 75.6 |
| 5 | 78.1 |
| 6 | 78.6 |
| 10 | 72.6 |
応募した数と、転職活動の点数をクロスさせて分析した(回答が5人以上のみを分析対象とし)。応募数が「1」の場合は82.6点、「10」で72.6点で、10点の開きが出た。応募先が増えるほど、転職の満足度が有意に下がる傾向にあった(相関係数-0.78)。
知り合いの紹介でなくても満足度高く
| 最終的な転職先と出会った経路 | 転職活動の点数(平均) |
|---|---|
| 大学やロースクールでの知り合いの知り合いの紹介 | 85.5 |
| 求人情報の集まっているサイト | 85.0 |
| 事務所や企業のサイト | 81.5 |
| エージェントの紹介 | 80.7 |
| そのほかの知り合い | 80.5 |
| 修習同期の知り合い | 79.9 |
| 弁護士会のウェブサイト | 79.2 |
| 弁護士会のつながりでの知り合い | 78.3 |
| 単位会のウェブサイト | 77.5 |
| 日弁連のウェブサイト(ひまわり求人) | 76.1 |
| 高校や中学など大学以前の知り合いの紹介 | 70.0 |
最終的な転職先と出会った経路と、転職活動の点数をクロス集計した。最も高かったのは、「大学やロースクールでの知り合いの知り合いの紹介」で85.5点だった。 ただ、2位から4位までは「求人情報の集まっているサイト」(85.0点)、「事務所や企業のサイト」(81.5点)、「エージェントの紹介」(80.7点)と、知り合いの紹介でない選択肢が並んだ。2020年3月31日時点での弁護士数は、42164人で、20年前との比較で2.46倍、10年前との比較でも1.46倍となっている。この間インターネットの活用も広がり、自身の知り合いでなくても、業務内容、勤務スタイルなどでマッチした転職先が見つけやすくなりつつあることを示唆しているといえそうだ。 単位会やひまわり求人といった公の掲載求人経由が相対的に満足度が低いこともわかった。掲載内容と実際の業務の齟齬があるケースも報告されており、順位を引き下げた要因の一つとも考えられる(参考:https://career.bengo4.com/column/534/)。
転職の満足度は動機の「主体性」が鍵か
| 理由カテゴリ | 入所決定理由 | 転職決意理由 |
|---|---|---|
| ライフステージの変化(結婚・出産など) | 85.5 | 83.9 |
| 体調不良 | 82.0 | 75.8 |
| トップや同僚などの弁護士との人間関係 | 81.8 | 79.1 |
| 給料・待遇への不満 | 81.5 | 82.9 |
| 業務や習得できる経験や知識 | 80.5 | 84.4 |
| 勤務時間や勤務日数 | 79.7 | 81.7 |
| 独立に向けた準備がしたい | 78.6 | 70.3 |
| 事務所の方針のありかた | 77.9 | 81.7 |
| 事務局との人間関係 | 75.7 | 87.5 |
| 通勤時間 | 74.2 | 77.5 |
| 事務所の将来性 | 68.9 | 73.1 |
入所決定理由と転職決意理由と、転職についての点数(満足度)の集計をみた。
入所決定理由として満足度が高くなったのは「ライフステージの変化(結婚・出産など)」が85.5点、「体調不良(が改善しそう)」が82.0点。ともにプライベートに関連した項目で、プライベートに関連した項目を重視した転職先選びは、比較的成功しやすいといえそうだ。
対して、入所先を選ぶにあたって、満足度が低くなりがちだったのは「事務所の将来性」。事務所の将来性は大規模で経営が安定していたり、新興分野で勢いがあったりすものの、自身の裁量が小さかったり、取り扱い分野が自身が本当にやりたい分野とマッチしていないケースがあるとみられる。
転職決意理由として満足度が高かったのは「事務局との人間関係」で87.5点となった。事務局との人間関係は、面接や周辺情報から、良し悪しが比較的判断しやすいともいえる。転職決意理由として、「業務や習得できる経験や知識」の場合も満足度が高い傾向にあった(84.4点)。業務や習得できる経験や知識が不満な場合、転職活動に際して取り組みたい事項として前向きにPRが可能なため、転職先選びに成功しやすいと考えられる。
対して、転職決意理由として、満足度が低かったのは、「独立に向けた準備がしたい」(70.3点)だった。独立の準備が前提である人は、指示を受けて仕事を進めることがしにくいと考えられ、自身の意向と事務所方針に齟齬が生まれやすい可能性がある。
また「事務所の将来性」への不満を感じて、転職を決意した場合も、入所理由ほどではないが、低い傾向にあった。「事務所の将来性」は、自身のやりたいことや進みたいキャリアなどを考慮したうえで臨ような主体的な転職とはなりにくい。一般論としても、転職に際しては、ネガティブな理由であっても、ポジティブな理由を見出した上で転職活動をしたほうが良いとされ、満足度をあげるためには、弁護士であってもポジティブな理由を見出せたほうが満足度があがるといえる。
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