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東京の弁護士会はなぜ3つ?各弁護士会の特徴と求人との関係性を解説

向かい合う高層ビル

弁護士として活動するには、各都道府県に原則一つある弁護士会に登録する必要があります。しかし、東京には例外的に3つの弁護士会が存在します。

この記事では、東京の弁護士会の特徴や、3つの組織が存在する理由、弁護士の求職・転職活動と弁護士会との関係性について詳しく解説します。

弁護士になるには弁護士会への加入が必須

東京の弁護士会と求人の関係について学ぶ前に、まずは弁護士会の基本情報をおさらいしましょう。

そもそも弁護士になるためには、司法修習後に「日本弁護士連合会(日弁連)」と、各都道府県にある「弁護士会」の二つの組織に加入する必要があります。

これを弁護士の「強制加入団体」と言い、必ずどこかの弁護士会に所属しなければならないルールがあります。

日弁連は全国的な組織で、弁護士会、弁護士法人、弁護士を全て統括する存在。そして弁護士会は、各都道府県の弁護士を指導・管理する存在です。

両組織への会員名簿に登録を済ませることで、初めて弁護士として活動できるのです。

日弁連と弁護士会の関係性

「日本弁護士連合会(日弁連)」は、上述の通り全国に存在する弁護士会を束ねる大元の組織です。弁護士業界には法の公平性の観点から、監督官庁が存在しません。全ての弁護士がお互いの行動を管理・監督する「弁護士自治」を徹底しています。

通常、弁護士会、弁護士法人、弁護士の行いに問題が発生すれば、日弁連が管理・監督・対応を行います。ただし、弁護士自治の観点から、日弁連もまたほかの弁護士から監視される存在です。

日弁連と弁護士会への加入は、単に古くから続くしきたりではなく、弁護士全体で規律を守り、協力して国民の権利を守るための誓いでもあるのです。

弁護士会は各都道府県に一つ存在

地域の法曹界を統括する弁護士会は、原則として各都道府県に一つあります。各都道府県ごとに地方裁判所が一つあり、それに合わせて弁護士会も設置される仕組みです。

弁護士会の目的は、その地域で活動する弁護士の品位と権利を守るために、管理・監督・指導・業務改善といったサポートを行うこと。法律相談の窓口や当番弁護士の派遣、弁護士への求人紹介サポートなども行います。

地域の弁護士を統括して組織内の自治を徹底し、協力して国民の権利を守るのが真の目的です。

東京・北海道は弁護士会が複数存在

そんな弁護士会ですが、実は東京・北海道は例外的に弁護士会が複数存在します。

北海道は土地が広いため、地方裁判所が4つ(札幌地裁・旭川地裁・釧路地裁・函館地裁)あり、それに応じて弁護士会も4つ存在します。

東京は地方裁判所が一つしかありませんが、なぜか3つの弁護士会(東京三会)が存在しています。この理由は、戦前に発生した弁護士会内の派閥闘争に原因があると言われています。

現在全国に存在する弁護士の半分以上が東京に集中していますが、この傾向は戦前からずっと続いてきたものです。

弁護士会の人数増加に伴い会の運営方針を巡る派閥同士の対立が激しくなり、一部の弁護士が徒党を組んで分裂。両者の対立を仲裁する立場だった第三勢力も離脱したことで、東京地裁に対して3つの弁護士会が存在する特殊な構造になったとされています。

こういった理由から、都道府県には全部で52の弁護士会が存在することになります。

東京にある弁護士会の種類

東京にある3つの弁護士会は東京全域の活動を広くカバーしているため、どこに所属しても資格や業務の範囲に優劣はありません。

弁護士会によっては、「検事出身が多い」「企業法務が強い」「労働者側の弁護案件が多い」などと噂されることもありますが、現代においてはほとんど差がなくなっています。

組織間の対立構造は戦前のもので、現代では全く存在しません。国民が不利益を被らないようにそれぞれの組織が協力し合いながら業務を遂行しています。

考え方や風土などに多少の違いはあるものの、基本的には好みの弁護士会に所属すれば良いでしょう。

ここからは、東京の弁護士会の種類について簡単に解説します。

東京弁護士会(東弁)

東京弁護士会は、東京三会の中でも最も長い歴史を持つ弁護士会です。

東京において一番最初に組織された弁護士会であり、2021年7月現在で8,786人と最大の会員数を誇っています。

最も歴史の古い弁護士会であることから、歴史と伝統を重んじる風土が根付いているのが特徴です。

最大の会員数と歴史を誇りますが、東京に存在するほかの弁護士会との上下関係は存在しません。

第一東京弁護士会(一弁)

第一東京弁護士会は、派閥の異なる弁護士が東弁から独立したことで誕生した弁護士会です。

1923年に枢密院(すうみついん)議長の原嘉道、司法大臣の岩田宙造を代表とする数百人の弁護士よって設立された歴史があります。

会員数は6,065人と東弁に次ぐ規模を誇り、班制度による弁護士会員の研修や、育児・出産への補助、男女共同参画など、会独自の取り組みで弁護士をサポートしています。

第二東京弁護士会(二弁)

第二東京弁護士会は、東弁・一弁の対立構造を憂慮した弁護士が集まったことで誕生した弁護士会です。

現在の会員数は6,064人で、一弁と同程度の規模となっています。

「第二」という名前から一般層からは一弁の下位組織と勘違いされやすいですが、前述の通り東京三会内に資格・業務活動地域の優劣はありません。

海外との誤解を防ぐために、英語表記の場合は「Secondary」ではなく「Daini」と表記するのも特徴です。

戦後に現在の弁護士法が制定されたため、以後新たに弁護士会を作ることはできなくなり、東京三会についてはそのまま活動を存続することと定められました。

東京の弁護士求人と弁護士会との関係性

弁護士が一極集中する東京エリアは、当然ながら活動する弁護士の数が非常に多いです。

法律事務所に就職・転職するタイミングで、「どのような基準で弁護士会を選べば良いのか?」「事務所を移るごとに弁護士会を変える必要はあるのか?」など、さまざまな疑問を抱えている方も多いでしょう。

ここからは、東京の弁護士求人と弁護士会の関係について、3つのポイントから解説します。

最初の法律事務所の弁護士会に所属するのが通例

弁護士会の選び方については、最初に就職する法律事務所のボス弁が所属する弁護士会に入るのが通例となっています。

もちろん選択は自由なので、余程の信念・こだわりがある場合は自由に選んでも良いですが、通常は法律事務所の所属に合わせて弁護士会に登録するのが自然な流れです。

特定の弁護士会が専門的な案件を独占することもないので、所属がどこであろうと求人選びや転職に支障はありません。将来のキャリアパスに関わらず自由に弁護士会を選びましょう。

転職時にどの弁護士会に所属しているかは関係ない

別の法律事務所へ転職するときは、所属する弁護士会によって採用基準が変わることはあるのでしょうか。

結論から言えば、弁護士会と求人の採用基準に関連性はなく、純粋に能力や経験面を重視した採用が行われるのが特徴です。

書類選考や面接の段階で弁護士会の所属を気にする採用担当者はいませんし、会派によって選考基準に差が出ることもありません。

また、転職に伴って弁護士会の所属を変更する必要もありません。大多数の弁護士は、最初に登録した弁護士会のまま最後まで弁護士活動に従事することがほとんどです。

弁護士会によって求人の種類・偏りは存在する?

所属する弁護士会によって選べる求人の種類や内容に差が出ることはないので、安心して転職活動をしましょう。

法律事務所・インハウスロイヤーの求人を数多く掲載している求人サイトや転職エージェントでも、条件検索できるのは年収・待遇・場所などの項目が多く、弁護士会が採用基準に絡むことはありません。

日弁連が運営する「ひまわり求人求職ナビ」でも、東弁・一弁・二弁と分け隔てなく弁護士求人を掲載しています。

まとめ

今回は東京にある弁護士会と求人の関係性について詳しく解説しました。

弁護士として活動するなら弁護士会に強制加入する必要がありますが、所属によって就職・転職に影響を及ぼすことはありません。

どの弁護士会を選んでも仕事に制約はないので、自由に弁護士会を選びましょう。

参考資料

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